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当初の目的通りに、何か食べれる店を探し始めた。ちらほらと目に入るオタク達が、俺の好奇心を騒ぎ立てるが、やはり空腹には勝てない。CDショップから数メートル程離れた所にそれはあった。小さな一軒家のような雰囲気を醸し出す扉と、店の名前だろうかピンクを主体とした看板に刻まれた可愛らしい文字。意味がわからない……
「まあ、喰える物がありゃいいか」
軽い気持ちで扉を開く。その先に待構えていたように、一人の女が俺にこう言った。
「おかえりなさいませ!ご主人様」
俺は、迷わずに閉めた。そう、ここは俺の家ではないし、あんな家政婦を雇う金はなかったからだ。首を振り、次の店に向かおうとした時
「どうなさいました?」
先程の女がわざわざ扉を開けてきやがった。俺がどうこの事態を躱すか思案していると、邪魔をするように腹が鳴る。お約束な奴だ。
「ご主人様ご案内です」
止めを刺され、俺は入るしかないのだろう。早々と諦めて中に入ってしまった。誰か助けてくれ!
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