同じ

6/8
前へ
/194ページ
次へ
店では夜も遅いというのに、それなりの賑わいをみせていた。狭い通路に沢山置かれたテーブルが支配されかけている。 「こちらの席にどうぞ」 満面の笑顔で席を手で示され断る男はいないだろう。俺は従い、のそりと座った。メニューを渡され、ページを開いた。オムライスに始まり、様々な子供向けとも取れるメニューが記載されている。しかも 「……高い」 普通の店よりも高い。若干ではあるが、気になってしまい 「少し高いね」 素直に尋ねてしまった。困惑する女に、俺は焦って理由を簡単に述べた。飲食店でバイトをしていて、敏感になっている。聞いた女も 「サービスがあるからです」 いや、要らない。そう返したかったのだが、押し殺す。必至で働いているのだと自分に言いきかせて、オムライスを注文した。 「かしこまりました」 オムライスを待つ時間は、暇だ。椅子から首だけを動かし周囲を伺うと、メイドとジャンケンをしている者や、にらめっこをしている奴と様々に別れていた。 「……別世界みたいだ」 喰って早く出て行こう。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

315人が本棚に入れています
本棚に追加