第1章 ゆずの樹、朽ちる香り

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第1章 ゆずの樹、朽ちる香り

プロローグ  秋の夜気に沈む、夜更けの廃食肉解体場。 薄汚れた窓を抜けた満月が、屠られた血を思わせる色の光を落とす。 遠くの換気扇が風にあおられ、パタン、パタン――不規則に口を開閉する。 擦れる羽根のかすかな音だけが、いつまでも残る。 鉄骨の梁に吊られたものが、キー……キー……と小さな弧を描きながら揺れている。 空調の吐息に合わせるように、その揺れは次第に規則へと収束していく。 床には長い棍棒が直立し、鋼板の台座で固定されている。 棍棒は、その下へと真っすぐ伸び、埋め込まれた先端が、わずかに形を持ち上げていた。 鈍赤のフックには、銀色の刻印がある。 〈木下優香 吊り下げ用〉 麻縄に縛られたそれは、もはや原形をとどめていない。 前後の裂け目から、白濁の液が糸を引き、静かに、絶え間なく滴り落ちていく。 「……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」 かすかな懺悔だけが、暗がりに溶けていく。 月光はその声を受け止めることなく、ただ冷たく照らし続けていた。 (どうして、こんなことに――) めざめたもうひとりの私が、堕ちる理由を与えていく――。 ――終わりのない夜の底へ。 第1話 ゆずの樹の朝――変わらない朝 荒川を越えれば、もう都内。 その川沿いの商店街で、木下優香は今日もパンを焼いている。 多くの住民が都内へ通うこの商店街の朝は、いつも慌ただしい。通勤前に弁当を買い求める会社員や学生たち。 「行ってらっしゃい、今日も頑張ってね」 角の総菜屋のおばちゃんの元気な声が響く。 そんな活気に満ちた通りの中ほどに店を構えるのが、“パン工房 ゆずの樹”。柚子の香りが漂う、小さなパン工房だ。 米粉の湯気がゆらぐ厨房で、木下優香は店のロゴ入りカットソーにカーキのカフェエプロン、ロングのデニムスカートという定番の装いで、生地を丁寧にこねていた。 細い指先を動かすたび、肩にかかる黒髪が、かすかに頬へ触れる。 全身の重みを生地に預けると、深めのスリットの奥で、空気が肌をなぞる。 露になった腿に一瞬だけ意識が向いたが、すぐに手元へ視線を戻した。 「ママ、今日もおいしいパン作るの?」 工房の片隅で絵本を広げていた柚希が、顔だけ上げて笑う。今年小学校に上がった柚希は、優香にとって何より大切な存在だ。だが、小さな身体は重い食物アレルギーを抱え、とりわけ小麦は命に関わる危険を孕んでいる。 厨房の計量器の横には「小麦不使用/グルテンフリー(GF)」の札。棚の一段には刻んだ柚子の皮がぎっしりと並ぶ。柚希の体質を知った優香は、幼稚園入園と時を同じくして、このグルテンフリーのパン工房を開いた。 “安全で、ちゃんとおいしいものを” それが毎朝の合言葉になっている。 「うん、柚希の大好きな柚子ごまバゲット、そろそろ焼き上がるよ」 カランコローン。 店先のドアベルが鳴り、常連の会社員が「GFを二つ、いつものね」と指で示す。 「はーい」 優香がバゲットを二つ紙袋に入れると、柚子の香りがふわりと立ちのぼった。 夫の圭太は旧財閥系メガバンク・帝和銀行に勤めるエリート行員だ。多忙な日々のなかで、家庭の小さな変化を見落とすこともある。優香は責めない代わりに、調理記録帳に温度と発酵時間を几帳面に残す。日々が整っていれば、家族は大丈夫――そう信じているからだ。 生地に体重を預けながら、優香は思う。 (こうしていると、大丈夫……) 決まった手順、決まった温度、決まった時間。 すべてが正しければ、何も崩れない。 (私がちゃんとしていれば……この生活は守れる) 「ママ、柚希のパン、まだー」 嬉しそうにバゲットが焼き上がるのを待つ娘。 (この子を守るためなら) どんなことでも受け入れられる――そう思っている自分に、迷いはなかった。 「あれ?」 湯気の甘さの端を、乾いた樹脂の匂いがすっとかすめた。 どこか、胸の奥に引っかかる匂い。 (なんか落ち着く匂い……) 優香は焼き上がったバゲットをトレイに並べた。 *********************************** 商店街の副会長兼事務局長・笠原純一は、精肉店“笠原精肉店”の店先に立ち、アーケードを行き交う人波を眺めていた。雑誌などでたびたび取り上げられる特製カツサンドは「ボリュームがあって豚肉の甘みが生きている」と評判で、棚から包みが一つ、また一つと消えていく。 「毎度ありがとうございます」 客の背中を見送った視線は、斜向かいの“パン工房 ゆずの樹”で止まった。工房の小窓には、白い粉が舞う中で生地と格闘する優香の横顔。笠原にとって彼女は、ただの商店街の仲間ではない。商店街組合の加入手続きで事務局に訪れた優香の清楚な横顔と仕草。 ……この女だ。 俺の探し求めてきた女は。 逃がさない。 この日から――優香は、笠原の監視下に置かれることになる。 *********************************** 「木下さん、ようやく九月らしい気候になってきたね。パンの香りが商店街を明るくするよ。今日も一日、頑張ろうね」 笠原は工房の前を通るたび、笑顔で声をかける。だが、その笑顔はうす暗い欲望を隠すための仮面にすぎない。店への出勤時間、買い物、娘の迎え、自宅の電気が消える時間……。笠原は優香の生活習慣と動きを時刻とともに記録し、倒錯した世界へ引きずり込むためのシナリオを、静かに、そして精密に組み立てていた。 笠原の歪んだ物語の主人公は、木下優香ただ一人。 笠原の頭の中ではすでに、優香を自らの“物語”へ引きずり込むための構図は完成していた。 シナリオは――明日、第一章を開幕する。 優香は、まだそれを知らない。 明日、自分がどこまで壊れるのかを。 第2話 モニター越しの“人質”-視線 開演は、唐突だった。 昼の接客がひと段落したとき、優香のスマートフォンがヒップポケットで震える。 「はい、木下です……えっ?」 公園で遊んでいた柚希が倒れ、救急車で市立病院へ搬送されたと電話口の男性が告げる。 「柚希が……? すぐ行きます。今、どこにいるんですか」 作業台の端でスマートフォンを握りしめた瞬間、優香の血の気がすっと引く。 「木下さん、落ち着いてください……」 電話口から冷静な男の声が返る。堂上和也。商店街が、働く親のために立ち上げた放課後学童クラブでボランティアをしている青年だ。この学童クラブは笠原の提案で始まり、精肉工場の従業員が交代で参加している。 「こちらで車を出して、病院までお送りします」 優香はエプロンを外し、店を飛び出した。アーケード脇の横丁に黒いワゴンが停まっている。運転席には見知らぬ若い男。 「木下さん、急いで」 堂上がスライドドアを開け、手招く。 「堂上さん、ありがとう」 息を切らせながら後部座席へ滑り込むと、隣に座った堂上が、 「急ぎましょう」 と言い、ドアを閉めた。 「堂上さん、柚希は……柚希は大丈夫ですか」 「落ち着いて、木下さん。すぐ会えます」 堂上は短く答え、運転手に合図を送る。ワゴンが滑るように発進した。 やがて“市立病院前”の交差点に差しかかる。 「え?」 標識は右折を示しているのに、車は左へ切った。 「市立病院は右ですよ」 慌てて振り向く優香に、 「いいんです。左で」 堂上は冷静に告げる。 「だって、曲がったらすぐじゃ……」 優香の声に、緊張と微かな不信が走る。 「確かめます」 スマートフォンを取り出し、病院へ電話をかけようとした瞬間、堂上の手がそっと左手首を押さえた。 「木下さん、ここからは僕の指示に従ってください。そうしてくれれば、柚希ちゃんは安全です」 言い方は丁寧だが、拒めない口調だった。 「どういうこと……」 運転席の関口海斗が、ルームミラー越しに不敵な笑みを浮かべる。 (……騙された) 掌に、冷や汗が浮かぶ。 (この人たち……) 「止めて……。車を止めて。ここで降ります」 身を乗り出し、スライドドアのノブへ手を伸ばす優香。 「木下優香さん……この画面を見てください」 堂上は優香を引き寄せ、ヘッドレストのバーに固定されたスマートフォンのビデオ通話を示した。 「柚希……」 荒川沿いの土手。若い男と手をつなぎ、楽しげに歩く柚希の姿が映る。 「あなた、騙したのね」 優香は右手で堂上の頬を打った。 「気が強いね」 叩かれた頬を指先でなぞり、堂上は口角だけで笑う。学童クラブで子どもに向ける、あの柔らかな笑顔とはまるで別物だ。 優香の背筋を、冷たい汗がすっと下りた。 「木下さん、僕らは別に柚希ちゃんを誘拐しようとか、監禁しようとかじゃないんですよ……今はね」 「今は?……どういう意味?」 「どういう意味って……」 堂上が唇の端を上げ、優香の乳房を鷲掴みにする。 「ヒッ……」 優香が短く悲鳴を洩らすと、堂上は冷たい笑みを崩さぬまま通話先の男に声を掛けた。 「ねえ、ノエルさん。ちゃんと柚希ちゃんの手を握ってる?」 優香の視線が画面に吸い寄せられる。 堂上は画面に集中する優香の乳房をゆっくりと味わうように揉みあげる。 (やめて……) 柚希の姿から、目を離せない。 (……いや……でも……) ワイヤーレスブラに収められた大きな乳房が無重力空間を彷徨うようにΩを描いた。 「はい……ノエルさんは、この前の学童クラブでやった電気実験の話をしています。もちろん、いつでも拉致できます。……それと、手はずどおり土手の下で車も伴走中です」 通話先の男がスマートフォンを土手の下へ向ける。柚希たちの歩調に合わせ、ハザードを点滅させながら並走する車が画面に映った。 「……というわけです。貴女の大切な柚希ちゃんの運命も、木下優香さん、貴女の身体も、いま僕たちの掌にあります」 堂上の手がカットソーの中に忍び込み、乳首を捏ね回した。優香は唇を噛みながら画面の中の柚希を追う。 「……今から別の場所でお話しましょう。すべては柚希ちゃんのためです」 優香に拒否権はなかった。 (違う……違う、拒めないんじゃない……) 揉みしだかれる優香の胸の動きを、バックミラー越しに関口が除き嗤う。 (拒めないだけ……だから…………いまは逆らわない。見る。覚える。数える。……パンを作るときと同じ、丁寧に、きちんと頭に記録する。どこに連れていかれるのか、覚えるの優香……) 優香は柚希から視線を外し、窓の外の風景を記憶する。 (歯科医院のイラスト看板を直進、四丁目の交差点を右、柚希の好きなハンバーグチェーンの先を左……) 「木下さん、何見てるのかな」 「イタッ!」 堂上が弄んでいた乳首に力を込め、捻り上げると、「困るんだよね」そう呟いて優香の口元をハンドタオルで押さえた。 モニターに映る柚希の姿が霞の中に消えていった。 第3話 大義名分という言い訳 鼻腔を刺す生臭い空気と、壁際に無造作に置かれた解体道具、そしてステンレス製の移動棚に置かれた淫靡な道具の数々。 冷たい肉の解体台に仰向けで横たわる優香の身体は、まるで屠殺を待つ家畜のように無防備だった。 両手は後ろ手に麻縄で縛られ、華奢な肢体に縄が食い込むことで、白い肌がより際立っている。 両脚は股関節を限界まで広げられ、解体台から降ろされた足首には革の足枷が嵌められて床のU字金具に繋がれていた。 優香の逞しく生え茂った陰毛と、経産婦とは思えない、整った淫肉は、今から切り刻まれる肉塊の様に外気に晒されていた。 金属扉のギギギッという軋みと、カチャという乾いた施錠音が、無人の解体場に大きく反響した。優香は小さく頭を振り、薄くまぶたを開く。 天井に吊るされた蛍光灯の光が滲み、輪郭が揺れた。 (……ここ……どこ……) 動こうとしても、動けない。 (……嘘……) 朦朧とした意識の中のなか焦りだけが先走る。 「よう、起きたか。随分と寝てたぜ」 ワゴン車を運転していた関口の稚拙で粗暴な言葉が解体場の静寂を破る。 身体の奥が強くこわばった。 「お目覚めのようですね、木下さん」 「あ……あなた……」 霞む視界に堂上の顔が迫ってくる。 途切れていた記憶が、断片のまま浮かび上がった。 柚希をモニター越しに見つめながら、白昼の車中で乳房を弄んだ男。 目の前に置かれた堂上の目を、優香はきつく睨み上げた。 「柚希をどうしたの!」 上半身を起こそうと力を込めたが、床に繋がれた足枷がそれを許さない。 ガシャン! 鎖が軋む音が解体場の壁に響く。 逃げられない。 恐怖が怒りを飲み込む。 「木下優香さん。柚希ちゃんのことが心配なら、今は抵抗しない方がいいですよ」 堂上の声は丁寧だが、どこか嘲るような響きがあった。 「いくら大声を上げても、この豚の解体場跡に人なんて来るはずないじゃん。素っ裸で暴れたってさぁ、体力の無駄だよ」 「素っ裸?」 その言葉に、遅れて理解が追いつく。 関口の「素っ裸」という言葉に、改めて自身の置かれた状態を確認する。 下着一枚つけていない、剥き出しの成熟した裸体。 「いやっ!」 短い悲鳴を吸い込み、胸を隠そうとするが、後手に縛られた腕ではそれも叶わない。 下半身を隠そうと力を入れた太腿は、鎖の軋む音とともに無情に止められる。 全裸で緊縛され、拘束された状況をようやく理解した優香は凍りついた。 それでも、優香は必死に言葉を絞り出す。 「……柚希は……柚希は無事なんですか? お願い、娘に会わせて……」 堂上は薄く笑うだけで答えない。 代わりに、関口が近づき、優香の天を向いた乳首を乱暴に掴んだ。 「娘のことより、まずは奥さんがどうなるか、よく考えな」 「そういうことだ、木下さん。上半身は縄で縛られ、下半身は足枷で固定され、その見事な乳も綺麗なオマ✕コも晒して身動き一つ取れない。つまりはお手上げ状態ってわけです」 堂上が嗤う。 「それなら……ねぇ。せっかくそんな刺激的な格好なんだ。娘の心配より、俺たちと楽しむ方が賢明な選択じゃないですか」 「そういうこと」 関口は同調し、指でつまみひねっていた乳首を放すと、乳房の外周を掌でなぞり「でっけー、いいオッパイ」と、重さを量りながら言葉を継いだ。 「しかしまぁ、縄映えする見事な身体だよね。この身体を好きにしていいなんて、ラッキーこの上ないよな、和也さん」 「確かに、役得だな」 鬼畜めいた若い男たちのやり取りに、優香の心は恐怖で締め付けられる。 だがそれ以上に、柚希の安否が気がかりでたまらない。 「柚希と手をつないでいた、あの男は誰なの……あの子は普通の身体じゃないの……」 (普段から「知らない人について行っちゃだめ」と言い聞かせてきた。それに、人見知りの激しい柚希が、見知らぬ男と笑顔で手をつなぐはずがない) 「ノエル君のことか……先生だよ、柚希ちゃんの」 堂上が淡々と答える。 (ノエル……先生……誰……どこの、何の先生……) “パン工房ゆずの樹”を切り盛りするだけで精いっぱいの優香は、そのノエルという男について何も知らない。 「ただし、超が付くほどの変態だけどな。」 関口が大声で笑った。 「笑わないで!……私なら……どうなってもいい……」 嗤う二人が言葉の続きを求める。 「あなたたちの目的は……」 優香の声は震えていた。それでも言わなくてはならない。 一旦言葉を飲み込んだ優香は、カラカラの喉から言葉を紡ぐ。 「……私の身体?……私は……」 言葉が詰まる。 「私は、なんだい?木下優香さん」 「……私なら……どうなってもいい……だから……」 「だから?」 「だから、柚希には指一本触れないで……」 後手に縛られた腕を解体台に強く押しつけ、優香は上体を起こして堂上に訴えた。 足枷につながった鎖が、引きちぎれんばかりに軋む。 「お願い……堂上さん……お願い」 「しかし、母親っていうのはすごいよね。自分がめちゃくちゃにされることより、娘の心配なんだよね」 優香の乳房を愛しそうに揉み上げる関口が、からかうように口を開くと、そのまま優香の耳たぶを軽く噛んだ。 「どこまで強気でいられるかな、みものだよ」 関口は囁きながら、ピンと点を向いた乳首に思い切り吸い付いた。 「い、い、嫌…やめて……」 強がって言い放ったものの、抗いが漏れる。 関口は「怖いんだろ」と言いながら、舌全体を使って円を描くように乳首を舐め、片手で空いた乳房を揉みあげる。 (やめて……そんなことしないで……) 優香は必死に身を捩るが、関口の舌先がリズミカルに乳首を叩き、ときおり前歯で軽く噛む。 「ハウッ」 優香の鼻から熱い息が漏れ、熱しられた鉄を打ち込まれたように躰の芯がジーンと痺れる。 (なんで……なんでこんな時に……無理やりなのに……) 「……卑怯者」 優香の反撃の言葉は弱々しく、桃色に染まり始めた白い肌には汗が浮かび始めていた。 「卑怯者ねぇ」 堂上が、関口に弄ばれる優香を見下ろし、 「そうかもね」 と言うと、優香の頬を思い切り張った。 パチーン! 乾いた音が解体場に響く。 「ヒッ」 短い悲鳴を上げ、優香の眼が見開かれる。 堂上はさらに一発、平手を張る。 「確かに卑怯者だね」 連続で頬を張られ優香の意識が薄くなる。 (いや……叩かないで……お願い……叩かないでください……) 響き渡る頬を張る音をBGMに関口の舌は優香の乳首から這い下がり、逞しく生え茂った陰毛の先にたどり着く。 「そこは……」 (やめて……そこは……お願い……) 「そこは……なんだよ。やめて欲しいの? して欲しいの?」 堂上の平手が容赦なく優香に飛ぶ。 パシーン! (やめて……やめてください) イヤイヤと激しく首を振る優香の頬に、振りぬかれた堂上の平手が返ってくる。 (やめて……やめて……ごめんなさい……やめてください……叩かないで……やめて……) 頬を張られ続ける優香の心は折れ始める。 舌を這わせている関口は、密肉の一本筋を舌でこじ開け、膣口を一周舐めあげる。 (ダメ……そこ……ダメ……) 関口の舌が少し大きめの肉の芽にたどり着いた。 「だめ!」 優香が声を上げた瞬間、 「うるさいんだよ」 堂上がさらに力を込めて頬を張る。 唇の端が切れ、血が滲んだ。 関口は優香の肉の芽をチョンと舌先で叩き、根元をクルリと舌で巻いた。 「ムッ……ムフッ……」 唇を固く結んだ優香の鼻から、行き場を失った息が零れる。 「フッ……フッ……ムッ……アッ……」 (ダメ……そこ……舐めちゃ……いや……) 熱い鼻息がリズムを刻む。 「木下優香さん、何がダメなんだ」 堂上が優香の髪を鷲掴みにし、顔を近づけて怒鳴る。 関口の舌が一瞬、肉の芽から離れ、濡れ始めている膣口に潜入し肉壁を舐めあげる。 「やめて……やめて……汚い……汚れてるの……せめて……せめて、洗わせて……」 優香が小声で呟くと堂上が振り上げた手を止めた。 「そうなんだ、汚れてるからダメなんだ」 優香が大きな息を吐く。 別の羞恥が優香の顔を赤く染める。 「なーんだ」 堂上は優香の血の滲む唇を指先で拭うと優しく笑った。 「大丈夫、あいつは汚れたオマ✕コが大好物だから、気にするな」 堂上が優香に口づけした。 (えっ!この匂い……) 優香は呆気にとられて顔を上げる。 乾いた樹脂の香りが、優香を包む。 漂う香りに誘われ、唇がほどけた。 「ごめんね、痛かった?」 優香は無意識に、堂上の舌を受け入れていた。 関口は二人の接吻を茂み越しに見ながら、再び優香の肉芽を包み込んで舐めあげ始める。 (変な気持ち…この人のキス不思議…あの匂いのせい…それと………あそこ……どうしよう…) 優香の顎が自然と上がった。 「アッ……アッ……アッ……」 (違う……違う……そんなことじゃない……) 「イッ……イ……イ……」 (わたし……何してるの……ゆ……ゆずき……で……で……でも……どうしよう……気持ちいい……下の子……じょうずだよ……) 「奥さん、俺のクンニは気に入ってもらえたみたいだな、俺の口も顎も奥さんのお汁でべちゃべちゃだ」 関口が舌先で肉の芽を転がしながら責める。 (イヤ……言わないで……わかってる……優香の身体……躰の底が痺れてる) 「海斗、逝かせてあげな」 堂上が優香の口から舌を抜いた、唇と唇が透明な糸で繋がっている。 (ダメ……そんなこと……逝かせるなんて……) 関口は再び優香の肉の芽を吸い込み、高速で舌を動かす。 「アッ……アッ……アッ……やめて……吸わないで……動かさないで……ダメ、ダメ、ダメ……優香……ダメ……熱い……どうしよう躰が熱い」 「優香」 堂上が名前を呼ぶ。 「はい……」 「逝きな」 関口が引きちぎれんばかりに肉芽を吸い、芽の付け根を甘噛みする。 「あっ、それ……ダメ!逝く……イクッ…………」 優香は跳ねるように躰を反らし上げ、小刻みに震えて、堕ちた。 (な、なんで……なんで、気持ちいいの……) 虚ろな目で、優香は解体場の天井に這うダクトを見上げた。 関口は下唇で肉芽を撫でながら、 「和也さんが女を堕とすときの顔、ほんと怖いわ」 と軽口をたたき、前歯で一回り膨らんだ肉の芽を強く噛んだ。 「また……イクっ」 優香が連続で痙攣した。 (痛いけど……すごい……) 唇を離した関口が、赤く剥き身になった肉の芽を親指、人差し指、中指、薬指の腹を巧みに操り弄ぶ。 (なんで……なんで、ずっと気持ちいいの……気持ちよくなってる場合じゃないのに、天井が回ってる……何も考えられない……) 一度頂点に達した快感の波は収まることなく、優香の躰を支配し続ける。 時折「ハウッ」と跳ね震わせ躰を浮かしては堕ちる。 そのたびに玉になった汗が弾け冷たい解体台に落ちた。 「まだまだこれからだよ、奥さん」 関口が肉の芽を摘み捏ねながら言う。 (……おかしい……こんなこと……おかしい……なんで……なんで、優香は気持ちがいいの……) 優香の心は恐怖と快感の狭間で揺れていた。柚希のことが頭をよぎるが、与え続けられる快楽に躰は正直に反応してしまう。 「やめて……お願い……柚希を……」 訴える声は弱々しく、絹のようにか細い。 「柚希ちゃんは大丈夫だよ。約束するよ」 堂上が跳ね上がる喉元を撫でる。 「本当……ですか……柚希には……」 「あぁ、約束する。ただし木下さんがいい子にしていればだ。そうすれば約束は守る。約束できるね」 優香はコクリと頷いた。 頬を涙が伝う。娘の安全を想う一心が、優香から否定という単語を奪い去った。 関口の舌が再び密肉に降り始め、優香の躰は再び熱い熱を帯びる。 (どうして……どうして、私がこんな目に……また舐めるの……熱い……あそこが……熱いよ……我慢できなくなっちゃう……) 躰の反応が、抗う優香の意思を塗り替える。快感の波が優香を浚う。 「だから……だから……もう……もう…………」 (じらさないで……我慢が……我慢が、できない……) 優香の涙を堂上の舌が舐めあげた。 「ほら、木下さん。もう抵抗するのやめたら?この躰は素直すぎるよ。素直にしていれば、これからも幸せなママ、幸せな奥さんでいられるんだからさ」 恐怖、屈辱、快楽への渇望。 そして『幸せな家庭を守るため』という大義。 優香は唇を噛み、堂上の言葉を聞きながら目を閉じた。 (……柚希……柚希……ママ……ママ……止まらない……ママ……柚希を……守るから……) 大義が優香を奈落へといざない始めた。 第4話 脚本家の思惑 関口が優香の膣口に舌を突っ込み、赤く熟れた肉壁を舐めている。鼻先が肉の芽の根元を左右に揺らす。 「アッ……あっ……イッ……いぃ……気持ち……いいぃ……」 (柚希のため……圭太のため……家族の幸せのため……) 自分を正当化する大いなる言い訳。大義名分を得た優香は、押し寄せる快楽に素直に身を投げる。 クチャネチャ……クチュー。 肉厚の淫肉で気道を塞がれながら舐め続ける関口の息継ぎの音と、溢れ流れ落ちる優香の大量の蜜汁が関口の顎先を粘らせ圧着し剥がれる、 卑猥な音色が、冷えた解体場の空気の温度を上げた。 「だ……、だ……、ダメだーー」 (いいよね……いいよね……仕方ないよね……) 優香の腰がカクカクカクと痙攣すると、関口は顎から白濁した蜜汁の糸を引きながら顔を上げた。 「奥さんどうだい、俺の舌技は」 「……」 屈辱逝きに下唇を噛みながら余韻を耐える優香。 関口は優香の震える腰下に手を差し込んで臀丘を鷲掴みにした。 とめどなく垂れ落ちる蜜で、ヌラりと光る菊の蕾が露になる。 「美人の奥様はケツ穴も美しいな」 関口は、ニターっと嗤うと、優香の菊皺を指でなぞった。 「ヒャッ」 優香が声を上げると菊皺がキュッと締まる。 関口の人差し指と中指が菊皺に圧をかけV字に開いた。 「そっ……そこは……」 (そこは……そこは違う……やめて……) 優香が開かれまいと八の字筋に力を入れる。 関口の唇が震える菊皺に吸い寄せられる。 「そこは……やめてください……そんなところ……触らないで……ください……」 排泄器官としか認識していない穴を淫らの対象とされる。優香は狼狽え、地団駄を踏むように太腿をバタバタと振った。 (やめて……そこはウンチを出す場所です……汚い……汚いよ……やめて……怖いよ……) 関口の荒い鼻息が伸ばされた皺越しに感じる。 熱がかすめ、肌が粟立つ。喉の奥で息が詰まる。 「……フングッ……フングッ……」 (……やめて……ください……) 優香がきつく瞼を閉じた。 「海斗!そこはとっておけ、って言われただろう」 関口の舌が皺に届く寸前で堂上が止めた。 「はーい」 叱咤された関口は拗ねたように返事をし、優香の腰から手を抜いた。 (よかった……そこは……誰にも……) 「ヒャッ!」 堂上の制止にホッと力を抜いた優香の肉の芽を、関口が指で弾いた。 関口の体温が離れていく。 「俺たちが頂くのは残りの二穴、オマ✕コと喉奥だろう」 ホッとしたのもつかの間、堂上が既成事実のように突きつけた強姦宣告。 (忘れてた……どうしよう……) 優香は目を見開き、堂上を見た。 喉がヒュッと鳴り冷たい汗が脇下に浮かぶ。 堂上の無表情の眼差しが冷たく突き刺さる。 「やっぱり嫌です」 (イヤ……嫌っ……やっぱり嫌だ) 「なんだって?」 「……やっ……やっぱりイヤ……入れるのだけは……私には……愛する夫が……」 この男たちに玩具にされることは覚悟していた。だが、改めて言い渡されると、優香は胸が締めつけられた。 「うん?……どうしたのかな、木下優香さん。僕は約束するといったはず、なのに君は……」 堂上は力任せに優香の髪をつかみ、眼前へ引き寄せた。首がきしみ、涙が滲む。 「い……いゃ……」 「なんでだ」 荒い呼気が頬にかかり、逃げ道はない。 (また頬を叩かれる……嫌だ……叩かれるのはもう嫌だ……痛いのはもう嫌だ) 優香の表情が恐怖で引きつる。 唇が震え、視線が彷徨う。 「でも………」 続きが出ない。 「愛する夫がいるから?可愛い娘が悲しむから?そんなことは関係ないな」 堂上の冷めた目が優香に近づく。 「ここは豚の屠殺場だ。牝豚の貴女はここで逝き殺される運命なんだよ」 (怖い……でも……いや……いやだ……) 「……なんで私なの……もういいでしょ……もう十分でしょう……私頑張ったよ……無理やり連れてこられて……裸を見られて……触られて……恥ずかしい思いさせられて……十分でしょう……お願い……お願いです……もう、お家に帰らせて……」 優香はかすれた声を張り上げた。 上半身を渾身の力で揺さぶり、声を振り絞って抗った。 肩が軋み、喉が焼け、視界が揺れる。 「めんどくせーな」 堂上はそう言いながら、ズボンを下げ、肉棒を掴みだす。 三日月状に反り立った肉棒は、鍛え上げた腹筋を叩かんばかりに天を仰いでいた。 「木下さん、僕は約束を破られることが何よりも嫌いでね……」 透明な先走り汁を鬼頭から垂らした肉棒を握り、堂上が冷酷な表情になる。 「海斗、足枷外せ」 「やめ……やめて……お願い……」 足枷が外されチェーンが床を叩く。 「約束は守ってもらう。何度も自分一人で逝っておいて、今更できませんじゃ筋が通らないんだよ。木下優香さん」 堂上は足枷のはずれた優香の両脚を肩に担ぐと、テカテカと光る鬼頭で充血した割れ目を割き、赤く熟れた淫肉に擦りつける。 「ああッ……いやッ……ああ、やめて……やめ…………」 優香の言葉は届かない。 太いカリ首が膣口をこじ開けて押し入ってくると、優香の脳裏に圭太の面影が浮かんだ。 胸が締めつけられ、息が詰まる。 柚希が「ママ」と笑ってる。 「あぁ……ゆるして、圭太……圭太……たすけ……たすけて…………」 助けを呼ぶ声が喉でつかえ、優香が唇を嚙んで泣いた。 「ゆるして、か……、やっぱり人妻だな。」 待ちきれないとばかりに下着ごとジーンズを脱ぎ捨てた関口が、その体格同様の太い肉棒を、ワナワナと振るえる唇に押し付けた。 「ほれ、口でもしゃぶるんだよ、奥さん。グズグズしてて娘さんが拉致られても知らねーぞ」 (柚希……柚希……柚希……) 「ほら、アーンして」 関口の指が鼻梁を挟むと、呼吸が断たれた。 喉が鳴り、顔が赤く染まり視界が滲む。 堂上の反った肉棒が根元まで押し入る。 「プファーッ……ムグッ……」 優香が大きく息を吸い込んだ瞬間を見計らって、関口の肉棒が一気に喉奥まで突き刺さる。 喉が強く塞がれ、目が泳ぐ。 躰が跳ね、息が途切れる。 (柚希……ごめんね……) 喉奥の関口の存在を感じながら優香は涙した。 牝穴に根まで納まった堂上の肉棒がズンと子宮口を突きあげる。 反りあがった鬼頭が、子宮を撫でるように擦り上げる。 「ヒュイッ!ヒューー、ヒュイィィィ……」 喉に突き刺さる関口の極太の肉棒が気道を塞ぎ、ヒューと汽笛のような悲鳴になった。 喉奥の関口と子宮を突き上げる堂上の動きがシンクロし始める。 「ヒュイッ、ヒュイッ、ヒュイッ、ヒュイッ……」 (柚希……ママは…………ごめんね……ごめんなさい……) ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ……。 優香を突き刺す二本の肉棒。拒んでいるはずの優香の膣から蜜が垂れ押し始める。 「ウグッ……イヒッ……ヒィー…ヒィー、イヒッ……イヒッーー」 (やだ、やだ、やだ、やだ……柚希……柚希……ママ……ダメ……やだ……気持ち……気持ち、いい……) 「ふーっ」 堂上が大きく息を吐き、肉棒の根を優香の淫肉に密着させる。 子宮の上で鬼頭がピクンピクンと小刻みに跳ねる。 (終わってくれる?解放してくれる……) 「ふぉねがい……ふぉねがいひまふ……」 (……家に……柚希の元に帰らせてください……お願いです) 堂上は鍛えた大胸筋を汗で濡らし、もう一度「ふっ」と大きく息をつく。 そして口端をわずかに上げ、嗤った。 「木下優香さん、慣らし運転は終了だ。これからが本番だよ」 優香の中で堂上の肉棒が膨らむ、膣内がいっぱいになる。 「イタッ……なに?……えっ?」  優香の肉の芽に細く鋭い痛みが走る。 優香の喉を責めていた関口が堂上に振り向く、 「和也さん、何かした?」 「緒方先生からもらったやつをね」 「薬物マニアの緒方先生?」 「そう、その緒方先生。こいつはかなり軽いからキチガイになることは無いけど、素人には効果抜群だってさ。色狂いさせるのは次のクリームらしいぜ」 堂上は、優香の喉奥を犯し続ける関口に鉛筆より細い注射針を渡した。 「いやあ……ご愁傷様です。奥さん」 (……なに……今の……?) 刺された場所が、じわりと熱を持つ。 鈍い痺れが、そこからゆっくりと広がっていく。 (違う……おかしい……こんなの……) 優香は身体に力を入れる。 だが―― 腰がわずかに浮き、ドクッっと蜜汁がとめどなく湧き出してきた。 (え……なんで……) 制御ができない。 (どうして、どうして、どうして……どうしよう……) 止めようとしても、奥から溢れてくる。 止まらない。 (ダメ……やめて……動いたらダメ……お願い……動かないで……) 止めようとするほど、内側の感覚が強くなる。 (……うそ……) 「あれあれあれーーー、もう効いてきちゃってんじゃん」 関口がケタケタケタと悪ガキのように笑うと、優香の瞳孔がわずかに拡がり始めた。 (違う……違う……やだ、やだ、やだ……こんなの、私じゃ……) 優香の身体から緊張が解け始め、担がれた太腿の力が抜ける。 堂上は大きく息を吸い込むと、ひと回り大きくなった肉棒をズルズルと這わせるように優香の子宮を押し上げた。 「い、い、いい………ッ」 肉竿が擦れ、鬼頭が子宮の上で収縮運動を始める。 (エッ……エッ……やだ……なにこれ……優香フワフワしてる……どうすればいいの……どうしよう……我慢できない……き……気持ちいいよ……) 優香の腰が意に反してグラインドする。 (違う……違う……違う……) 関口の肉棒も同調するように喉奥でグラインドしながらさらに奥に奥にと侵入し、堂上同様に根まで優香の口に収めた。 