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ふと、昨夜の出来事が頭の中で渦巻いた。
夜中、キャロルさんは原因不明の高い熱を出した。全く病気の気配も無く、突然、前触れ無く、宿のベッドで横になっていた彼女が冷や汗を流して真っ赤な顔をし始めた。
軽くさすってみたが彼女の意識が繋がらないし、腕に伝わる体温はいつものそれではなかった。
一体彼女に何をすればいいのか思い当たらなかった僕は、
精霊という高位霊的存在である身分で
実は、木立で他愛も無い世間話を囁きあうだけの植物の妖精に、彼女を任せたんだ。
『貴方の彼女?クスクス、か~わ~い~い~☆彡』
「すいません、僕にはよく判らなくて…」
『あら、頼りにならないわねー』
『こういうときはね…』
『きゃっ!ちょっとーあたしが先に彼と目が合ったんだから、あたしがやるのよ!!』
『ずるい!精霊様、何とかいってくださいぃ~』
『そんな媚売って、いい?彼女を早く直してあげた方が一日デートなんだからぁ~!!!』
「…勝手にきめられても困りますが、まぁなりふり構っていられませんからね…あぁ僕も頭痛がしてきました…」
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