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数年後ーー。
弱小国サモスは変貌を遂げ"強国"と呼ばれるようになる。卓越した外交の手腕と強かな女性達による社会進出がその背景にはあるが、その礎を築いたのは幼少の頃より博覧強記で頭脳明晰な王子の『妃選び』であった。
今やサモスは攻め入る隙のない鉄壁の国。
「サモスの王子は早々に摘み取るつもりであったのに」
サモスに隣接する大国の老王は忌々しげに杖を振り翳し、その杖で側近の一人を突き飛ばした。
「ぅぐ……!」
這うように男は身を起こす。
「其方、サモスに潜り込ませた妾腹の姫を連れ戻せ。新芽を腐らせようと放ってみたが、臆病で役立たずでは踏み潰すしかあるまい」
「お……お待ち下さい! 下手をすれば敵対の思惑をサモスに開示することになりましょう」
老王の杖が側近を突く。
「それが何だ? 脆弱な虫が単独で両国に害をなそうとしてるのだと白日に晒せば良い。猛毒を塗った剣も姫には与えているのだ。あからさまな証拠にサモスも放置はできまい」
かつては姫付きの侍従だった側近は額を床に付ける。当時、少年の身なりで国外に出た姫は恭しく剣を受け取っていたが、広大な茶畑を過ぎた辺りで捨てていた。新芽ではなく枯葉を摘むなら素手で十分だと公言した後に国境を越えたのである。(終)

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