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「…俺の顔に何かついてるか?」
「あ、ごめんね。えと…。」
「薫。」
「?」
「武井 薫。俺の名前。」
「たけい…かおるくん。」
「薫でいい。」
なんか、人を寄せ付けなさそうな人だなぁ。
「あ!私は…」
「桐島 明日香。」
「…もう、クラスの人の名前覚えてるんだ!」
「全部じゃない。…桐島の事は、アイツがよく話すから。」
「え。アイツ…って言うと?」
「高橋くん!」
咲季が嬉しそうに言った。だけど、しまった!という顔をして高橋くんだよね?…と言い直した。
「ああ。」
「あ、あたし奥村 咲季って言うの。」
「うん。」
うんって…。咲季、恐がってるよ。
薫くんが咲季をじっと見た。
「…奥村さ、冬吾が好きなのか?」
「え!?」
咲季が真っ赤になる。
バレバレだ。
「悪い。さっきの会話、ちょっと聞こえてた。」
「…うちら、声デカかったもんね。」
「…薫くん…。あたしが高橋くんの事好きって…。」
「…。」
ノートを私から受け取り、目だけを咲季に向けて言った。
「言わねぇよ。」
「流し目の薫くん…いい人。」
咲季が目を丸くして呟いた。
「…いい人っていうか。」
不思議な人だと思った。
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