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彼女の的確な指示が飛んで老執事は部屋を出た。
宿代も食事代も減らない宿泊は願ったりだけど、軟禁ってなんだよ!
「…っ、仕方ないから、…世話になってやる」
『キャロルさん、その舌打ち聞こえてますから…』
来なければよかったかな。軽くすっぽかして遠くに逃げるが勝ちだったかな。とは思ったが、入国も出国もばればれなこの国なので、オレが砂漠の一件に絡んでいると睨まれて逃げれる方がおかしい。カーリー様は怖いんだから…。
そんなことを思うときりきりと奥歯をかみ締めてしまうのだった。
また少しのやりとりの後、一人の無口な付き人に監視されてオレは客室まで通された。
第三隊副隊長、マドック。
実力は隊長クラスだが、その寡黙で頑固な性格のため全体を統率するというよりも補佐として向いており、このゴールデンサンドでは第三部隊長のよきパートナーとして活躍している。
そのよく鍛えられた上半身に着せられている鉄板の鎧姿が暑苦しい。
さらに眉毛が剛毛なのが気になって、迷わず眉毛があだなだと心の中で決定した。
まーゆげまゆげぇ~
そんな今の時刻はお昼過ぎ。暑さもなにも絶好調で、ときたま肌を下向きに撫でる汗が気になった。
「さあここが主がしばらく滞在する部屋だ」
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