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本棚に追加想定外の友達 バッシー
仕方ないことは世の中にごまんとある。それが今日のような日だ。
自分とは縁のない遠い世界の住人のような人に誘われて、浮足立っていた。その飛び跳ねた足首を折るように事態は暗転していく。
波氏は砂沙美と待ち合わせた場所で裏切られ、結局一人で人波に押し流されていった。出来る限り少し前を言っている砂沙美達と合流しないように進む。
花火が好きかと言われたらそうでもない。
早くこの人垣から逃れたいが、せっかくだし花火も見ておこうかという気分になる。
波氏は思ったほど傷ついていなかった。
他人に期待しない性質ではない。確かに心は裏切りに震えていたが、立ち直れない程ではない。これが不思議であった。
「あ~あ。あがっちゃったよ」
ため息が聞こえてきた。同時に顔を上げる。
色とりどりの花火が明るい夜空を染めていく。そして跡形もなく消えていく星を追う様に、太鼓を打ち鳴らすような音が聞こえてきた。
赤、青、緑、あ、にこちゃんマーク。
全部全部消えていく。
あの花火の残滓は空中で散って、二度と私たちの目には映らないんだ。美しく光っていたのが嘘にならないように、火星は煌めく。夜空を埋め尽くす。
残酷な終わりなんて誰にも見せないと言わんばかりに黒いキャンバスは色に塗りつぶされた。
嘘をついてたのは本当?
彼女にはなにか裏があるんじゃないかと思っていたが、先程の砂沙美の驚いた顔はまるで予想外な出来事が起こったように思えた。
でも確かめるのは怖い。
明日学校で顔を合わせても、向こうからなにか言ってこない限り聞けない。私は度胸がないから。それに、あの曖昧な出来事がしっかりと裏切りとして形になってほしくない。
友情はなかった。
あの数日は無邪気なボタンの掛け違いから起こった事なんだ。
真っ暗な空と人の波にさらわれて、波氏は駅へと向かった。取り敢えずここではない場所に行きたい、その一心で波氏は気付かなかった。
砂沙美は一人で波氏を見つめていることを。
しかし臆病ゆえ、向き合うことはなかった。
そして十年の月日は花火の星が燠になる早さで、あっという間に経過するのである。

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