家の近くの公園内に、年がら年中何かしらの花が咲いている小径がある。
四季折々の花が見られると、たくさんの人がそこを通るし、俺も、かなり前に二度ばかりそこを通ったことがある。
確かに、両脇に咲き乱れる花々は綺麗だった。でも、俺はもう二度とあの小径は通らないと決めている。
花は確かに綺麗だったが、通った二回とも、後で何となく調子が悪くなった。
その時は、体の不調と小径を関連づけることはかったけれど、三度目に足を踏み入れかけた時、見たんだ。
脇から現れた一匹の猫が、たまたま小路に踏み込んだ。でも、最初の軽快な足取りはすぐになくなり、猫の速度はみるみる落ちた。
それが不思議で、よくよく猫を見つめれば、最初に見かけた時より、明らかに猫は老いた容貌になっていた。
その後は、小径を歩く人達を眺めていたが、こちらは猫ほど顕著ではないけれど、確かにみんな、どこか面立ちがやつれていき、中にははっきりと老化が見て取れる人もいた。
おそらくあの小径は、通る生き物の寿命を吸っているのだろう。そして、そのエネルギーて絶えず花を咲かせているのだ。
どうしてあの場所だけ、そんなふうになっているのかは判らない。ただ気づいた以上はもう通ることはないし、何なら近寄りたくもない。
今は、俺は足を向けることもなくなった公園。そこの片隅で他者の命を吸いながら、今もあの小径は花に彩られていることだろう。
花咲く小径…完
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