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大きな荷物になるようなものはないのだが、兵以外は宮殿に武器は持ち込めない。それでも預かってくれるので、手元になくとも身近においておきたいものだ。正真正銘オレの命でもあるし…。
しかしオレの荷物を男子に持ってこさせるのか。後でカーリー様にいってやるもんね。
というわけで、オレはこの宮殿の常連であり問題児扱いされている厄介者なのである。
オレどんだけ偉いんだよ。
早く自分で何でも出来るようになりたいのに。
この体。
魔王の剣との間に呪いの契約で繋がっているオレの命は、決して朽ち果てることは無い。
剣が自らの滅びを望まない限り、持ち主を死なせることがないからだ。
オレの母親は緩やかに歳をとりつつ200年近くを生きて、剣の代替わりのために兄貴を産んで夫を殺害した。
さらにオレには父親が複数いるらしく、これという特定が出来ないわと歪な笑顔で語られたものだ。
代替わり…
あれ?兄貴が継承の筈だったのに、オレどうやってこの剣を…
とたんにさらさらと思考がくずれていった。
えがいていた家族の映像の一つ一つが無かったもののように霧散して、心がその場から遠のいたようになり急な虚無感に襲われる。
…
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