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本棚に追加第一話
よく晴れた、春の日の午後。
桜の便りも、ちらほらと聞かれるようになってきた。
明るい日差しは面接会場の室内にも差し届いていたが、サカキ・理玖 (りく)の心はぼんやりと曇っていた。
(一体どうして、僕はここに居るんだろ……)
荘厳美麗を国内外に誇る宮殿の中に、このように事務的な空間があるなんて驚きだ。
パイプ椅子に座った理玖の前には、やはり簡素な椅子に腰かけたスーツの男女が数名。
スーツと言えば、理玖も新しく仕立てた服を着ている。
この面接のために、両親が用意してくれたものだ。
ライトグレーの上下に、ブラウンストライプのシャツ。
このシャツは、兄・尚(なお)がプレゼントしてくれた。
ストレートチップの革靴も、ピカピカだ。
そして、落ち着いた小紋のネクタイ。
こちらは、姉の桜子(さくらこ)からのプレゼントだ。
高校を卒業したが、童顔で小柄な理玖は人から年齢より幼く見られる。
だからこそ、少しでも彼を大人に見せようと、皆がんばった。
理玖は、自分を覆う服飾の数々に、そんな家族のやり取りを思い出して笑顔になった。

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