優香の上下の穴が肉棒を根まで咥え込んだ。 太い肉棒が優香の気道を塞いで酸素を欠乏させ、子宮の上で収縮する鬼頭が優香の芯に、灼熱の炎を灯す……。内側が焼け、息が詰まる。 抗えば抗うほど、熱が強まる。 「ウゴッ……ウゴッ……ウゴッ……」 (苦しい……気もちいい……死にそう……逝きそう……壊れる……優香、壊される……) 肉棒を根まで咥えた口端から涎が垂れ落ちる。 顎が濡れ、喉が上下し、唇の端で濁った糸を引く。 視線が虚ろになる。 堂上は冷たい目で様子を観察し、担いでいた優香の脚を降ろすと、両膝を外へ開かせ、グイとひと突き優香の下腹めがけて突き上げた。 「ウグッ……」 喉が開いた。 関口がさらにねじ込む。 「ゲ、ゲッコ……」 優香が蛙のような格好で無様に鳴いた。 「奥さん、声も体勢も変えるみてーだな、なぁ和也さん」 関口が喉奥に擦り付けながら嗤った。 「ゲッコ……ムゴッ、ゲッコ……ゲッコ……」 (……みじめだ……優香、みじめだ……帰りたい……家に帰りたい……帰れない……もう……このまま……いっそ……もう……このまま…………) 堂上がなじませるように大きくスライドする。 必死に正常を保とうとする優香の瞳の焦点がほどけ、黒目が曇る。 (……だめ) 優香の瞳孔が宙をさまよう。 (違う……) 瞼が小刻みに震え、視線が定まらない。 (優香は……こんな……) 息が詰まる。胸が痛い。 (戻らなきゃ……柚希のところに……) その名前を思い出した瞬間。 繋ぎとめていた糸が、プツリと切れた。 (……ムリ……もう、無理だ……我慢……できない) 二人の男が腰を回す。 優香の腰が堂上の肉竿の根から離れまいと追従する。 関口が優香の後頭部を押さえ、腰の動きとは逆に回し始める。 「ウゲーツ…ウゲーツ……」 優香の口端から胃液が零れる。 優香を軸に八の字が描かれ優香の黒目が回転し天を向く。 (苦しい……気持ちい……苦しい……気持ちい……気持ちい……気持ちい……もういい……もうどうでもいい……壊して……優香を壊して…………) 蛙のように広がった太腿が痙攣すると、小便がピューッと噴き上がった。 上下の肉棒が躰の奥を揺すり回す。 優香がガクンと大きく痙攣すると同時に堂上と関口が咆哮を放った。 優香に覆いかぶさっていた関口が倒れ込み天を仰ぐ、優香の口端から胃液混じりの薄黄緑の精液が流れ落ちる。 堂上はまだ優香の子宮の上で余韻を楽しんでいる。 「ごめんなさい……」 優香が視点の合わない眼で呟いた。 「どうした奥さん」 精を吐き出し賢者タイムに入っている関口が聞き直すと、優香は黒目を揺らしながらまた「ごめんなさい」と呟き目を閉じた。 優香は朦朧としながら夢を見ていた。 スケートリンクの冷気、刃が氷を刻む音。幼稚園生から大学生まで習っていたフィギュアスケート。 元ペアダンスでオリンピック選手だった先生は厳しい先生だった。 うまく滑れないとみんなの前でお尻を叩かれた。 いつも「先生ごめんなさい」と言っていた。 思春期になり胸も膨らみ腰が丸みを帯びてきても先生はお尻を叩いた。 高校生になってもお尻を叩かれるのは優香一人だった。 大勢の仲間の前でお尻を叩かれるのが惨めで、でも「ごめんなさい」と言った時の先生の意地悪な表情が好きだった。 「この人、白目向いて笑ってるよ」 堂上が優香の中からゆっくり時間をかけて出てきた。 *********************************** 笠原精肉店の店頭では、笠原純一が普段より愛想よい笑顔を振りまいて、夕方の客をさばいている。ときより“臨時休業”と書かれた“パン工房 ゆずの樹”の暗い店内を眺めてはニヤリと笑った。 優香をこの地獄に引きずり込む計画を立てた張本人が笠原純一だ。優香の控えめな笑顔、娘のために懸命に生きる姿に、彼は異常な執着を抱いていた。 「木下優香、そろそろ本当の自分に気づく頃だ。俺が与える世界で、思う存分咲き乱れてくれよ」 そう小声で呟く笠原の声は低く、狂気じみた響きを帯びていた。接客をする笠原のエプロンのポットには、優香をさらに深い闇へと導くための新たな計画が握られていた。 優香を“牝豚”として扱い、支配し、種付けして、売り払う。その倒錯した欲望が、笠原の心を支配していた。 今この瞬間も、この日のために移転させた旧食肉解体場で、入れ代わり立ち代わり犯され続ける優香のことを想像するだけで、パンツに先走り汁が滲んできた。 *********************************** 排水溝の奥で細い水音が跳ね、冷えた鉄の床にポタリ……と響いた。 縄を解かれた優香は解体台から降ろされ、廃業した産婦人科から譲り受けた分娩台に拘束されている。 「もう無理……許して……もう……休ませて……もう……もう……壊れちゃいます……休ませてください……」 唾液と胃液、そして関口と堂上の精液が混じり、開いた口に粘つく白濁の泡が立つ。 「しかしいい女ですよね、オマ✕コの締まりがそこらのガキとはわけが違う。俺なんか口に一発、オマ✕コに二発出してもこの通りですよ、和也さん」 関口は太い肉棒をピクッピクッと動かしながら、優香の肉芽を剥きあげ撫で上げる。 「あ、ああっ……いや、もう……今は触らないでッ……いやッ……ああッ……苦しい……ああっ……」 優香の淫と苦の叫びをBGMに、堂上は大きく開かれた両脚の前にパイプ椅子を置いた。 真っ赤に充血した優香の牝穴から白濁した精液がドロッと垂れ落ち、キュッと固く窄まった肛門の上で泡が一つだけ弾けた。 「触らないでて言ったって、ほら躰は素直だよ」 関口の指の腹が肉芽を撫でる度に、ビクッと優香の腰が浮き上がり、震えよじれる。 もう限界と思っても、巧みな指の動きが、優香の官能を刺激してくる。 (ああ……そんな、そんなことって……) 優香の蜜汁があふれ出し、堂上と関口が放った精子をまた一筋押し流す。 太腿を伝い床に落ちる精子を見ながら堂上が呟く。 「木下さん、せっかくプレゼントしたザーメンを流してもらっちゃ困りますね……今日、俺か海斗の子供を孕んでもらえたら最高なんですよ、そしたら一気に指令を二つクリアなんですから」 (……孕む……指令……クリア……なんのこと……) 「おい、海斗。お前のテクニック自慢はもういいから、例のバケモンでこのだらしないオマ✕コに栓しちゃいな」 関口は名残惜しそうに、 「例のやつですね」 と指を離すと、奥の棚からケースを取り出した。 「ほーら」 ケースを優香の眼のまえに置き、蓋を開けて中身を見せつける。 「えっ……」 (何それ……) 中には、ポリウレタンで丁寧に梱包された漆黒のディルドが収まっている。 関口は「ほら」と自分の二の腕に匹敵する漆黒のディルドを取り出すと、優香の白い首筋に添え置いた。 「ヒッ……」 優香が怯えて喉を引きつらせる。 「ぶっといだろう」 と関口は笑い、支脚器の角度を最大開脚に調整している堂上へ手渡した。 「……………」 (や、や、や……やめて……無理、そんなの無理です……) 精子の垂れる優香の太腿を覗き込んだ堂上は、垂れる精子をすくうと膣内に戻し、肉の芽を口にした。 堂上の舌が舐めあげ吸い噛む、 尖らせた舌が捩じる舐める。 関口とはまた違った舌技に優香は翻弄される。 「いやっ……」 (い、いぃ……) ディルドを恐れながらも甘い吐息が漏れた。 「準備は万端のようだね」 優香の淫肉全体にディルドの先端が擦り撫でられる。 ディルドに塗られたクリームの冷たい感覚に優香は躰を硬直し、 「無理ですぅ」 とかぶりを振った。 「それは試してみないとね」 「ウグッ……」 ヌルっとした感触と共にディルドの先端が牝穴に侵入する。 「裂ける……優香のアソコ……裂けちゃう」 堂上が捩じりながら少しづつ侵入を進める。 「うぎゃ、うぎゃ……」 優香が苦痛で顔を歪める。 「ほら木下さん、もうすぐ真ん中の太っいところ通過するよ」 (どうしよう……どうしよう……いたい……でも、でも、でも……むず痒い……何塗ったの……変な感じ……どうしよう……) 優香の額に油汗が浮かぶ。 「奥さん、ヒッヒッフーだよ」 見守っていた関口が、ティッシュをガーゼ代わりに浮かんだ優香の汗を拭い、真顔で言う。 「馬鹿、それは出産……出すとき。今は逆、ぶち込んでるんだよ」 (そうだよ……何言ってるのこの子……) 優香がフッと笑うと身体の力が抜けた。 その瞬間、堂上が一気にディルドを奥まで打ち込んだ。 「ぎゃっ!」 真っ赤に熱された鉄棒を突っ込まれたような激痛が優香を襲う。 「う、うぎゃーーー裂けるーーー」 笑いが叫びに変わり、優香の口から唾液と精子の泡が噴き立つ。 優香の首が堕ちた。 ブクブクブクと口から唾液と胃液と精子の泡が立つ。 「まさに女体の神秘、このクソでかいディルドまるまる飲み込んじまいましたよ、和也さん」 ピクピクピクと脹脛を痙攣させる優香を見ながら関口は感心したように呟いた。 「本当だな。女って生き物はすごいな……」 コンコン……。 堂上が飲み込まれたディルドの底を叩くと優香は釣り上げられた魚のようにビクイクッと跳ねた。 (なに……私の中で何が鳴ってるの……お腹の真ん中がいっぱい、いっぱい……コン、コン、コンってノックする……このノック……気持ちいい……気持ちいい……) 「き……気持ちいい……」 優香の口から快楽が漏れた。 堂上はその言葉を聞くと関口にディルドの底を押さえさせた。 「ほら、この場所、ここ自分で押さえるんだよ、木下さん」 ふいに両手枷が外される。 「無理……そんなこと……押さえてるなんて……」 「無理にとは言いませんよ。ただ柚希ちゃん、どうしただろうなー。無事かなー。ねっ、木下優香さん」 (そ、そうだ、ゆ……ゆ……柚希…………) 優香は現実に引き戻され唇を震わせた。 「だからね……」 堂上が凍り付くような冷たい声で優香の腕を掴むと、ゆっくりとディルドが収まる淫肉に誘う。 指がディルドの根元に触れると、 「ヒャッ!」 と優香の手が引ける。 しかし脳裏には柚希の笑顔が浮かんでいる。 優香は固く目を閉じディルドの根元を握った。 「ほら、こっちの手でもしっかり」 「このまま、ここで固定ね、柚希ちゃんが大切なら」 堂上がもう片方の手首を掴んでディルドを握る手に添えさせると、耳元でささやいて離れた。 支脚器で限界まで広げられた太腿の付けには二の腕ほどのディルド。 そっと抑える優香の手は震えている。 「……惨めすぎます」 見下ろす堂上と関口に、優香は小さく訴えた。 (惨め……惨めだ……なんでそんな目で見るの……こんな惨めな私を見下すの……リンクの上でも、お尻を叩かれる私を観ていたあの目……今と同じだ……あの時も、今も同じだ……ごめんなさい……無様な優香で、ごめんなさい……) 「惨めか……、じゃあ忘れさせてやるか」 堂上は優香の頬を撫でると握っていたスイッチを入れた。 埋めこまれているディルドがブーンと音を立て振動し、優香の腕ごと子宮を震わせ始める。 「木下さんには、もったいぶらずにマックスでいきますね」 堂上が摘みを最大限に回す。 「うううううう…うわぁーーーー」 (やめてッ……あ、ああッ、いやッ……とめて、とめて、とめて……わ、わ、わたしがとまらない……と、と、とまらない……、優香がとまらない……もう、たまらないッ) 優香は堪らず腰を天に突き上げる。 固定していたベルトがパーンと弾けた。 恥骨が天を差す。 「イグッ―――」 優香は震え、臀部を解体台に打ち下ろした。 「木下優香……柚希ちゃんが大切ならバケモノ落とすなよ」 「イグイグイグイグイグ……」 (そ、そんな……ああ……も、もう……あああ……我慢できない……い……逝っちゃう……優香……逝くっ……) 突き上げ、震え、堕ちる。 その連続動作のスピードが加速する。 優香の見開かれた眼が白目になる。 解体場の壁に優香が臀部を打ち落とすドンドンドンという音が反響する。 (ダメ、ダメ、ダメだーーー我慢できないよーーー) 堂上が優香の髪をやさしく撫でる。 「木下優香、逝くんだ……解放しろ……お前の中の淫らを解き放て」 「イヒ、イヒ、イヒ イィ、イィーーー」 (……もう無理……狂う……気持ちいい……でも……ダメ……でも……柚希……でも……気持ちいい……ど……ど、……う。……もう、どうでもいいや) 優香は綺麗な半円を描いてしなり、 「あ、あああッ……イクッ……優香、もうッ……イッちゃうッ…優香、逝きますぅ!」 叫んで崩れた。 衝撃で優香の淫肉に咥えこまれていたディルドが落ちる。 ぽっかりと口を開いた牝穴が、空腹の鯉の口のようにパクパクとひくつき、シャワーのような潮が噴きあがる。 それからの記憶は斑だった。 ある時は解体台から頭を落とされ、逆さのまま喉奥深くに肉棒を咥え込み、吐しゃ物を吐き出しながら正常位で貫かれ。 ある時は胡坐で座る男の上に跨り、 「逝かせて、逝かせて」 と叫びながら優香自身が腰をグラインドさせていた。 (も、もう、ゆるして……優香、死んじゃう⋯……ああ、ああッ……またッ……あッ、イクうッ……) 優香の快楽はもう声には出ていない、ただ逝ききった眼を泳がせ、口を開き「ぐぅぅ………」と唸るだけだ。 もう何度も白濁の精を放っているのに、この二人は疲れることを知らない、飽きることなく優香を抱き、精を放った。 (ああ……、本当に狂っちゃう……狂うのって……嫌じゃない……幸せ……?違う……でも……) 優香の眼が宙を掴む。 (これでいい……だって……柚希を守れるなら……幸せ……これで……優香の幸せが守られる……) 男たちが満足し、優香の身体から離れた時にはすでに八時間近くの時が過ぎてからだった。 「今日のところは、こんなもんか……」 堂上はハアハアと息を切らすだけの優香を肉吊り下げ用のフックにひっかけ吊るしあげた。 長い四肢をダラーンと伸ばし吊らされる優香。 「もうここまでくると、ただの穴の開いた肉塊だな」 堂上はそういうと、肉塊と化し吊り下げられた優香を揺らした。 木下優香と言う名の肉の塊がギシッギシッと軋み揺れる。 その揺れを眺め堂上はスマホを取った。 「もしもし、堂上です……はい……予定どおりです……堕ちました……それはバッチリです……はい、そのように」 (……誰……堕ちた……でも、今はいい……いまは……) 吊るされた優香の眼がスマートフォンを握る堂上を捉えた時、再びガーゼが口を覆った。 世界が白い闇に沈んだ。 *********************************** 優香の夫であり柚希の父親である木下圭太は、デスクの上に積まれた資料に囲まれ18時からの会議資料の作成に追われている。 机上のスマートフォンが震えた。 画面には050から始まる見知らぬ番号が表示されている。 「木下さんのご主人ですね。市立病院の事務の者ですが……」 圭太は席を立ち、執務室を出た。 「柚希の容体は……? 妻に電話しても出ないもので……」 堰を切ったように言葉が続く。 「お嬢さんは軽い発作だったようで、いまは点滴で落ち着いていますのでご心配なく。あと奥さまですが、よほど心配だったのでしょう、お嬢様が落ち着かれますと貧血を起こされてしまい、また医師の診断では疲労が溜まっているようで、今はお嬢様の隣で点滴を受け、休まれています」 電話の男は圭太を気遣うように説明した。 「よかった。今夜は仕事で遅くなりそうですが、必ず向かいますと伝えてください」 「それでしたら、点滴の前に知人の方にお迎えをお願いしていたようです。旦那さまはお忙しいから、と」 胸をなでおろし、圭太は小さく息を吐いた。 「お恥ずかしい話ですが、助かります」 (少しは優香のことも考えてやらないと……) 圭太は通話を切った。 ツー、ツー、ツー。 切断音を確認してから、ノエル庵野は受話器を置いた。 「柚希ちゃん、ごめんね」 窓の外はもう夜だ。机の上には紙コップと散らかったカードゲーム、テレビでは天気予報が流れている。 *********************************** “社長室”と札の貼られた、笠原精肉店の倉庫兼事務室で笠原は、目の前に並ぶモニター群を眺めていた。全てのモニターに赤いRECが点滅し全てを記録する。 「木下優香。想像以上の女だ」 スコッチウイスキーを一口で流し込む喉が鉄で焼けたように熱い。 