まーちゃんの物々交換

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まだ、みーちゃんが生まれる前のことだった。 ママは大きなお腹をしていた。病院の先生から、 「少しウォーキングをしたり、無理をしない程度に体を動かしてみてくださいね。」 と言われていた。 だから今日は、ママとお散歩。 公園に行くと、ワンちゃんと一緒にご本を読んでいるお姉ちゃんに会った。 ワンちゃんは、とてもおとなしかった。 「しぐれっていうの」 「かわいい。わたし、まーちゃん」 「まーちゃん、かわいい名前ね」 お姉ちゃんは優しく言ってくれた。 「またねー」 まーちゃんは、ワンちゃんとお姉ちゃんに手を振った。 すると、 「待ってー!」 と、お姉ちゃんが走ってきた。 「落とし物? まーちゃんのかな?」 幼稚園で描いた宝物の絵。 ポケットをのぞいてみたけれど、入っていなかった。 「ありがとう。お姉ちゃん、お礼にこれあげる」 まーちゃんは、ポケットからきれいな葉っぱを取り出した。 「ありがとう。じゃあ、お礼にこれあげるね」 お姉ちゃんはバッグから、花の模様がついたものをたくさん出した。 「これ何?」 「まーちゃん、本好き?」 「うん。好き。『おばけのてんぷら』!」 「えー、本当? お姉ちゃんも好き。あの絵本、おもしろいよね」 「えー。一緒だね」 「これ、栞っていうの。絵本をどこまで読んだか分からなくなる時、こうやって挟むといいんだよ」 「へー」 「どうぞ」 そう言って、お姉ちゃんは栞をくれた。 「1、2、3……9、10。こんなにたくさんいいの?」 「お姉ちゃんの名前は、あじさいっていうの。あじさいの花を育てていて、その花で栞を作って、みんなにあげるのが好きなの。だから、たくさんもらってくれたほうがうれしいの。まーちゃん、お友達にもあげてね」 「わかった。ありがとう。バイバーイ。しぐれもバイバーイ」 「わん」 しばらく歩いていると、今度はお兄さんに出会った。 お兄さんもワンちゃんを連れていた。 「かわいい」 「つぶっていうんだ」 そのワンちゃんは、ダルメシアンだった。 「つぶつぶがいっぱいあるから、つぶちゃんっていうの?」 「うん。そうだよ。それと、雨粒の『つぶ』でもあるんだ」 「かわいい名前だね」 「これ、そこで拾ったきれいなどんぐり。どうぞ」 お兄さんがくれたどんぐりには、帽子がついていた。 「ありがとう。わあ! 帽子がついてる!」 まーちゃんは、もらったどんぐりを大切なものを入れるポケットにしまった。 「お兄ちゃん、本好き?」 「好きだよ」 「まーちゃんは、『おばけのてんぷら』の絵本が好きなの。」 「うん。お兄ちゃんも好き。『おばけのてんぷら』!」 『さっきのお姉ちゃんと同じだー』 「これあげる。栞っていうんだ。いっぱいもらったからあげる」 「きれいだね。紫陽花の花?」 「うん。さっきのお姉ちゃんが作ったんだって。あそこに座って、ご本を読んでいたお姉さんだよ」 「あー。もういないね。帰っちゃったのかな」 「まーちゃん、ありがとう」 「いいえ。どういたしまして」 「大切にするね」 「うん。バイバイ」 「バイバイ」 それから、まーちゃんは栞を、パパ、ママ、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、すず先生、りゅう君、ひーちゃん、そうた君、園長先生、そして出会ったお兄ちゃんにプレゼントした。 「あっ! まーちゃんの分がなくなっちゃった!」 まーちゃんは思った。 「そうだ。今度お姉ちゃんに会ったら、作り方を教えてもらおう」 みんながとても喜んでくれたから。 今度は、まーちゃんが作った栞を、みんなにプレゼントしたいと思った。

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