同じ

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看板を見上げながら、俺は考えた。第一になぜ降りたか、第二にこれから何をするかだ。降りた事に対しては、言いようはない。何をするかはこれからすればいいか、そんな思惑を決めるように腹が鳴る。 「腹減ったな……」 腕時計を一瞥すると、10時55分だった。 「とにかく行くか」 長い階段を上がり、明るいネオンが俺を迎えてくれた。さすがは電気の街だと、褒めてやりたい所だが、俺の視線は一点に釘付けになってしまう。リュックサックをからい、ネックレスの先につけた知らないキャラクターのフィギュア。これが 「オタクか?」 吹き出しそうになる。まさか、こんなにもレベルが高いとはな。自慢気に誇らしげに胸を張って歩く真似は俺にはできないだろう。しばらく歩くと、CDショップがあった。 「そういや、今日発売だな」 誰にだって贔屓の歌手はいる。俺は新発売のCDを手に入れる為に店に入った。入口脇で又しても驚愕する。書いているから間違いないだろう。アイドル声優が画面一杯に踊りながら歌う姿を映したテレビを、ぐるりと囲い熱狂する男達がいた。 「わかんねえ……」 まったく理解に苦しむ。無視しながらも、奥に進むが目当てに辿りつくまでに何度『アイドル』という言葉を目にしただろう。やっとの思いでCDを入手した俺は、そそくさと店を後にした。
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