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「お疲れ!」
「お疲れ様っす!」
俺は加藤翔平。18歳。素晴らしい程に退屈なキャンパスライフを始めて約半年が経つ。たった今、駅でバイト先の先輩と別れた。精一杯の笑顔で言った俺は姿が見えなくなると、深くため息を吐いた。
「はぁ……」
時刻は夜10時だった。いつもよりも人が少ないホームには、俺とサラリーマンらしいオヤジ、本を読み耽っている女、眼鏡を掛け、帽子を目深に被り、気温が高いにも関わらずにマフラーをしている女がいた。
「なんだあれ……」
実際に、俺はあまりの暑さに上着の首元をばたつかせている。他も気になるのだろうか、チラチラと横目で見ていた。気付いているのかいないのか、女は眠そうに頭を揺らす。だが、突然に響いたアナウンスに身体をびくつかせ、列車が止まり、扉が開くと我先にと座席を取り合う闘いが起きる。俺も例に洩れず、なんとか座席を手に入れ、安堵に身を任せ顔を上げると、俺の視界に信じられない光景が映った。
「おいおい……」
なんと、厚着女が俺の真正面にいるではないか!見るだけで暑いし、列車の中もある程度の湿度と気温を誇っている。そんな中でも、女は服を脱ごうとはしていない。最早異常だ。
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