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そんな事もあり、雨の日の夜は冬子は寂しいというかモヤモヤとした気分になる。
この夜も例外なくそんな気分の夜であった。
一つ変わった事と言えば、今夜は妹がいない。
『ピッピッ……』
不吉にもあの夜と同じように電話がなった。
一年前と同じように冬子の携帯電話がなった。
冬子は携帯をとり通話のボタンを押した。
「もしもし……」
おそるおそる返事する。
『冬子か……』
涼からだった。
しかし、いつもより暗い声だった。
あの日、姉が死んだ晩から涼はあまり、冬子達の部屋に寄り付かなくなっていた。
『心して聞いてくれ……』
歯切れの悪い言葉だった。
「なんか、あったの?」
冬子の胸が嫌な予感でいっぱいになる。
『実はな……』
悪夢は始まっていた。
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