複数方向のカメラが映す優香は、肉塊のように吊られ、ゆっくり揺れていた。 「肉の専門家だからわかる。この肉は間違いなくA5だ特上のA5だ。時間をかけて熟成させる。この最上級の肉を最高のシェフがどう調理するか、考えるだけで……」 笠原はスイッチを切り替え、同時刻を表示するモニターを一つずつ確認しながら熱く硬直する肉棒を握りしめた。 第5話 屠殺場への招待状 真夜中の“パン工房ゆずの樹”。 米粉で白くなった床の上で優香は目を覚ました。全身の節々が猛烈に痛み、下半身に鈍い異物感が残っている。 (……なんでお店に……) 重い頭を振り上体を起こそうとすると、掌には一本のUSBメモリが握られていた。 「なんだろう……」 机のノートパソコンを立ち上げて差し込むと自動再生が始まる。 『あぁーー、気持ちいい……うっ……ウグッ……優香……た、た、足りない。こんなんじゃ……足りない……』 スピーカーから流れる淫らな叫び声が、パソコンのファンの唸りをかき消す。 優香は急いでボリュームを下げた。しかし目は画面に釘付けのままだ。 そこには、目を疑うような光景が映し出されている。 (これ……私だよね……) 『気持ちいい、逝きそう、もっと優香を逝かせてください』 と寝そべる関口の上にまたがり、懇願し恥丘を押し付けて腰を擦り回す優香。 『もったいない……お掃除させて』 顔面に受けた精子をすくい舐め堂上の大きなカリ首に舌を這わす優香。 そしてモニターにアップに映された優香の唇が、 『壊して……もう……何が何だかわかりません……あっ……もう遅いか……もう壊れてるよね……』 と訴える。 瞳孔は開ききり、涎を垂らす、もう一人の優香がそこにいた。 「これ……本当に私?……何なのこの顔……」 途中から記憶が断片的とはいえ、信じられない光景に優香は絶句した。 「これ無理やりじゃない……犯されてなんかいない……私が……私が自分から求めてる」 画面の中の淫乱な瞳と目が合った。 その瞳に吸い込まれた優香は、その場に崩れ落ちた。 *********************************** あの夜からひと月。優香は柚希を、商店街の“放課後学童クラブ”から退会させた。 堂上との接点は絶たれ、彼からの連絡もない。 忙しさに紛れ、こびりついた記憶も少しずつ薄れていった。 そんな日常を取り戻しつつあった、ある日の午前。店のレターボックスに、切手も貼られていない一通の黒い洋封筒が投函されていた。 差出人はない。 「誰からだろう」 工房の椅子に座り、ナイフでシーリングワックスの封を切ると、写真が一枚はらりと床に落ちた。 「!」 拾い上げた優香の手が小刻みに震える。 そこには、優香が家畜の肉塊のように全裸で吊り下げられ、口からも牝穴からも白濁の液をたらしている姿が写されていた。 写真の中の優香は白目を剥いて阿呆の様に笑っていた。 (……違う……こんなの私じゃない……でも……あの顔……あれも……優香……なの?) 戸惑い写真を見つめる優香。 写真の裏側を見ると、 『この写真を商店街の電柱と言う電柱に貼ってもいいんだよ。幸せな家庭が守りたければ、今日の一四時に沿線の倉庫街に来ること。そこで私からの電話を待て』 メモが書かれていた。 時計は12時30分を回っていた。 (……行かなきゃ……これ以上……壊されたくない……柚希を守りたい……圭太と離れたくない……だから……行くしかない) 幸せな生活を守るため、優香に選択肢はない。 成形途中のパン生地を急いで冷蔵庫にしまい、カフェエプロンを机に投げ店を出る。 そして入口の看板を“CLOSED”に返した。 *********************************** 「木下優香、罠にかかったな」 向かいの店先で見張っていた笠原純一が、喉の奥で笑う。 「堂上君、素材の生肉が出荷された。頼んだよ」 笠原はすぐに堂上へ電話をかけた。 通話中も、蛇のように粘る視線で優香を追い続ける。 「すまない、午後は精肉場に出かけるから、店番を頼んだよ」 奥の調理場で揚げ物をしている従業員に声をかけ、笠原はエプロンを外した。 *********************************** 秋の気配を含む風が倉庫街を抜け優香の頬を撫でていく。 (……ちゃんと終わらせなきゃ……) ふわりと揺れた黒髪が色白の頬を隠し、髪を戻す指先が震える。 ブブッ……ブブッ…… 14時ちょうど、ポケットの中のスマートフォンが震えた。 通話ボタンを押すと、低く落ち着いた声が届く。 「木下さん、よく来てくれたね」 「だ…だれなの…」 「あれ、私の声はわかりませんか。向かいの肉屋の笠原ですよ」 電話の主は商店街の副会長・笠原純一。優香が店を開いたときの案内役で、いつも穏やかに笑う男。その笠原がなぜ?優香は戸惑う。 「笠原さん……どうして?どうしてあなたが……ど……どうして……もしかして、ほかにも知っている人がいるの?」 矢継ぎ早に問いただす優香の声は震え、語尾が滲み、そして涙声へと変わった。 (なんで笠原さんが?あの日のことを知っているのは笠原さん以外にもいる?いったい誰の差し金?それとも、首謀者は笠原……) 疑問が膨らむと同時に、いつも値踏みするような笠原の目を思い出し、優香は嫌悪感で身が震えた。 笠原は電話越しに『ククク……』と喉の奥で笑い、優香のうろたえを楽しむように続けた。 「まだ僕とあの二人以外は知らないさ。今はね。 ただし」 笠原は語気を強めた。 「それはあくまで僕のルールに従ってくれたら、ということです。目の前の倉庫の裏手に進んでください。その先に僕はいる」 圭太には知られたくない。 柚希を守りたい。 二つの想いが、背中を押した。 優香は意を決して、足を踏み出した。 倉庫の裏手には、忘れようにも忘れられない黒のワンボックスカーがハザードを点滅させて停まっていた。その瞬間、笠原こそがあの時、堂上が敬語で話していた相手であり、一連の悪夢の首謀者だと確信した。 助手席側のドアが開き、堂上が降りてくる。 「木下さん、本日も送迎に上がりましたよ」 まるで執事のように、左手を胸に当てて一礼した。 (こわい……恐ろしい……どうしよう) 優香はその場に固まった。堂上がゆっくり間合いを詰めてくる。 (逃げよう……無理だ……逃げなきゃ) しかし足は動かない。心臓だけが早鐘を打つ。 「さあ、お車に」 気づけば堂上の手が腰に回っていた。 一歩進むたびに膝が抜け、座り込みそうになる。 背を押されて歩を進めるごとに、目の前の黒いワンボックスが霊柩車に見えた。 ワンボックスカーに辿り着いた優香の目の前で、スライドドアの機械音が響きドアが開いた。奥の窓際には笠原純一。運転席には関口海斗。あの夜、優香に飽きることなく精を放った若者が、嘲るように口元を歪めた。 (やだ、やだ……ムリ……ムリ……) 優香が固まる。 「さあ行きましょうか」 堂上に背中をトンと押された優香は、つんのめるように車内へ押し込まれた。 押された弾みで笠原の太腿に手を着く。 「イヤッ」 優香は、汚らわしいものを見る目で一瞥し、さっと身を離した。 「……何が目的?……私をどうするつもり?」 優香は声を絞り出す。 無言で優香を値踏みしている笠原に代わって、堂上が口を開く。 「目的?そりゃあ、木下さんを自由にすることさ。笠原さんの計画に則ってね」 「自由……って……」 (逆じゃない) そう言う間もなく、堂上も後部座席に滑り込み、スライドドアを閉めた。 右に笠原、左に堂上。狭い後部座席で挟まれ身動きが取れない。息が詰まり、シートの軋む音がやけに大きい。 「じゃあ、行きましょうか」 沈黙を破り、笠原が口を開いた。 「どこに……ですか?」 「どこって?それは変なことを聞きますね、木下優香さん。牝豚は養豚場に行くと相場が決まってますよ……牝豚優香というブランド肉の品質を管理し、熟成させ、市場に高値で出す必要がありますからね」 (牝豚?ブランド肉?……この人、やっぱり狂ってる。……逃げなきゃ…逃げなきゃ……) 「……帰ります。降ろして。今すぐ車を止めて!」 優香は身を乗り出し、運転席の背もたれを拳で叩いた。噛みしめた唇から血が滲む。 「止めろ……止めろ……」 呼気が荒く、声がかすれる。 「誰か助けて、え……えっ…………」 優香の身体から力が抜け、スローモーションのように堂上へ崩れ落ちた。 「えっ、どうした?……どうしました……木下さん」 受け止めた堂上の視線が、スリットから覗く脚に刺さった注射針を捉えた。 笠原は針を抜き取り、 「死ぬ前に暴れる豚にはこいつが効くんだよ。いいかい後学のために覚えておいた方がいい。これで殺しちゃダメなんだ。薬で殺した肉は美味くないから。豚は生きて殺すんだよ」 そう得意げに言った。 第6話 肉屋の目利き 四人を乗せた黒いワンボックスカーは、笠原の精肉加工場から少し離れた養豚場併設の旧解体場に横付けされた。 「おーい、起きろ。起きろって」 関口の大きな声が耳元で響く。 肩を激しく揺さぶられ頬を張られる。 (この臭い……) 鼻の奥に届く、屠殺された動物の血と内臓の臭い。 意識が覚醒する前に身体が先に目覚めた。 子宮が小さく収縮し、息が詰まる。 ――やめて。 意識が浮上し、重たい瞼がゆっくりと開く。 視界が、にじんだ。 (笠原……さん……) 革張りのソファーに、輪郭の滲んだ笠原純一が浮かび上がる。 まとわりつく嫌な感覚に背筋が冷えた。 「この前も、こうやって起こされましたよね」 堂上の「この前」の台詞に、堂上と関口とのあの夜の記憶が鮮明に蘇る。 優香はハッとして着衣を確かめた。 「大丈夫ですよ、木下優香さん」 優香は、恐る恐る自分の服に手を当てた。布の感触を確かめ、小さく安堵の息を吐いた。 「私は、そんな無粋な真似はしません」 笠原は柔らかな笑みを浮かべる。 その微笑と丁寧な声色こそが優香には恐怖だった。足を組み、革のソファーを愛おしげに撫でる笠原。 「いいソファーでしょう。ここで屠って鞣した豚革で仕立てた一点ものなんです」 鼻翼を膨らませ、“鞣した”と語る口調が不気味さを増幅させた。 (どうにか……どうにかしなきゃ。逃げなきゃ……) 優香は気づかれないよう、ゆっくりと視線を動かし出口を探る。 優香の視線の動きに気が付きながらも笠原は、自分の世界に酔いながら、自慢のソファーを撫で、脚を組み替えた。 「木下優香さん、早速本題に入りましょうか」 笠原と優香の視線が絡む。笠原の瞳には言い知れぬ狂気が宿っている。 胸の奥がざわつき、肌が粟立つ。 「単刀直入に言います。あの夜を知るのはここにいる四人だけ。で、私が堂上くんに『戻せ』と命じなければ、あなたは家にも家族の元にも戻れなかった。ましてや柚希ちゃんのためにパンを焼くことも……ね。違いますか?」 言葉は刃となって優香の芯の底をえぐる。 (この人、何を言ってるの……) 笠原の粘った目が優香の答えを待つ。優香の答えは「はい」しか用意されていない。 「そう。つまり、木下優香は、私に感謝している。……そうですよね?」 「……はい。とても……」 (狂ってる……話に……ならない) 屈辱で声が震える。 優香は唇を噛み、目を伏せた。 (こんな男に……なぜ……) 汗ばむ手で、ユニフォーム代わりのデニムスカートを強く握りしめると、布地が指に食い込んだ。 「どうせ……」 笠原が本音を切り出した。 「どうせ二人に穢された身体でしょう。単刀直入に言いましょう。この私にも、……ねぇ。……楽しませて欲しいんですよ」 笠原は鼻でフンと笑い、さも当然のように言い放った。 優香の顔から血の気が引く。 「そ、そんな……」 ここへ来てからの笠原の狂った言動を思えば、あり得なくはない。だが、脅してまで躰を求めるなど……。 「ば、ばかげてる……」 優香は吐き捨て、言葉を失った。 だが、笠原の表情は変わらない。拒絶を愉しむように口角だけがわずかに上がり、瞳は氷の様に冷えていく。 「本気ですよ。あの日以来、本来の淫欲に忠実に狂う木下優香の牝の姿を、繰り返し観続けているのです。 ……どの画面から見ても、特上の肉。ご存じのとおり私は肉屋ですからこの肉は、堕とさないといけない。いうなれば職業病ですかね」 笠原は身振りを交えて、一気にまくし立てた。 その様子に、優香の身体が凍りつき、頭が真っ白になった。 「考えてみてください。あなたに選択肢はない。夫に知られたくなければ……、可愛い娘に知られたくなければ……、そうです。私の言うとおりにするしかない。そうでしょう?」 笠原の声が頭の奥に響く。圭太と柚希の顔が脳裏に浮かぶ。 (だめ……脳が追いつかない……柚希……圭太……助けて) 愛する娘を守るため、夫との平穏な生活を守るための術が見当たらない。 「……言うとおりにすれば、本当に夫には内緒にしてくれるんですね」 か細い声で問うと、笠原は満足げに微笑み、「では、始めましょうか」と言いながら、ソファーから腰を上げた。 *********************************** 優香が追い詰められている頃、木下圭太はオフィスのデスクで書類の山に埋もれていた。『金融に携わる者は身だしなみが命。スーツをスマートに着こなしてこそ一流の銀行マン』が口癖の圭太だが、連日の激務でろくに帰れず、顔には疲労が濃く浮かんでいる。鋭い二重の目は書類を睨んでいる。だが、心は別の場所にある。 「優香、最近様子がおかしいよな。いや、俺が忙しすぎるだけか」 唇の内側で呟き、そっとペンを置いた。 妻を愛している。だが、優先順位は仕事が先になり、気づけば家庭はいつも後回しになっていた。 「課長補佐、そろそろ会議です」 部下の声に顔を上げ、圭太はいつもの冷静さを装った。 「ああ、すぐ行く」 立ち上がり、襟を正す。それでも胸の底の不安は拭えない。 大切なものが、静かに遠のいていく。そんな予感だけが、胸の奥に残った。 *********************************** ポタリ……。 錆びた天井ダクトから落ちる水の音が、優香の心臓の鼓動に重なった。 笠原はソファーから立ち上がり、一歩また一歩と間合いを詰める。商店街副会長の柔らかな面差しはそこにはない。 「約束しますよ。それに木下さんが素直なら、決して酷いことはしない。なにも、貴女のオマ✕コを頂こうってわけではないんですよ」 笠原の声色が穏やかであればあるほど、優香の心が騒めく。 「……信じて、いいのですね……」 優香は目を伏せ、震える声で訊ねた。 笠原は薄い笑みを浮かべた。肉を目利きするような視線が優香の全身を這う。 優香の首筋に悪寒が走る。 (怖い……この男は危険だ……逃げられないとしても、せめて……) 優香の視線が逃げ場を探る。だが、堂上和也と関口海斗が黙って出口を塞いでいる。 「君たちも、わかったな。酷いことはなしだ」 堂上は涼しい声で「承知しました」と応じる。 関口は「へい、俺たちゃ見てるだけだ」と、嘲るように笑った。 ポタリ……。 (見られるくらいなら……) ポタリ……。 (……触られるよりは……いい……) ポタリ……。 (……まだ戻れる……まだ……) 優香は自分に言い聞かせ、目を固く閉じた。 (この三人はまともじゃない……見られるくらいで済むなら) コツ、と笠原の靴先が床を鳴らす。距離がまた一歩縮む。 「では、私の目の前で立ってもらいましょうか……」 笠原の両掌が下乳に添えられ、乳房の大きさを確かめるように掴むと、優香をソファーから立たせた。 「や……やめて……ください……」 消え入りそうな声で恥じらう。 笠原の掌は乳房から這い降り、デニムのスカートの上から優香の腰を撫で、ゆっくりと臀部の曲線をなぞる。 優香は息を呑み、身体を硬直させた。 掌はさらに大胆に動き、深いスリットに手を滑らせ、太腿の裏側を撫で上げた。 「絹のような腿だ。その肌理を確認させていただきますよ」 笠原の手がスカートを下げ、下着を露わにする。 「あ、そんな……いやッ……」 唇が震え、声が裏返る。 「……?……木下優香さん……いや?……なのですか?」 笠原の声は冷ややかだ。 逃げ場を削るように、優香を追い詰める。 「………」 頬に熱がさし、視線を逸らす。笠原の手が薄いシルクの素材を超え、逞しい茂みへ忍び込んだ。 「いやじゃないなら、『嫌じゃありません』とはっきり言いなさい」 優香は唇をきつく噛み、目を閉じ、 「……嫌じゃありません」 喉の奥から絞り出すように呟いた。 