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「過ぎたる5月20日の正午過ぎ、ゴールデンサンド隣接の砂漠、座標540の30付近にて森林が砂の中からせりあがる現象が発生。22日午前、巨大な岩石が森に落石。精霊の働きによるものと見る。24日午前、二度目の落石を確認」
一旦言葉を切る執事。
空気が乾いた。
その無言の溜めはオレに返事をしろと促してる。
「っ。はい」
『…今こっそり舌打ちしましたね』
オレの僅かな抵抗にこっそり突っ込みを入れる隣の彼。
そういう都合の悪いことは聞くな。アリウス。
執事の読み上げは続く。
「初日の事件より調査隊を派遣するも森にたどり着くことかなわず、森が消えるまでに事態を把握することが不能なまま今に至る。追記、20日に隣のイエラー国王都を出た記録があり、ゴールデンサンドにたどり着いたのが25日であるキャロル嬢は一日で渡れる砂漠でのその間の動向が不明である。」
読み上げたカーリーの執事は、書類を懐へ仕舞うと、一礼して部屋から退室した。
その日時をどこで調べ上げるのか、門番が居るだけの国境でどれだけ人々が監視されているのかが恐ろしい…。
「では尋問よ~。キャロルちゃんは、砂漠の森に居たわね?」
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