風船沼にいるアレ

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 「沼の水抜いてみる!」はローカルテレビ局の看板番組に成長した。沼、とは言っているが池や貯水池など、水が溜まっている場所の水を抜いてお宝発見をしようというものだ。ついでに掃除もして良いことをしているアピールをした結果、爆発的に人気があがり全国区も夢ではないと噂されている。ディレクターも恵比須顔だ。  テレビ局で働き始めて一年の松重と、他の地方局から転職してきた水瀬は今回初めて二人で現地の初期調査を命じられた。沼の下見と、現地の人の話を撮影してくること。それが二人に課せられた内容だった。  お互い存在は知っていたが、担当している仕事が違ったのでちゃんとした会話も初めてだ。改めて自己紹介をする。松重はフリーランスで契約で編集をしていること。水瀬は現在二十三歳の女性。高校卒業後すぐ地元のテレビ局に入ったが、こちらの方が待遇が良かったので転職したとのことだった。  会話もはずみ、なんとなくお互い心地よい関係に慣れてきたころ。水瀬が急にこんなことを言い出した。 「松重さん、ぶっちゃけどう思います? この番組」 「どう、ってのは?」 「毎回お宝出るのって奇跡を通り越してすごくないですか?」 「そりゃお前。百パーやらせだろ」 「あ。言っちゃうんですね」 「こんなのテレビ業界じゃ当たり前だし」 「ええまあ。そうなんですよね」  毎回こんなお宝が出るわけがない。どうせ事前に安物の骨とう品を買って、ばらまいておいてそれっぽく見つけたと騒いでいるだけなのだろう。ネットでもこの説は有名だ、番組は否定しているが。出た物を調べていることにはなっているが、「鑑定結果は」と伝えるだけでどこの誰が鑑定したか明かしていない。  テレビ番組が面白いのは当たり前だ。すべて台本。文字通り作られたシナリオ通りに事が進んでいるに過ぎない。本物のドキュメンタリーなど存在するほうが珍しい。遺跡発掘でも貴重な資料など滅多に見つからないのに、沼地からポンポンお宝が見つかるなど不自然すぎる。 「俺はこういう考えオープンにしてるから、たぶんお宝ばらまく係には永遠に抜擢されねえな」 「あー、口が堅くて金に弱い人が任命されそうですよね」 「いや俺も金には弱いよ。金稼ぐために働いてんだから」 「でもあほくさい事には関わらないタイプでしょ?」

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