異端弁護士推

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 こんな風に一日が終わって、次の日が始まる。  穏やかに今日ものんびりしようと思っていた秋森が出勤するのだが、事務所に訪れ「おはようございます」って言葉を言う前に前島と中原の熱視線が秋森に集まった。 「なんだってんだい。朝っぱらから」  ため息で答える秋森に、中原が近付いた。 「あのスコーンが問題になってるんです」 「やっぱりか」  慌ててる様子の中原に対して、秋森は腕を組んでしっかりと答えていた。  相談ブースとして防音加工された小部屋がある。そこは基本的には顧客との相談に使うところなのだが、自由に使えるので協議なんかにも使ったりする。  そして今は中原が相談者側に座って、秋森と前島が相対していた。 「親分、知ってたんですね」 「人聞きの悪い。その言い方だとあたしが知っているにもかかわらず黙ってたみたいじゃないかい!」 「昨日、ネットで見て、教えなかったんだから同じことでしょ」  三人の間には前島の小型パソコンがタブレット形状になって置かれていて、そこには例のスコーンがレシピ盗用されたものだと言う三面記事的なニュースがあった。  その記事によると地方ではあるが、売り上げも結構あるほうの菓子メーカーである中原の沼っているスコーンがおいしいお店が、世界の有名店のレシピを盗んで作られたものであるとの内容があった。 「元々はネット上で似てるって囁かれて、それを同じだっていう人間が段々と増え、とうとうこんな悪いニュースになってしまったってことですね」 「今日からあのスコーンは販売中止になりました」 「まあ、SNSなんかでは騒がれてるからねー」  とても残念そうな中原の言葉があってから、秋森の感想が続く。  その通りであのスコーンは美味しく、低価格で販売されている。世界で有名な店だが企業規模としては地方メーカーのほうが販売店なども多いので大きい。つまりは小さいけど実力のある店から大きな企業がレシピを盗んだという構図になっているので、ネットの人間は弱者びいきをしていた。 「これって、実際のところはどうなんですかね?」  前島はあくまで中立として話していたが「あのメーカーは老舗ですよ。盗用なんて」あり得ない、とまでは中原も言えない。その理由は他にも他メーカーと似た商品があるからだ。  しかし菓子メーカーとしては似た商品というのは多分に存在する。それが全部盗用、つまりパクリとはいいがたい。ただ今回はレシピを盗んだとあるので完全なパクリと言われているのだ。 「聞きゃあ良いんだよ!」  そう言うと秋森はスマホを取り出す。 「あの企業はうちが顧問契約していて、秋森さんが担当になってるんだよ」  一応地元優良企業でもあるので弁護士がついていてそれに指名されているのは優勝な人間と相場が有る。それが秋森だったのだ。  そんな話をしていると相談ブースがノックをされた。 「中原さん、お客さんなんで受付お願いします」  事務所に残っていた弁護士が現れて中原を読んでいる。この事務所の悪いところは弁護士が忙しすぎて、弁護士が受付すらもできない。その辺はすべて受付担当の中原に一任されているのだ。 「すいません。また後で話できますか?」 「うん。これは仕事になりそうだから、話聞かせて」  今回も秋森はひょんなところから仕事を得られそうだ。  一応今回の事案のことをネットで調べたりして秋森と前島は情報共有をして、対策を考える。まあ、考えたところでまじめな前島の考えは、秋森に跳ね返されることにはなるのだ。  いまいち対策協議にはならないで、単に情報を調べあっていたところにまたノックをする人間がいた。 「秋森さん。困ったことになりました!」  返事をすると焦った様子で現れたのは中原だった。 「どうしたのさ。落ち着いて話してみな」  今の中原は慌てた様子と言うより少し怖がっている雰囲気でもあったので、秋森は少し優しく声をかけた。 「実は今、受付にいる方なんですが」  神妙に話す中原だったので、まさかと秋森と前島が顔を合わせてから、中原を見つめると「その犯人です」と言う。  今回のスコーン問題。発端はわかっていた。というか、それを宣言している人間がいた。  それは動画配信者で普段から文句ばっかり言うチャンネルだ。そこでまだ話題にもなってない頃から例のスコーンのことを取り上げていて、そしてニュースになったことを喜んで「私が見つけたこと」って動画までアップしていた。  ちょうど秋森たちはその人物の動画を確認していたところだったので、三人の視線はパソコンに向かっていた。 「んー。っじゃ。担当はあたしだね!」  いつもなら仕事を率先してする人間ではない秋森だが、今日はそうではなかった。 「くれぐれも依頼は受けられませんからね」  一応こんな言葉がある。その理由は弁護士として利益相反になってしまうからでそれは許されてない。  しかし、秋森は前島をにらんだ。 「受けるわけないだろ!」  どうやら弁護士の規定とかよりも依頼人に味方するのが気に入らないみたいだ。これは秋森の勝手だ。  受付に移動するとそこにいた人は普通の女の人で見た雰囲気はそんなに文句も言いそうにない人だった。しかし、秋森と前島はさっきまで動画を見ていたのでこの人の真実の姿は知っていた。

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