「では、承諾したということ……ですね」 笠原は意地悪く笑うと、パンストとパンティをひとまとめにして膝まで引き下ろした。露わになった白く丸い臀部に冷気が触れ、羞恥がひりつく。 「あ、ああ……」 腰をよじり、手を振り払いたい衝動に駆られる。だが拒めば圭太に知られてしまう。あの姿を見た圭太は自分を放り捨てるだろう。離婚となれば、命より大切な柚希の親権を奪われる。 失う恐怖が優香の心を縛った。膝が崩れ落ちそうな屈辱に、今は耐えるしかない。 「素晴らし……色、形、張り。素晴らしい……素晴らしいお尻だ」 笠原は腰をかがめ、ウンウンと頷き、まるで絵画を鑑賞するように優香の双臀をまじまじと眺める。 「尻も見事だが、こちらも……」 笠原の手がカットソーに掛かる。 「バンザイしなさい」 頭は従えと言う。だが身体が拒む。 「早くするんだ」 優香の臀部に平手が飛んだ。優香の膝が小刻みに震える。優香の両腕がゆっくりと上がっていく。 再び笠原の手がカットソーにかかり、一気に剝ぎ取られた。 柚希と一緒に考えた“ゆずの樹”のロゴの入ったカットソーが薄汚れた床に落ちる。 「美しい……」 こぼれ落ちた釣鐘型の乳房を目にした笠原から、感嘆のため息が漏れる。 「これだけ素敵な形と張りがあるのだから、このような無様な布は不要ですね」 乱暴にブラジャーをむしり取られ、ブラジャーから弾き出るように豊満な胸が露わになった。 笠原は両膝を床につけると血走った眼で顔を近づける。 「ムフッ。意外と乳輪の色は濃く大きいのですね。そして乳首も葡萄のようにしっかり膨らんでいる。どうやら柚希ちゃんは母乳で育てたようですね」 鼻を鳴らしながら、優香の乳房に顔を近づけ鑑賞する笠原。 荒い鼻息が乳首に触れる。 「いや……」 優香は思わず両手で隠そうとした。 だが、笠原の眼が制する。 「もう……許してください……」 優香は声を震わせて懇願したが、笠原は乳房から目を離さず首を振った。 「しかし、いい躰だ……もっと、もっと美しくしてあげよう」 (何をする気?……もうこれ以上、辱めないで……) 優香が顔を背け身を固くする。笠原は名残惜しそうに立ち上がり、 「うちの店で作る自家製のハム、あれはですね肉の状態を手で確かめながら、形が崩れないようさらし木綿で固く巻くんです。時に強く、時に弱く。糸の巻き加減には職人の勘が冴える。つまりは縛り吊るし熟成させる……実は私は緊縛愛好家なんですよ」 笠原はそう言うと、壁に吊るされていた麻縄の束を手にした。 ポタリ……ポタリ……雫が落ちる。 優香の脳裏に、あの日の記憶が蘇る。解体場の冷たい床で縛られ、自由を奪われた感触。優香の身体が震え、消えたはずの縄跡が、抵抗する気力を奪っていく。 笠原は「さぁ」と言うと、縄を一束咥え優香の両腕を背中に回した。口元から咥えた縄を離すと、よく鞣された縄束が優香の手首にはらりと落ちた。 「木下優香、躰の力を抜きなさい」 首元で笠原が囁くと、優香から抗いが消えた。 両手首が極められ縄が優香の上乳に這う、笠原の縄は時に素早く、時に縄が愛撫するようにしっとりと優香の肌を這い滑る。縄が肌に食い込むたび、息が乱れ、優香はゆったりと縄に抱かれていった。 (どうしたの優香……なに……なに、この浮遊感……やだ……怖い……怖いよ……) ポタリ……ポタリ……ポタリ……ポタリ…………、落ちる雫が止まらない。 白い肌に汗が滲み浮かぶ。顎が上がり吐く息が荒くなる。 ポタ……。 優香の中で音が反響する。 (ここちいい……なに、この男……縛られているのに……いい……) ポタ、ポタ、ポタ……。 (……違う……これは……そんなんじゃない……) ポタ、ポタ、ポタ、ポタ、ポタ……。 (……そう……我慢してるだけ……) ポタポタポタポタポタポタ……ポタ! (柚希のため……だから……仕方がない……) ふらり、ふらーりと優香の躰が揺れた。 「それじゃ、木下優香。この上に乗ってもらおうかな。この台は、解体した家畜の内臓を分類するのに使ってましてね」 笠原は楽しげに言うと、三段の踏み台に誘った。 優香の抵抗する意識は薄れていく。 一段脚を掛けると、ふらっと倒れそうになる。平衡感覚が失われ笠原に躰を預けてしまう。一歩一歩踏み段を上がる。たった三段の踏み段を登りきるころには優香の全身は汗だくになっていた。 肉の解体台に上がりきると優香は膝からゆっくりと倒れた。優香の頭の先にはソファーと同じ質感の小さなクッションが置かれている。 「さぁ、このクッションに美しい顔を乗せて、うつ伏せに寝なさい」 「はい……」 優香は言われるがままに、クッションに顔をうずめ解体台の上にうつ伏せになった 。冷たい金属の感触が肌に触れ、身体が震えた。 (……あぁ……あの夜も、この台で……) フラッシュバックが優香を襲い鮮明な映像が脳裏に映し出される。「やめて……お願い……」とか細い声で懇願したが、笠原はその言葉を無視し、優香を見下ろした。 「木下優香、貴女は何か勘違いをしている。私たちはただ、木下優香と言う極上の肉の美しさを堪能したいだけですよ。なぁ、堂上君、関口君。どう思う?」 堂上は冷ややかな視線を優香に投げかけ、「確かに、笠原さんの言う通り、美しい。……上質な素材ですね」と感情のない声で答えた。 三人に見下ろされる中、うつ伏せの姿勢だけがせめてもの救いだった。優香はクッションに顔を埋め、突き刺さる視線を遮った。 「アッ……」 笠原の手が優香の両肩、肩甲骨、そして綺麗な線が描かれたヴィーナスラインを撫で、双臀を周回し、後手に縛られた指を撫でた。 縄に酔わされ火を入れられた躰の芯が熱くなる。 笠原の指が優香の指から離れる。 (離さないで……) 優香の十本の指が、離れていった温もりを探す。 指を動かし求めながら優香は涙を落とした。 「泣くことはないですよ。ほら、私たちはただ、貴女の美しさを讃えているだけ。もっと素直になって最高ランクの肉として美しく、その赤く熟れた全てをさらけ出してください」 (私はただの肉の塊……それでいい……優香じゃない……それなら……) 「ただし……最高の素材が最高の商品になるとは限りません……」 笠原の声が解体場に響く。 「プロの肉屋の手で無駄を削り、木下優香と言う肉を磨いて差し上げます」 笠原の手が、優香の淫部へと伸びた。 (やめて……お願い……もう……わたし……戻れなく……) 優香の身体が、びくりと震えた。 第7話 菊蕾ほころぶ 屠畜され、皮を剥がれた家畜のように、優香の裸体は無防備に晒されている。 笠原は縄を足し、肉を吊るすためのフックに掛けた。 解体台に置かれた優香は、肉の塊と化していく。 「本当に惚れ惚れする完璧な肉体だ」 笠原純一は至極の時間を味わっていた。 ギシッ……。 笠原が肉塊を押す。 ギシッ……ギシッ……。 縄が軋む。 木下優香が商店街にパン工房を開いたあの日から、笠原はこの時を思い描いてきた。毎日声をかけ、娘の柚希のために放課後学童クラブも作った。そこに信頼できる堂上和也を雇用してボランティアとして送り込んだ。これもみな、この日のため、これから始まる壮大な計画のためである。 笠原は飽きることなく、無力化した優香を眺めていた。 「な……何をするつもりなんですか……?」 堂上と関口が無言で近づき、俯せに寝る優香の腰に手を差し込む。 腰がわずかに浮き、重心が肩へ落ちると自然と臀部が天を向いた。 笠原が優香の双臀を撫でた。 「これ、わざわざ竹林に採りに行ったんですよ」 腰だけ上にあげた優香の脇に立つ笠原は、そう言いながら解体台の下に置かれていた150cmほどの青竹を取り上げた。 優香は首を捻ってみるが、全容は見えない。代わりに柔らかく弾力のある感触が膝裏に当たり、圧が加わる。 「えっ……えっ……」 優香の膝が胸元に押され、意思とは関係なく、双臀が高く上がる姿勢にされる。 「竹を押さえてください」 堂上と関口が青竹の端を支えると、笠原は素早い縄さばきで両膝窩と両足首を青竹に固定した。 優香の太腿は大きく広げられ、密肉の一本筋が割れ、真っ赤に熟れた膣肉が露になった。 「い……い……いや……見ないでください……」 縛られた両掌が助けを乞うようにもがく。 優香の白く丸い双臀は緊張で硬く引き締まり、冷たい空気の中で産毛を立て、細かく震えている。 「改めてだが、堂上君、関口君。これは本当にいいケツの肉だ。これだけ張りがあって、きめの細かい質感、そして形の良さ……生まれてこの方、こんな極上のケツ肉にはお目にかかったことがないよ。ケツの色、形、そこから下がれば真っ赤に熟れた淫らな赤身。うーん。紛うことなき最高級だ」 優香が「見ないでください……」と囁くように言い、裂け目を閉じようと腰を捩る。 ギシッ……と青竹が短く鳴った。 パシーン。 優香の臀部を掌で打ち付ける音が響く。 ギュッ……。 青竹が鳴る。 「本来、肉を柔らかくするためにはミートハンマーを使うのですがね、それではこの美しいお尻が壊れてしまう、なので今日はこれで勘弁してくださいね」 打ち下ろされた掌が優香の臀部を撫で回し、つかみ、揉み、また叩く。その動作は、まるで肉の品質を確かめる職人のようだ。 優香の肌に触れる笠原の掌は冷たく、そしてねっとりと熱を帯びていた。 「素晴らしい。責めがいのあるケツだ。なんという肉づきだ。なぁ、堂上君、関口君」 笠原は優香の両端に立つ二人に声をかけた。 「命令通り、そこには手をつけてませんよ。笠原さんのために、ちゃんと残しておきました」 「へへ、俺、もう少しで頂いちゃいそうでしたが我慢しましたよ。なにせ、そこは笠原さんの特別な楽しみですからね」 関口も粗暴な口調で付け加えた。 笠原は「うん、うん」と満足げに頷きながら、なおも優香の肌を叩き揉み続けた。 「私はね、女の尻が何よりも好きでしてね。だからあの二人に、この部分に手を付けるのを禁止していたんですよ。私はこの部分さえあれば、あとはどうでもいい。木下優香の肛門を責める。私の長年の思いが、ようやく叶う時が来たんです」 笠原は優香の臀丘の谷間を割り広げ、優香のすぼんだ肛門を露わにした。 「ヒィッ……そんなところ……いやですっ。いやあ……やめて、やめてください……」 優香の身体は瞬時に硬直し、恐怖と羞恥で懇願しながら泣いた。 笠原が異常な嗜好を持つ男だと気づいた時には、すでに遅かった。優香の声は掠れ、唇が乾いていく。 「可愛いなー。思った通り、まだ手つかずなんですね」 「いや、そこは……いやですっ……」 笠原の目は、優香の反応を一瞬たりとも見逃さないと言わんばかりに見開かれている。 「いやっ……見ないで、そんなところっ!」 「見るだけじゃないですよ、奥さん」 不意に笠原の指が優香の肛門の皺に触れ、一皺一皺確かめるように外周を回り、指腹で圧をかける。 「ヒイッ」 (やめて……そんなところ……触らないで……) 笠原がニタリと嗤い、フーッと一筋息を吹きかけた。 ビクン。 吹き付けられた息が、じわりと肌を這い上がる。 (やだ……そこ……汚いのに……どうして……) その熱の中心に、指が触れた瞬間、背筋に電流が走った。 (違う……違う……こんなの……) 逃げようと腰を引こうとする。だが―― (……違う……でも……これでいい……) ツ、ツツーッ。 菊蕾に唾が垂らされる。 固く閉じられた蕾が開く。 「アッ……」 (だって……) 腰が、かすかに震えた。 (……うっ……?) 嫌悪のはずなのに、奥の方が微かに反応する。 (やめて……お願い……) 否定しようとするほど、その感覚が消えない。 (なんで……なんでこんな……) 喉が詰まり、息が浅くなる。 (最低……優香……最低だ……でも……柚希の……仕方が……ない……) 「だめだよ、木下さん……かわいそうだけど、こうなった笠原さんは誰にも止められないよ」 堂上が放つ声には同情の欠片もなく、ただ事態を傍観する冷ややかさだけがあった。 「せめて切れないように、力を抜くんだな。ほら、『うーん』とウンチするときみたいにさ」 関口が言葉を被せる。二人の笑い声が解体場の薄暗い空間に響き、優香の心をさらに追い詰めた。 「では、磨き始めますか」 笠原の声が白く丸い臀肉に反響する。 (圭太……助けて……) 「やめて……そこは……やめ……」 優香の身体がびくりと跳ねると、声の色が変わり始めた。 「ウグッ……」 (……いや……) 「グッ……グッ……」 (……違う……) 「アッ」 (……でも……) わずかに、腰が揺れた。 「アッアッ……」 (……やめて……) 「アッ、アァーー……」 (……やめたいのに……) 「アッ、イ、イッ、イ……」 (……止まらない……) 優香の中で、何かが音を立てて崩れ始めた。 「アッアッアッア、アアー」 (……だめ……だめなのに……い……い……) 第8話 目覚め、もう一人の優香 竹の繊維がきしみ、フックに掛けられた余縄がピーンと張る。 肛虐の形が整うと、圧をかけている指腹が、ゆっくりと門扉を押し開いていく。 (だめ……ここは、誰にも) 誰にも触れさせたことのない排泄器官に、笠原の指が押し入ってくる。 メリッ……メリッ……。 中指の腹が肛門を押し曲げ、第一関節が埋まる。 「いや、いやッ……触らないでッ……お願いします……入れないで……」 頬を冷たい台に押しつけた優香の白い首筋には血管が浮き出ている。 必死に許しを乞う優香と笠原の目が合う。 「木下さん力を抜いて」 青竹を引くと優香の頬がステンレスの台に擦れ、美しい顔が無様に歪む。 一旦収まりかけた中指が押し戻される。 「いやいや、なかなかの難敵ですな、処女肛門は。そんなこともあろうかと、この日のために作った、とっておきのアレを」 笠原はそう言いながら優香の脇を通り、奥の棚から瓶を手に取った。 隣にはあの悍ましい巨大なディルドケースがある。 「こいつは私の特製でね」 笠原は瓶の蓋を外し、瓶口を優香の横顔へそっと寄せた。中には黄味を帯びた白いクリームがたっぷりと入っている。 「何ですか……それは。……それでいったい何を……」 笠原はクククッと笑いながら優香の双臀の前に顔を寄せ、クリームを指先ですくい取り優香に見せつけた。 「これは、貴女のために作り上げた肛門拡張用の特製クリームですよ。効きますよー、これは」 笠原は優香の怯える目を見つめながら、クリームを乗せた指と共に優香の臀丘の先に消えていく。 (えっ、えっ、えっ、な、なに……) 「ヒィー」 優香の菊皺に生暖かい息がかかる。 「やめて、やめて、やめぇ……」 ヌルっ。 「ヒッ……ヒッ……ヒー……」 生ぬるい感触に悲鳴を上げる優香。 「そうです、その声です。もっと私に聞かせてください」 優香の悲鳴を菊皺越しに聞きながら、笠原の短く太い指が肛門の皺一本一本に丁寧に塗り付けていく。 「そろそろ中も」 ヌプっ。 クリームにまみれた指腹が難なく肛門に埋まっていく。 「イヤ、イヤ、イヤ、イヤ、気持ち悪いよー。嫌―ッ」 排泄器官への侵入に優香が泣く。 「どうですかこのクリームは?そしてケツ穴は?」 笠原はそんな拒絶は意に介せず、指腹を進行させ中指の第二関節まで飲み込ませた。 「嫌いや嫌いや……抜いて、指を抜いてください」 「何を言ってるんですか、子供じゃあるまいし。木下さんも聞き訳がないんですね」 笠原の中指が根まで納められていく。 「ヒッ」 優香が臀丘をブルッと震わせた。 「このクリームはね……」 笠原は、指を包み込むようにうねる腸壁の感触に満足しながら語り始める。 「……豚や羊、そして馬の筋と脂を切り出して、丹念に丹念に煮込んで、その脂だけを取り出しては煮込み、また筋と脂を継ぎ足し……」 笠原は独り語りを続けながら、侵入している中指に人差し指を添えた。 「……そう、貴女が商店街に来てから何日も何日も繰り返して作り上げて完成した、木下優香専門のアナルクリームです」 添えられた人差し指が、ジワリと侵入する。 「どうですかー、木下優香さん」 二本の指がグルリと回転しながら指の根まで一気に貫いてきた。 「ヒッ!‥‥‥うぐっ!」 優香がくぐもった悲鳴を上げるが、腸壁をかき回す指は止まらない。 中指は真っすぐ伸ばされ人差し指は鍵のように曲げられ、薄い肉壁越しに子宮を刺激する。 クリームがジワリジワリと腸壁に溶けていく。 「あ……あ……熱いー!」 