精霊

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彼は微笑むと、目元の見えない顔で軽く頷いた。 「ボクは、グーロッドだよ。その通り、カーリーを祝福した者であり、この土地そのものと言えるだろう」 精霊は土地に着くものだ。星から生まれた大地のエネルギーは一つの象徴となってこの世にあわられる。 彼がその土地であり現象であり存在である。 この地があるからこそ彼は存在し、世に現れる。 その涼やかな風が通り抜けるような声で、無邪気に語るグロッド。 その体が僅かに捻られ、動きを与えられるそのたびに、腕から生えた3対の翼は風を切る音を奏でるのだ。 あくまでもコンパクトな体に似合った音量で。 その彼の存在は、自分がここに存在していることへの軽い矛盾を確実に体現しているようだった。 風には風の妖精、精霊がいるとされている。土にも水にも炎にも、そこに事が起こる現象には霊的存在が欠かせないのだ。 だがしかし自分には、水の属性を持っているにはいるが、固体としてここにおり、移動して歩いている。 彼のように体を消して急に現れるなんてことが出来ない。 力もない。
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