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母さんはこっちに向かって歩いてくる。
俺は急いで玄関から居間へあがり、自分の部屋までかけあがった。
母さんは俺が帰ってきてることを悟ったらしく、忍び足で居間へあがったらしい。
ガサゴソと音が聞こえる。
多分着替えてるのだろう。
俺はなにも知らなかったように、
「母さん帰ってきたの?」と言った。
「ちょっと買い物行ってて遅くなっちゃった。」
と平然にこたえる母。
俺は全てを知っているんだ。でも自分の家庭が壊れてしまうのを恐れた俺は、母さんになにも言えなかった。
居間へ降りてみると、母さんはいつも通りの格好になっていた。
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