二本の指を締め付けていた腸壁がポカッと開き、粘ついた液が笠原の指に絡みつく 「腸液が出てきましたね、流石は私が見込んだ肛門だ。すべてが完璧だ」 「熱い……お尻が熱い……ひィ……ひィー……ひィーー」 戸惑いの悲鳴を上げる。 「言い忘れてました、隠し味はメンソレータムです。出来上がったクリームに大量のメンソレータムを混ぜ込んだんですよ。一応、傷対策……ですかね。あと、有名な緒方って先生が作り上げた特別なお薬も少々。あの先生は合法薬を組みあわせて何でも作る天才ですから……さぁ狂いましょう、木下優香。そして豚のように楽しみましょう」 肛門に突き刺さる二本の指がV字に開き、薄い腸壁越しに子宮を挟み、撫でながら抜き刺される。 優香の肛門はクリームと腸液が混ざりあいジュポジュポと粘り気のある音を立てる。 「スケベな音だなー」 関口の視線がV字の指で広がりながら音をたてる優香の肛門に釘付けになる。 「わかりますか、木下優香。ほら、こんなにとろけていますよ貴女のケツ穴が」 (……どうしよう……わからない……なんでこんな……こんなやらしい音が出るの……恥ずかしい……恥ずかしすぎる……なんで……なんで……気持ちがいいの……あつい……あつい……とろける……どうしよう……とろける……どうしよう……優香のお尻、とろけちゃうぅーー) いつしか優香の肛門は、笠原の指に反応して、ふっくらととろけるような柔らかさを見せはじめた。 理解が追いつかないのに、身体だけが先に反応している。 ヌルジュポ……。 奥から溢れてる音。 (……恥ずかしい……なのに……逃げたい……でも……熱い……溶けちゃう……) 「あ、ああッ……ひッ……いやあッ……だ……だめ……ゆび……指を取ってッ……指を……」 (怖い怖い怖い……お尻が……お尻が……きもち……いい・・・・・) 拒まなければいけないのに、身体が裏切る。 奥を擦られるたびに、逃げ場がなくなっていく。 腸壁越しに擦り揺らされる子宮の快楽に恐怖を感じ優香は切願した。 「これからいろいろ入れてやるのに、指ぐらいでいやがっててどうするんです」 「いやッ……お尻なんて、いやですッ」 (……なんで……どうしよう……気持ちいい……もっと……もっとして……) 優香は泣きながら、黒髪を振った。 このままでは快楽の波に飲み込まれてしまう。今まで排泄器としか思っていなかった肛門で逝かされてしまう。 「お尻は、いや、いやですッ……するのなら、……するなら……前で……前にして……前に入れて……」 優香は肛門の快楽の恐怖から逃れたい一心で叫んでいた。 「私は奥さんの尻の穴さえあればいいと言ったでしょう。でも大丈夫ですよ奥さん。奥さんのオマ✕コが気に入っている者がいますからね」 笠原は破顔した。 笠原の指で挟まれた子宮が掻かれるたびに襲う快楽の波、波、波。 優香は快楽の波に溺れまいと必死に抗っていた。 「いや……そういう……わけじゃ……とにかく、指を……指を……抜いてください……」 「……本当に抜いて……いいんですか?」 (本当は……本当は……このまま……このまま………逝きたい……でも、お尻の穴で逝くのは……こわい……) 優香は無言で首を縦に振った。 「まあいいでしょう、時間はタップリありますから」 笠原はVの字のまま、優香の肛門から指を抜いた。ポフッと音をたて肛門は元の蕾に戻った。 「ようやく俺らの出番かぁ」 関口が肩をグルっと回し首を傾けた。 「木下さん、結局こうなっちゃったね」 堂上が優香の髪を掴み首を引き上げる。 「違う……違うの……」 優香は大きな乳房を解体台に押し付けながら、形だけの否定をした。その間も快楽の余波が優香を襲う。高く上げられた双臀は細かい痙攣を続けている。 「なに言ってるの、『前にして!』ていったのは奥さんだよ……その言葉、俺らに言っちゃねー」 関口がニタニタしながら優香の頬に唾を吐く。吐かれた唾が優香の半開きの口に垂れ落ちた。 (乱暴はいや……汚くしないで……) 「嫌なら仕方ない。もう一度、私が木下優香のケツ穴を楽しませてもらうだけです」 笠原が先ほどまで優香の肛門に入っていた指を優香の口に突っ込み、薄茶に染まった腸液の汚れを優香の上顎で刮いだ。 快楽を漂う優香は自分の汚れを口にしたことに気が付かない。 判断能力は肛門快楽と共に消えていた。 優香は無意識に口の中の指を掃除する。 (あれ……前じゃないの……おしり……お尻に……また入れるの……自信がない……逝かない自信が……ない……) 優香の口から指を抜いた笠原が再び臀丘に消える。 笠原は瓶の中からたっぷりとクリームを取り出して、肛門の入り口に塗り付ける。 「では、再入場させてもらいますね」 一度広げられ柔らかくなった肛門はヌプッと二本の指を飲み込んだ。掻くように擦り、抜き出しては掻き擦り抜く、優香の肛門はプックリと膨らみ広がる。 「たーんと塗っておきますよ」 抜いた二本の指にクリームをタップリ乗せ、指をねじ入れる。グリッと指を回転させ肛門の奥から入り口まで肉壁を擦るように大きく、ゆっくりとスライドさせクリームを塗りつけていく。 「私はね、このクリームを作りながらシナリオを描いたんですよ。毎日毎日このクリームの面倒を見ながら史上最高傑作を書いてきたんです。もちろん主役は貴女、木下優香でね」 笠原はスライドしている指を重ね弓状にしならせる。 次の瞬間、高速でピストンを始めた。 優香の脳が爆ぜた。 「ひやっ……ひ……やめて!止めて!……ひぃー!」 優香は悲鳴と腸液を噴きあげた。 堂上が優香の顎を掴みのけぞらせる。 「木下さんのケツの穴は笠原さん専用、オマ✕コと喉は俺と海斗のもの。わかったか」 「わ……わかりましたーー」 「何がわかったんだ」 「お……おしりの穴は……笠原さんの……」 「オマ✕コと喉は?」 「ど、堂上さんと……もう一人の方の……」 「そうだ、だったら、覚悟しな、死にたいと思うくらいに可愛がってやるから……お願いしますと言え!」 「……お願い……しま……す……ウグッ……ダメ……もう……イクッ……」 (えっ……わたし……何をお願いしたの……私は……なにを……) 優香は余縄が切れんばかりに腰を振り、肛門快楽に飲まれながらガクガクッと躰を痙攣させた。 *********************************** 優香が奈落の快楽に堕ち始めていたころ、木下圭太は会議の真っただ中にいた。某国の自国ファーストによる関税引き上げ、融資先の業績悪化、資金回収……どれも頭の痛い議題ばかりで、重い沈黙が流れている。 (優香……なぜ返事がない) 圭太の手がスマートフォンに伸びる。 (優香……どこにいる……) いつもなら「今日は終電間に合いそうもない…」の連絡にSNSで「了解がんばってね」の言葉に柚希の『がんばれ!パパ』のスタンプが送られてくるのに、二時間以上既読がつかない。 「木下君の融資先はどうだ?」 部長の声に圭太はテーブルに置かれたスマートフォンを裏返し静かに立ち上がった。 窓の外はもう夜の色を見せ始めていた。 *********************************** 視界は水面のように揺れ、輪郭がほどける。黒目が焦点を拾えず、口角が自分の意思と無関係に持ち上がる。まるで阿呆が笑っているかのようだ。 後手に縛られた縄は解かれ、優香は肉の解体台の上で生まれたままの姿で仰向けに寝ていた。 「笠原さん、木下さんの視点が合ってないですよ、例のクリーム以外何か使いました?少しキマってる感じですよ」 堂上に問いただされた笠原は、ズボンからチューブを取り出した。 「緒方先生から即効性と依存性が強い薬を頂いてね……」 「緒方先生か……さっき言ってましたけど、このクリームにも緒方先生の薬が調合されているのですよね。それにプラスして別の薬とは……。僕も緒方先生に別のアンプルをもらい前回試しましたが……先生にとっちゃ木下さんはいいマウスのようですね」 (この人たちは何を言ってるの……わたし……なにか……塗られた……なにを……でも……もう、どうでもいい……ふわふわ……してる……きもちいい……) 「奥さん、笑ってら」 関口が優香の泳いだ視線に入ってくる。 「あーあ、堕ちちゃった。笠原さん、木下さん完全に極まっちゃいましたね。でももう仕方ないか……ね木下さん……いや、優香ちゃん。一緒に楽しもう」 (あ……あれ……わたし…………) 優香が意志と関係なく、 「うん……たのしもっ」 と頷いて言った。 優香が寝させられている解体台の横にキャスター付きのアルミ製作業台が運ばれ、堂上と関口が大きなバッグを取り上げ、中の調教具を上に並べはじめた。 「木下優香、聞こえるか」 笠原の問いかけに優香は、 「はい……きこえまちゅー」 と気だるそうに右手を挙げた。 「上げた右手で右足首を掴むんだ」 笠原の命令に朦朧としながら優香は従う。 「奥さんからだ柔らかいね、学生時代何かしてたの?」 「フィギュア……フィギュアスケート……」 「そうでしたね」 「なんで知ってるの……ゆうかが、フィギャーしてたの……」 「何でも知ってますよ、木下優香さんのことなら、なんでも……ね」 笠原はニターと嗤いながら上げられた手首と足首に手枷足枷を嵌め、滑車から伸びるチェーンに繋いだ。 「次は左手で左足首を掴んで」 笠原の指示どおり優香が動く。 離れた二本のレールに繋がれた滑車を回し、解体台に背中が着くか着かないかのギリギリのラインまでチェーンを張る。 「屠畜されて吊るされた豚になることで、木下優香が牝豚優香となる。わかるかい堂上君」 優香の姿に酔いしれる笠原は堂上に声をかけた。 堂上はアルミ製作業台の上に調教具を並べながら「極上ですね」と答える。 「そうだ、本物の極上……いや、特選だ」 笠原の手が作業台に置かれた馬用のガラス浣腸器に伸びる。 「ついにこいつが使えるとは」 笠原が舌なめずりをした。 「ほんと、笠原さんは執着心が強いというか……」 関口も呆れながら作業台に並べられたアナルストッパーや子供の身長ほどはあろうアナル用ディルド、アナル用拡張器を眺めて言った。 (……なに、何を話してるの……) 薄く吊られ半ば夢の世界で会話を聞いた優香の視線が作業台に止まる。 「それ……何に使うの……」 「お目覚めですか?木下優香。これは貴女が人間の女から気高い牝豚になる神具のようなものです」 「えっ……」 塗られた笠原特製クリームで宙をさまよいながらも、目の前に並べられていく見慣れぬ調教具の異様さに優香の唇が震えてく。 「む……むり……で、す……」 「あれ、まだ自我はあるようですね……。そうじゃなきゃ」 笠原が優香の臀部をパーンと叩く。 優香の瞳の焦点が一瞬あう。 「そうなんですよ、木下優香さん。素面の貴女が残っていければ面白くないし、それに効果も半減です」 (この男何を言ってるの……) 優香が必死になって黒目が彷徨うのを止める。 笠原が悦に入る。 「……これはみんな貴女のケツ穴を責める道具ばかりでしてね、集めるのにも一苦労したんですよ。特にこの浣腸器は馬用でね……ちなみにすべてが木下優香専用ですから……」 笠原はそれらの器具を優香の顔の真横に置き顎を掴んで見せつける。 朦朧とする優香が必死に顔を背けようとする。 ガシャ…。 チェーンが軋んだ。 「……ご覧になれます?どれも『木下優香・肛門専用』と書いてあるでしょう」 笠原は優香の顎を引き寄せ、目の前で確認させる。 「……い、いや……ああ、いやッ……そんなもの、使わないでッ」 (いまは……いまは気をしっかり……あっちに行っちゃだめ……優香、壊されちゃう……) 優香は必死になって自我の崩壊を食い止めている。 「さすがです、腸内吸収している薬はすいぶんと効いているはずですが、流石は私が見込んだだけはある、まだ否定ができるとは、見事な精神力。でもそれもいつまで保てるでしょうか」 作業台には特製クリームの瓶とディルドの入ったケースも移動されていた。 「楽しめそうですね、最初は何から」 「何からって、和也君。そりゃ奥さんの尻には、まず浣腸だよ。内容物が空っぽになるまで洗浄しないとねぇ。モツの下ごしらえと同じことです」 笠原は堂上に作業台に鎮座した浣腸器を指さした。 「意識あるようだから、浣腸液に何か足しますか?」 「いや、せっかくだから、グリセリン原液でいきましょう。その代わりアナルストッパーに専用のクリームと先ほどのチューブ薬剤もたっぷり塗って栓をしましょう」 笠原は医療のニトリル手袋を手に取り、息を吹きいれて膨らませて嵌めると、 「原液を満タンで入れてくれるか」 医者にでもなったような口調で関口に命令した。 「しかし、1800満タンのグリセリン原液とは……えげつないよな……」 関口は一斗缶の蓋を外しステンレス製の浣腸バケツに注いでいく。タプンタプンとトロミのある原液がバケツになみなみと注がれていく。 スローモーションのような水流、優香はその不気味な光景にわなないた。 (こんなにも入れるの……これでお浣腸するの……) 「笠原さん、1800満タンです」 関口がズッシリと重い浣腸器を、笠原に手渡す。 「ヒイッ……いや、そんなこと、いやあッ」 見たことのない巨大な浣腸器、そこに満タンに入れられたグリセリン原液。 浣腸器の中でタプンタプンと重たそうに揺れる様を見た優香の正気が戻る。 「やめて……やめて……いやです……いやーー」 恐怖で目を見開き、狂ったように髪を振り乱して拒絶する。 笠原がシリンジの先に特製クリームを塗る。 「木下優香。今から、時間をかけてたっぷり浣腸してあげますよ。この特注のガラス製シリンジいっぱいに入ったグリセリン原液1800㏄を」 「く……く……狂ってる……そんなことして、なにがおもしろいのッ!」 笠原は優香に罵詈雑言を浴びせられながら、淡々とクリームを優香の肛門に塗ろうとする。しかし、優香がチェーンを軋ませ暴れているせいでうまく濡れない。 「堂上君、木下優香の腿にアンカー垂らそうか」 「了解です」 二人は革のベルトを優香の両太腿に嵌め、淫肉が全開で見えるように調整し、床のアンカーにチェーンで固定した。優香の両足がガニ股開きで固定される。 「これで大丈夫」 笠原が改めてクリームを塗りつけた。 「ウグッ……」 ニトリル手袋が嵌められた中指が一気に肛門に入り、ぐるりと腸壁を一周する。中指を曲げ子宮を下からたたけば、粘度の高い腸液と牝穴から蜜汁がドロリと垂れる。 (あっ……やばい……気持ちいい……おしり……気持ちいい……) 優香が追加された特製クリームに負け始める。 「私はね……」 肛門に入れた指を二本に増やし腸壁を刺激する笠原は、直腸がポカっと広がるのを確認すると話し始めた。 「もはや、今の現状でもお分かりのように、特製クリームの効果で快楽に抗えず、貞操崩壊が始まっている木下優香が浣腸しても耐えられるか?そして、どんな糞を、どのように捻り出すか観てみたいんすよ。どこまで耐え、どう狂うか……ただ観たいんですよ私は。……そう、私は貴女、木下優香の本性を観たいのです」 笠原の不気味な独白を聞きながらも優香の口からは、 「あっ……い……いいッ……どうしよう……どうしよう……どうしよう……」 甘い吐息が洩れる。 優香の意識が快楽に飲まれる。 「そこまで想われて嬉しいですか?」 そんな笠原の問いに、 「……嬉しい……嬉しいです……」 と思ってもいない言葉を吐いてしまう。 「では、一回逝きなさい、そうしたら浣腸をしましょう」 「あ……ありがとうございます……逝かせてください……お願いします……優香を狂わせてください……」 優香の言葉に笠原の指がV字に開き、腸壁と子宮を激しく擦る。 「また、また……中で広げて頂けるのですね……優香……い……逝きますーぅ」 両手足の先のチェーンが激しく鳴り、優香が白目を剥く。 「ではこちらも」 ガラスシリンジの先端がV字の指の間から滑り込んだ。 「最初は100㏄を一気に」 抜いた手でシリンダーを押す。腸内で水しぶきを上げてグリセリン原液が飲み込まれると、優香は「ウグッ」と喉を鳴らした。 グリセリン原液が腸壁に吸収されていく。 優香の黒目が戻り肛門がキュッと萎まる。 笠原は正気に戻った優香を確認すると、 「飲めるだけ飲んでください」 そう言ってシリンダーを力いっぱい押し続ける。 シリンジの脇のメモリをグリセリン原液が200、300、400と通過していく。 「ヒッ……ヒッ……ヒッ……やめて……無理……もう入らない」 (……まだ入るの?