六月の俺と君

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6月の梅雨時期 今年は雨があまり降らなくて梅雨なのかと疑うほどの猛暑が続く。 そんな中俺は休みを取り京都へ向かった。 6月の始めが命日である椿先輩の墓参りをするために。 電車に揺られ京都に着き車で本家へ向かう。 参るだけだから普通は私服なのだが、今回ばかりはスーツを着ていった。 ジメジメした空気に少し気が滅入りながらも、本家に到着。 お祖母様に会うべく本家の廊下を歩くと、突き刺さるのは使用人と親族の目。 そんな目には怯えることなくどうどうとした振る舞いで、お祖母様の居る執務室の扉の前に立って扉をノックして中に入る。 「失礼します。ただいま帰りました」 一礼したあと顔を上げると、お祖母様が微笑んでいた。 「久しぶりやね。元気しとったん?」 「うん。見ての通り元気だよ」 と笑うと俺に近寄り頭を撫でてくれた。 「ほな、行きましょか」 と部屋を出るお祖母様の後を付いていく。 車に乗り向かう場所は椿先輩の墓がある所。 神崎家の人間のみが足を踏み入れられる場所に俺は入って、まだ新しくたてられた墓碑の前に立った。花と線香と蝋燭を添えて俺は手を合わせて目を閉じる。
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