……こんなの……おかしい……でも……どうして……抜かれたら……怖い……) 500を通過し600に達するとき、シリンダーを押し返す激しい抵抗を笠原は感じ取った。優香の肌の産毛は逆立ち、肛門はヒクヒクと震えてはシリンジを締め付ける。 「ああああああ……っ」 優香は笠原に言葉を伝えようとするが喉が震えて言葉にならない。 笠原は優香が強烈な排泄感に襲われる様子を焦らず眺めていた。 ダクトから落ちる雫の音が、ポタリ……一つ、ポタリ……二つ、ポタリ……三つ奏でた。 笠原がシリンダーのメモリを10進めた。抵抗なく押し込まれる。今度は30進めると優香の腸にピュッと勢いよく原液は飲み込まれる。 「飲み込んだようですね。あと三分の二です」 笠原がシリンジで肛門を愛撫するように回した。 「ああッ、あむっ……入れないでッ……ヒッ、ヒイッ……」 「それは無理な相談です」 シリンダーが注入速度を上げる。750、1000、1100。 奥歯を噛みしばっても耐えられず、優香は口をパクバクとさせ、絞った喉からヒィヒィとか細い悲鳴を発する。 1200に達し笠原が注入を止めた。 「三分の二まで来ましたよ」 「……フガッ……もう……もう入れないで……入れないで、ください……」 口から泡をまき散らしながら1200ccものグリセリン原液を飲み込んだ優香の身体は脂汗でぐっちょりと濡れていた。 「じゃぁ、少し抜いてあげよう」 笠原はそう言うとシリンダーを引き戻した。 「あっ、あっ……」 吸いだされる原液の感触に優香が喉を絞る。 「あらら奥さん、糞までついてきちゃいましたよ」 透明だったシリンジの原液に黄土色の戻り液が混ざり、繊維質の排泄物がユラリユラリとガラス管の中で泳ぐ。 「ごめんなさい……ごめんなさい……」 優香の黒目が泳ぐ。 「ごめんなさい……先生……」 混濁が始まる。笠原は不敵な笑みを浮かべ、「もう少し、がんばろうか」と優香に優しく声をかけた。 「はい……優香、もう少し……もう少しだけ……がんばります。ウッ……ウグーっ」 シリンダーが一気に1800まで押し込まれた。 「死んじゃいます……優香死んじゃいますぅ……もう、もう……がんばれません……せんせい……」 優香はそう言うと、またダクトから落ちる雫三つ分の間、ピクリともしなくなった。1800㏄のグリセリン原液を飲み込んだ。 強烈な便意とは別の不思議な快楽を便意の小休止の合間に感じ始めていた。 「関口君、そこにあるローズレッドのアナルストッパーをとってくれ。クリームの瓶は、蓋が柚子色の方ね」 腕組みをしながら経緯を観ていた関口が「ハ‥…ハイ」と慌ててアナルストッパーと柚子色の蓋の小瓶を手に取った。 「飲み込みましたね、優香ちゃん」 「あぁ、僕が見込んだ木下優香だ。……ところで、堂上くん」 「はい」 「いつから“優香ちゃん”呼びになった?」 ガニ股で宙に固定され、肛門からグリセリン原液をチョロチョロ垂らす優香から堂上は目をそらさずに言う。 「……なんか、可愛いなって」 笠原は口角だけで笑った。 「笠原さんこれ」 笠原は関口からアナルストッパーとクリームの瓶を受け取ると、 「堂上君、関口君。木下優香の太腿のベルトを外して、尻が僕目の高さに合うまで引き上げてくれ」 二人は「はい」と短く答え左右に分かれる。 ベルトが床に落とされ、ギシッ、ギシッと滑車が回る。笠原の鳩尾の高さ程にいた優香がフワリフワリと空中散歩をするように引きあがられてくる。 優香の身体が揺れるたび、優香の鼻に縦皺が浮かび強烈な便意で身を捩る。 (……もうお腹……限界……出ちゃう……限界だよ……) 優香の双臀が笠原の目の前で止まる。笠原は優香の太腿を掴み回す。 ぐるーんと半周して脂汗まみれの優香の顔が笠原の前に来た。 「苦しいか?」 笠原は問う。 「……はい……苦しいです……」 「苦しいだけか?」 更に問う。 その問いに優香は長い無言で返事をした。 笠原も無言で頷き、優香の肩を掴んで軽く回し半周させた。 優香の双臀が目の前に戻り、笠原はクリームの蓋を回す。 「もっと、その苦しみと快楽を楽しませてあげよう」 柚子色の瓶の蓋を回した。 「ウ……ウグッ……」 Lサイズの太いアナルストッパーが優香の肛門に飲み込まれる。 さざ波の様に引いては押し寄せる便意の波。腸壁から吸収したクリームのもつ抑制効果で押さえられていた便意も、限界が近づき、波の高さは高くなる。 「……限界……もう……げんかいです……お、おトイレ……」 宙に浮いた優香の躰がブルブルと震えだす。排泄物がアナルストッパーを押し出そうと肛門の皺を伸ばすが諦めてつぼまり、また押し出そうとする。そのたびストッパーの底部にあしらわれたローズレッドの輝きがライトに反射する。 笠原が臀部を押すと、髪を揺らして優香の顔が笠原の目の前に来る。首筋から脂汗が垂れ落ちる。 「いいかい、我慢すればするほど欲が強くなる。糞が出せない代わりに、胃液混じりのゲロを吐き欲を躰の中で成熟させる。その意味が今からわかる」 優香がイヤイヤとかぶりを振る。 「お願いです……おトイレに……おトイレに行かせてください……」 笠原は優香の言葉を無視して、鎖骨に浮かぶ汗をひと舐めすると、肩を押した。 優香の双臀がローズレッドの輝きと共に笠原の間の前に来る。 笠原は優香の排泄を堰き止めているプラグの底部を摘まんで引いて手を離した。 少し顔を出したプラグがスポっと飲み込まれる。 「美しい……やはり木下優香の肛門を彩るのはローズレッド一択。ちなみにこのローズレッドの色言葉は“愛情”“感受性”“知性”があり、人を助けて励ます優しい人を表すとされています。まさに木下優香のためにある水晶ですね」 激しい便意と堰き止める金属感で脂汗を垂らす優香に笠原の狂った御託は届かない。 「だめ、出ちゃう」 笠原がおもむろにアナルストッパーを抜いた。肛門がスッとつぼまる。 「で……出ちゃおます……」 優香が激しく頭を振り汗を飛ばす。 「問題ないですよ」 笠原は開こうとする肛門にニトリル手袋を嵌めた指を二本ねじ込み、指先にたっぷり塗られた柚子色の瓶のジェルを腸壁に丹念に塗り込んだ。ジワリジワリと腸壁からクリームの成分が吸収される。 「あ……熱い……熱い……お尻が熱い……」 優香の白い肌が赤く染まる。 「今度は何を塗ったんですか?」 堂上が笠原の肩口から顔を覘かせきいてきた。 「ああこれ……クリームに調合した緒方先生の薬の原液だよ」 「原液塗って大丈夫ですか?」 堂上の問いかけに笠原は「さぁ……」と言って解体台脇のソファーに腰を下ろし、 「とことん壊さなきゃ、先には進まんのよ」 と小声で呟いた。 「さぁ、って」 堂上は呆れたように笠原を見やり言うと、優香の頭上に向かい「熱い?」と尋ねた。 ウンウンと優香は頭を振り、 「熱いけど……それだけじゃないの……優香……変なの……」 と堂上と視線を絡ませた。その目は妖艶な輝きを携え、堂上は生唾を飲み込んだ。 「欲しいのか」 優香が頷く代わりに真っ赤な舌を出した。 「優香ちゃん……」 堂上は優香の舌に誘われ、その舌を口にした。優香の舌が堂上の上顎を擦る。優香の舌と堂上の舌が絡まる。 ギシッ、ギシッ…… 堂上は熱いキスをしながら滑車を回した。 二人の熱いキスに魅入られていた関口が「いよいよ出番か」と呟きながら手前の滑車を回した。 優香の躰が解体台の上に着地する。 「優香ちゃん」 「はい」 「さっき聞いたよね、もう一度聞くよ、オマ✕コと喉は?誰のもの?」 堂上が淫肉に手をのばし、肉芽を剥き摘まむ。優香がアアッと脹脛をピーンと伸ばし喘ぐ。 「ど……堂上さんと……もう一人のぉーーー」 堂上の中指が膣に侵入しGスポットに添えられる。大量の蜜汁が優香の太腿を濡らした。優香が腰を僅かに振りながら関口に振り返る。 「関口、関口海斗……です」 優香は堂上の指を感じながら鼻を鳴らし、絡みつくように関口を見た 「堂上さんと、関口……くんの。……優香のオマ✕コと喉は、堂上さんと関口さんのもの」 (わたし変なこと言ってる……でも……でも……入れられてるだけなのに……気もちいい……) 「そうだ、よく答えたね。おい、海斗。優香ちゃんにご褒美の時間だ」 堂上はそう言うと、薬指も入れ子宮を押し包んだ。 優香はハウッと跳ね、両腕を堂上の首筋に絡ませた。 「そんなッ……いやッ……や、やめて……そんなにされたら、我慢が……」 激しい快楽と同時に荒々しい便意が優香を襲う。しかし頑丈な栓が崩壊を許さない。 押し戻される排泄物。優香は冷や汗をだらだらと流しながら歯を噛みしばった。 (あ、ああッ……出したいのに……出せない……出したい……でも……でも……指が……気持ちいい……どうしよう……なんで……なんで……) 「大丈夫だよ、優香ちゃん。オマ✕コと口に俺と和也さんの肉棒をたっぷりくれて、糞したいの忘れさせてやるからさ」 関口は荒い鼻息を吐きながら、「奥さん」から「優香ちゃん」へ呼び名を改め、焦れた手つきでズボンを降ろした。 臨戦態勢の太い肉棒から我慢汁がダラダラと零れている。関口は肉棒を握りしめながら優香の乳首を思い切り抓り上げた。 優香がハウッ……と跳ねる。 「堂上さん、俺もう我慢できない」 関口は優香の腕を掴み肉棒へ誘う。 優香は舌を絡まらせながら堂上を見つめ、関口の肉棒を握った。 我慢汁が垂れる裏筋を擦り上げる。ビクンビクンと関口の肉棒が優香を求める。 (……もう、もう無理……無理……もういい……気持ちさせて……逝かせて…………今の優香は、木下優香じゃない……ごめんなさい……ごめんなさい……今は……どうにでもして……) 逃げる理由も、意味も、どこかへ消えていた。 ――今の自分は、木下優香じゃない。 そう思った瞬間、何かが静かにほどけた。 ――どうにでもしてほしい。 そう思った瞬間。 もう止められなかった。 優香の口から堂上の舌が離れていく。 (いかないで……もう……優香を……好きにして……壊して……優香を壊してください……) 「笠原さん、頂いていいですか」 「どうぞ、ケツ穴だけは私のもの、あとの二穴は君たちで存分に楽しんでくれたまえ」 許可を取る堂上に、笠原は演技じみた口調で挿入許可を出した。 「和也さん、お先に失礼します」 関口が優香の腰を掴み一突きで根まで挿入する。 「フンッム……」と優香が鼻息を上げ、大きく息を吸い込む。 (仕方ない……仕方ないよね……) 優香は子宮で受け入れると、痙攣を愉しんだ。 「い……い……逝きます……優香、逝きます、逝きます、逝きます……ねぇ逝って、逝っていいですか……」 「まだだ、まだ逝くな、木下優香」 (意地悪……お願い……許可をください……お願いします……先生……) 関口は二度三度大きく肉棒を抽送した。 「うううう……うっ……気持ちい、いい、いいっー」 優香は叫び、黒目を飛ばす。 「優香ちゃん、もっと深く刺してあげるよ」 関口はそう言うと、両膝を解体台に立て優香の腰を抱き持ち上げる。 「太い……太いのが奥に……奥に……」 優香の上半身がしなりながら持ち上がる。 「い……い……いいーーー」 (天井が回る……優香どこ……どこにいるの……もう、もう、お願い、逝かせて、逝かせて、逝かせてーーー) 「まだまだ、優香ちゃん、こんなんで逝ってどうすんだよ」 「お願い……お願いします…一回、一回逝っていい……逝っていいですか……」 笠原は腕を組んで「まだだ、木下優香」と突き放す。 優香は、糸の切れた操り人形のようにがくがくと揺れる。 堂上が揺れる優香の頭を押さえ関口に投げると、優香の豊満な乳房が逞しい関口の胸でバウンドする。 関口は落ちそうになる優香の肩を掴み抱き寄せると優香の腕が関口の首に巻き付いた。 「関口君……お願い……壊して……」 優香が耳元で囁いた。 「がんばれよ、優香ちゃん」 堂上が優香の後頭部を撫で、その手を背中に這わせる。 「アッ……」 ゾクゾクとする感触で優香の背中が弓ぞる。 関口の両掌が優香の臀部を掴み広げた。 「……逝っていい、逝っていい、逝っていいですかーーお願いしますーセンセイーー」 「なんだかなー。人違いしてるようなら、許可なんて出せませんよ」 優香のことはすべて調べ上げてある笠原は、 「フィギュアスケートの先生の躾のたまものか」 と独り言を言ってソファーから腰を上げると、優香の開いた臀部に納まるローズレッドのストッパーを摘み回した。 優香がフンヌゥ…と鼻息を上げ、トントントンと腸壁を叩かれるストッパーに捩れる。 関口が優香の背中を強く抱きしめ根まで刺さった肉棒を大きくグラインドさせた。 「そんな、そんな、そんな……逝く……逝く…逝く逝く逝く、イクーーーー」 (見ないで……恥ずかしい……みんなの前で……みんなの眼……恥ずかしい……見ないで……観て……優香を……み、観てください……) 優香は喉を裂くように叫び、首をだらりと垂らした。 ブルル……ブルル……ブルル……。 圭太から贈られたバッグの底でスマートフォンが震え続けている、 画面に“パパ”の二文字がにじむ。 第9話 崩壊と創生~もう、これでいい 低音の換気扇が唸り、ダクトから落ちる水滴がポツリ…ポツリ…ポツリ………と床を濡らす。その音をかき消し、牝獣めく嬌声が解体場の薄汚れた壁に共鳴する。 「い……い……逝く逝く逝く逝く…………で、で……出る出る出る出る……もう無理……もう……ウグッ……苦しい……苦しいよ……助けて……逝かせて……お願いです……お願いしますぅーー、イクーッー」 優香が四肢を伸ばし、痙攣する。 子宮の上で膨張し、精を放とうとする関口を離すまいと、手だけがかすかに動く。 「うーっ、マジで気持ちいい」 優香の中で精を放った関口は優香から降りると、自分の白濁の液と優香の溢れる蜜汁を人差し指と中指で混ぜながら余韻を楽しみ始めた。 (……いや……いや……混ぜないで……いやらしい音が、聞こえる……優香の耳にも……聞こえる……お願い……またしたくなる……その音を聞いてると……もっと……欲しく……) 優香の『排泄したい』という本能が、激流を食い止めているローズレッドの輝きを何度も何度も吹き飛ばそうとする。しかし、自らが書き上げた淫らな獣の演目を嬉しそうに観覧している笠原がそれを許さない。 笠原の言う通り、痛苦を飲み込めば飲み込むほど、優香の官能がすべてを凌駕する。 「お願いですぅ……出させて……限界です……」 肌が粟立ち、脂汗が額から首筋、胸から太腿へと連なる。 優香は笠原に縋りつき、懇願する。 「……ごめ……ごめんなさい……お願い……お願いします……優香、限界……限界ですぅ……」 笠原の眼前でローズレッドの底面が今にも弾けそうにせり上がる。 「何が限界なんだ。きちんと言いなさい。最近の主語抜きがひどいもんだ……今度、学童クラブで“正しい日本語の使い方”講座でも開かないと駄目ですね。ねぇ堂上君」 で、何が限界なんだ、木下優香?」 「……で…ちゃ…うぅ……」 「だから……何がですか?」 笠原は淡々と問い返し、ローズレッドの底面を押し戻した。 「…………」 何度も訪れる排泄の激流のみならず、腸壁にたっぷりと塗られたクリーム原液が吸収され、優香は自我の崩壊寸前にある。だが皮肉にも、こみ上げる強烈な便意が、かろうじて正気をつなぎ止めている。 「答えられないですか。まっ、その方が楽しめますがね」 優香の正常を残した精神が、その名称を答えることを拒ませた。 「まだですよ、もっともっと、上質なウィスキーが樽の中でおいしく醸造するように、木下優香の躰の中の全ての個体、液体が混ざり合い、寝かされ熟成されるのです。そうです、これはまさに木下優香便の醸造なんです」 自分で語りながら興奮した笠原はローズレッドのストッパーをグルリと回し、排泄物の激流で盛り上がった肛門の皺を指でなぞる。 「あ……あ、悪魔……」 優香の我慢の糸が、限界を迎える。 「もうこの栓では抑えきれないようですな、さあお三方、そろそろフィナーレと行こうじゃないか……木下優香が崩壊の倫理が壊滅し、下品な言葉も行為もすべてを受容し、あらがうことなく崩壊の渦に身を委ねる。その歓喜に満ちた破滅こそが、最高のフィナーレ……だが、これは終わりではない。焦土に芽吹く、新たなる価値観の創造……そう……これは終わりではなく、始まり。最高のプロローグ」 笠原は堂上と関口に目配せをする。 「優香ちゃんも、ちゃんと協力して、そうすれば出させてあげるよ」 「……はい……わかりました……何を……何をすれば……」 (……やっと……やっと……出させてもらえる……) 「何をって……惚けじゃだめだよ、ケツ穴は笠原さん、残りの二穴は俺と海斗だろう……ていうことは……もう一度、今度は僕も優香ちゃんの中に入って、ね……壊れちゃおう」 優香は油汗とザーメンで化粧が落ちた素顔で堂上に視線を合わせた。 「おねがい、優香に入れて」 (私、またあの時の様に……多分それ以上に玩具にされる……蹂躙される……滅茶苦茶にされる……でも……でも……) 「今度は……今度は、堂上さんが、優香を好きに使ってください」 優香は快楽と排泄を望んだ。 関口の指が名残惜しそうに離れると、堂上は優香を見つめたまま解体台に上がり、優香の首に腕を回して引き寄せた。 「優香ちゃん、このまま両手を台について、膝を立てて」 堂上が優香の耳元で囁く。 優香は「はい」と短く返事をし、両手をつき膝を立てた。 「脚を開いて」 優香の首から手を抜いた堂上の掌が優香の足首を掴み、大きく開かせる。 M字を描いた太腿の奥に見える淫肉は関口の精と優香の蜜汁で白く泡立っていた。 堂上はその泡立ちをひとすくいし、優香の口元に運ぶ。 優香の舌先が震えながら伸び、泡の付く堂上の指を舐めた。 「美味しいか?」 優香が頷く。 堂上の詰め先が優香の舌を愛撫する。 「じゃぁ、もっとあげるよ……腰を上げて」 堂上が命令する。 ヌチャ。 優香の腰が上がると解体台に垂れ落ちた液で音がたった。 「フヌッ……」 膝立ちした優香を抱きしめる堂上の指が三本侵入し膣内の液を浚うように擦る。 「いっぱいだね」 掌いっぱいに浚いあげた白濁の液が優香の口元に添えられる。 「……ごめんなさい」 優香は堂上の眼を見つめながらと誰ともなく謝り、堂上の掌に舌を伸ばした。 眼を閉じ、一心不乱に堂上の掌を掃除する優香。 「貴女って人は……」 優香を見つめる堂上の眼の色が冷たく変わる。 舌を這わされている掌が優香の舌から逃げる。 「……ただの牝豚だな」 離れた掌が優香の頬を強く打ち付けた。優香の頬が飛び、上半身支えていた両手が滑り体勢が崩れる。 「体勢を崩すな」 「……ごめんなさい」 謝る優香の頬を二度三度と張る堂上。 そのたび優香の姿勢は崩れ。 そのたびに立て直す。 優香の意識が遠のく。 「仕方ないな……海斗、縄を取って」 堂上は必死に体勢を整える優香の背後に回り、関口に声をかけた。 *********************************** ギシッ、ギシッ……。 「これなら倒れることはなさそうだね」 (この縄……キツイ……どこも動かせない……) 後手に縛られた余り縄が、肉の吊り下げ用のフックに掛けられているおかげで上体は倒れず縄に抱かれながらM字で開脚した姿を披露する。 三人の男の視線が突き刺さる。 「あ、ああッ……そんな……」 (……惨め……惨めだわ……観られてる……みんな、優香を……観ている……) 優香はキリキリと唇を噛みしめ、右に左にと顔を振る。 「そのまま股を開いてるんだよ。勝手に閉じたら、排泄はなし、一生躰に糞を詰め込んで生きてもらうからね」 堂上と関口の手が伸び、内腿の筋に沿うように陰唇に指を掛け、思い切り開いた。 泡立った牝穴は鯉の口のように開き、ピンクの肉層をのぞかせる。 「改めて見ると、木下優香のオマ✕コは本当に綺麗だ、柚希ちゃんを生んだとは思えないですよ」 「ここにぶちこんでやったわけか、これだけいいオマ✕コしてりゃ、優香ちゃんもまんざらじゃなかったはずだぜ」 餌に飢えた鯉のように口をパクパクとさせる牝穴に向かい語り掛ける男たち。 柚希の名前が呼ばれ精神がグラッと崩れた。 堂上が肉芽を摘み抓り、肉襞をなぞり、子宮口を指でノックする。 堂上の指がうごめくたびに、ビクッと優香の腰がふるえてよじれた。 (……ダメ……出ちゃう……) いくらこらえようとしても、いやらしい指の動きが、いやでも排便を促す。優香は堂上に媚びるようにじっと見つめる。 「もう……もう……焦らすのはやめてください。優香を……優香の躰を楽にさせてください……」 「そうか……我慢の限界か……本当は時間をかけてオマ✕コをバカにしてから、と思ってたんだけどな……仕方ない……」 堂上はジーパンに手をかけ下着もろとも一気に降ろす、肉棒がバネ仕掛けの様に跳ね下腹を打った。 「優香ちゃん、自分から跨ってこいつを入れるんだ」 関口が「ほら、立って」と促す。 だが、両手を後ろ手に縛られた優香はうまく立てない。関口に支えられ、よろけながら立ち上がった。 見下ろす先に、先日嫌と言うほど上下の口を貫かれた大きなカリ首がテラリと光り涎を垂れ流している。 「なに見とれてるんだよ優香ちゃん」 関口が優香の片脚を持ち、堂上に跨らせる。堂上の肉棒は下腹に向け鋭利な角度を保っている。 「……このままじゃ、入りません……」 堂上の肉棒を跨いだ優香は、ピクンピクンと跳ねる肉棒を凝視し、戸惑いを漏らした。 関口が優香の両肩を支え、重心を下げさせる。優香は生まれたばかりの小鹿の様に膝を震わせ、ゆっくりと腰を落として堂上の肉棒の上に腰を下ろした。 「どした。優香ちゃん」 「ごめんなさい……やっぱり、入りません……」 優香の淫肉の裂け目が堂上の裏筋に乗る。 「入らないねー」 堂上は意地悪く笑うと、優香の腰を掴み肉棒を肉芽に当てる。 アッ……優香が甘美な声を上げる。堂上は優香の裂け目をゆっくりと下降させる。 絶え間なく蜜汁を垂らす牝穴、ぷっくり膨らんだ尿道口、そして充血し弾けんばかりの肉芽、堂上の鬼頭が撫でるように何往復も抽送される。 優香の切ない声が獣の咆哮に変わっていく。 (どうしよう……どうしよう……入らない……出させてもらえない……どうしよう、き、き、き、気持ちいいよー) 腰を掴まれ縄に支えられ無重力の動きをする優香が、関口に振り返る。 「吊り下げている縄を外してください。そして……堂上さん……優香を抱きしめて」 「は、はい」 関口が余縄をフックから外すや否や、優香は堂上に向かって倒れ込んできた。堂上が優香を受け止める。 「優香やん」 「……優香が……優香が、自分から……」 優香はゆっくりゆっくり大きな乳房を滑らせながら堂上の鬼頭を目指す。 「フッうぅ……」 鬼頭が牝穴にあたった。優香の腰が慎重に弧を描く。 堂上も優香の描く円の中心から外れないよう追従する。 溢れ出る優香の蜜汁と笠原の鬼頭から溢れる先走り汁がニュプニュプと音をたて混ざり合う。重ね合う二人の呼吸が激しくなり優香が上半身を反らした。 チュニュッ。 音をたて鬼頭が埋まる。ズルズルと鬼頭が進攻する。 「い、い、いいーーー」 三日月状の反りが優香のGスポットを捉えた。鬼頭と茎が一周り二周りと充血し逞しくなる。 優香の膣壁がその膨らみを愛おしそうに包み込む。 「欲しい……欲しい……欲しいぃぃ……」 優香が狂おしそうに腰を振る。 「海斗」 優香の腰を抱えた堂上が、二人の性交を食い入るように見つめる関口に顎で指示を出す。 「すみません……あんまりエロくて……」 関口は照れ臭そうに言うと優香の背中の縄を引いた。 膣壁を擦り上げられながら上体を上げる優香は、和式便所に座るようなガニ股姿になった。 ガクガクと振るえる優香の牝穴から堂上の陰茎がのぞく。 「こうしてね」 関口は独り言ちながら後手の余縄をフックに戻した。 肉棒を支柱にして揺れる優香、堂上の太腿がジワリジワリと広げられると、優香の太腿も大きく広がった。 ローズレッドのストッパーが重力に負け落ちかける。 「優香ちゃん!俺たちを満足させたら出させてあげるよ」  鬼頭がドンと子宮を突き上げた。 「いひッ……いひッ、いいっ逝くーー」 叫び声と共にストッパーが飲み込まれた。 「まだまだまだまだ……」 ドンドンドンドン… (……やめて……出ちゃう……違った……出せる……出せる……ん、だよね……) 堂上の突き上げが加速する。 「イヒイヒイヒイヒ……い、いひ――――」 排泄許可が優香のつなぎとめていた自己を破壊した。黒目が宙を舞い戻ると、淫らな光が瞳に宿された。 上半身を起こした堂上が、悦びの悲鳴を上げ続ける優香の髪を掴み引きちぎらんばかりに振り回す。 「気持ちいいー、もうもう無理……もう抑えられないですぅー……ねぇ、ねぇ……お口、お口にも……逞しいの……ください……」 優香は関口の肉棒を物欲しそうに舌なめずりする。 「スケベだなー」 関口が堂上からバトンタッチするように髪の毛を掴み、ヌルっと優香の唇を割る。 「おいしいか」 「おいひぃ、おいひーでふぅー」 極太の肉棒を咥えながら答える優香。 「そうか、たんまりあげるぜ」 関口は髪の毛を離すと優香の側頭部を掴み、猛スピードで優香の頭を揺らした。 「ウゲウゲウゲイゲッ……ウゴウゴウゴウゴッ……」 優香が胃液を吐き出しながら関口を見つめる。 「ウゲッ」 背後から笠原が近づき優香の後頭部を力いっぱい押し込み、抑え込んだ。 優香の首筋の血管が浮かび、視界が溶けだす。優香は鼻孔を広げ、「フンゴッ、フンゴッ、フンゴッ」と、途切れがちな呼吸で酸素をかき集める。 「木下優香、もう一回聞きますよ」 優香は涎とも胃液ともつかない液体を口端から垂らし、背後の笠原に頷く。 「出したいか」 優香は喉奥に肉棒を刺し突かれながら首を大きく縦に振る。 「何を出したいか、言えるか」 優香が大きく首を縦に二回振る。酸素欠乏の視点の定まらない目は泳ぎ笑っている。 「関口くん、喉から抜きたまえ。木下優香、いや牝豚優香が言いたいことがあるようだ」 関口がにやりと笑い喉から胃液まみれの肉棒を引き抜いた。 堂上も突き上げをピタリと止めた。根まで咥え込んだ優香の腰が名残惜しそうにグラインドする。 方向を変えられ、胡坐をかく堂上に背を向けて後ろから抱きしめられている優香。膣には堂上の肉棒がしっかり根元まで咥え込まれている。とうの昔に限界を超えた便意。優香は子宮を堂上に擦りつけ便意を押さえつける。虚ろな視線が目の前に座る笠原と絡み合う。 「今この時から、君の名前は牝豚優香だ、わかったかな」 「はい……」 (牝豚……) 「では牝豚優香、君は何を出したいのかな」 「………」 答えに間が空く、堂上の鬼頭が答えを促すように“の”の字を書く。 フムッ……優香は鼻腔を広げ、 「……うんち……うんちです……」 と答える。 笠原が大げなジェスチャーで首を振る。 「はぁ?違うだろう、君が出すのは糞だ、どろどろに混ざり熟成した黄金の糞だ……言ってみなさい、何を出すんだ」 「………」 また間が空く、今度はドンと子宮を突き上げられた。 「あ、アアアあー……く、糞です……」 優香が前のめりに倒れそうになるが、背中の縄を引かれ、ドンドンドンドンと連続で突き上げられる。 たまらず優香が、 「イ……イ……逝く、優香また逝っちゃいそうです……」 と言うと突き上げが止まる。 お預けを食らった牝犬の様に優香が「クーン」と鳴く。 「どんな?」 堂上は動かしてくれない、優香の腰が催促するようにグラインドすると「だめだよ勝手に」と堂上の手が優香の腰の動きを押さえる。 「もう一度聞きますよ、どんな糞なのですか」 優香の淫肉全てが熱を帯び、堂上を包み込む。優香は大きく息を吸うと、 「熟成した……成熟した、黄金の……糞です」 堂上の肉棒が逝かせないよう素面に戻さないよう繊細に優香の中で動きまわる。 「誰が」 「私が」 「私がじゃないだろう君には名前があるだろう!」 深い憤りを込めて笠原が言う。 「優香ちゃん、ちゃんと言わないと、出させてもらえないよ」 堂上がドンと一突き子宮を突き上げた。 「イイイイッ……」 優香が沸点を超えそうになる。 「そうだな堂上君、それがいい、出させない!いや、出ないよにしてしまおう、ここには肉を叩き縛り縫う、全てがあるのだから」 「イヤ……そんなの嫌……貴方なら本当にする……本当に優香のお尻縫い付ける……いやいやいやいやー」 優香が天を仰いで叫んだ。正気の優香が薄くなる。 「なら言え木下優香」 堂上が胡坐に乗る優香の膝を持ち上げ開く、陰茎が優香の中で抽送運動を開始する。三日月型の堂上のカリ首が薄い肉壁で排泄物を堰き止めているローズレッドのアナルストッパーの先端に引っ掛かり、ストッパーを抜き出そうとする。 「あぁぁぁ……栓が……栓が……おかしくなる……優香……おかしくなる……」 「言えるか」 「はい、いいますぅ」 「名前は」 「優香です?」 「違う」 「木下優香です?」 「違う!」 太いカリ首ストッパーの相互抽送で優香が崩壊する。 「じゃぁ何ですか……私の名前は。私の名前は何ですか教えてください」 「さっき伝えたろう牝豚だ、君の名は牝豚優香だ。言えるか!」 笠原が優香の髪を両手で鷲掴みにし、口から泡を飛ばす。優香が泣きながら頷いた。 「言えます……言えます……言えます」 笠原が髪の毛から手を離し、手櫛で優香の髪をセットする。笠原がゆっくり質問する。 「君の名前は?」 「牝豚優香です」 「誰が何を出したいんだ」 優香が項垂れるように頭を下げる。 しばしの沈黙。天井からポタリ……水滴が堕ちた。 (もういい……もういいよ……私は牝豚優香……排泄さえ管理される豚以下の人間族の牝豚……それでいい……ううん……それがいい……牝豚優香がいい) 優香はゆっくりと頭を上げる、汗まみれの横顔を月明かりが照らす。 三人の男たちが固唾をのむ。 「牝豚優香が……今から……皆様の前で……黄金の……熟成した……糞を……出させて頂きます」 優香はゆっくり一言一言嚙み締め、言った。 男たちが表情が歓喜に包まれる。 「そうだ、そうなんだ。ご褒美だ!抜くぞ、抜くぞ牝豚優香、思う存分に糞を噴き上げるんだ」 堂上が床に寝そべり、優香をクルリと回転させた。 優香が深く肉棒を挿入したまま、堂上の胸に手を付き男たちを見渡す。 「お願い……臭い臭い熟成糞が噴き出す姿を見てください」 笠原の指が排泄を押さえ続けたローズレッドの栓底に掛かる。 「抜くぞ、この牝豚優香の熟成糞を封じ込めている栓を抜くぞ!」 栓底は一捻りされる。 「堂上君、君の肉棒で牝穴を切り裂くくらい腰を振りなさい。関口君、君の肉棒で牝豚優香の呼吸を止めるくらい喉奥を犯し窒息させなさい。二人の肉棒でこの牝豚を突き殺すんです」 もはやこの狂淫の宴の指揮者は笠原。誰もが笠原の指揮棒通りに動いた。 笠原は人差し指と親指でアナルストッパーを掴んだ。 「男たちは牝豚優香の子宮に喉にザーメンをぶちまけろ、それが壮大なフィナーレの合図だ、君たちの腰の骨が砕ける音を僕に聞かせてくれ」 笠原が狂ったように叫ぶ。 堂上と関口が優香の躰の奥に奥にと激しく肉棒を突き立てる。 優香が壊れた人形のように無重力な動きをする。 もはや優香の叫ぶ声は高音域に達し、蛍光灯を破裂させんばかりだ。 「……ごめ……ごめんなさい……ごめんなさい……」 夫の圭太にか、愛する娘の柚希にか、それとも…………。逝き続けながら優香の口から謝罪の言葉だけが、無意識にこぼれ続ける。 「オーッ!」 堂上と関口が同時に吠え果てた。 「イグッ!」  優香が舌を伸ばして叫ぶ。 「牝豚優香、四つん這いになって尻を高くも仕上げろ、栓を抜くぞ、天にまでその醸造しきった糞を噴き上げろ」 笠原が崩れ落ちた優香に命令する。 「………は、い…………はい、ゆうか……ださせていただきます……」 崩れた優香が笠原の命令に機敏に対応し双腎を高々と上げた。 「牝豚優香よ……抜くぞ」 「はい……牝豚優香のケツ穴から……汚い汚いケツ穴から栓を……くそを堰止めている栓を……抜いてください……牝豚優香は……牝豚優香は、この躰で発酵させ続けた糞を……優香糞を噴き上げさせていただきます……みて……おねがい……みてください……糞吹き豚の優香を観てください……」 優香の言葉が終わるや否や、笠原は一気にアナルストッパーを抜いた。 黄金の排泄物が見事なアーチを描いて吹き上がっていった。 「……幸せ。優香は幸せです……」 天井へ向かい高々と排泄物を噴き上げながら、優香は微笑む。 その瞳だけが、哀しく滲んだ。 ――――牝豚優香の物語は、まだ始まったばかりですよ。私の牝豚優香。 ここからが本当の第一章です。――――

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