砂漠の大国

2/17
前へ
/54ページ
次へ
クアァー!! 突如オレに襲い掛かってきたのは、真っ赤な銅の鱗をもった子供のワイバーンだった。 ワイバーンって、どんなのか判る? 大きさは翼を広げて2メートルほどしかなく、伝説の火を吐くドラゴンに似てなくもないけれど、それより体はかなり小さく、体はトカゲなのに、背中に気の利いた翼が生えている、そんな魔物だ。 天高く上空を飛行するワイバーン。 そいつは小さな翼を滑空させ、その牛の首をも刈るほどの力を持つ鋭い後ろ足が、オレの首のあった所を空振りしていった。 ふん。 オレは軽く鼻で息を吐くと、 自慢のブラウンシュガーを縛った髪の毛の所までを考慮に入れて、腹筋使っておもいっきり屈んで避けてやった。 空しくその足が空振りすると、それは大きく翼を広げて上空に舞い戻ろうとした。 しかしここで、腕を伸ばしてそいつの尻尾を掴んだ。 うん、ちょっとした遊び心っ♪ 長い蛇みたいな尻尾は、ざらついた硬い皮膚をしてオレの手に血を滲ませる。 オレを引っ張って体をくねらせ、激しく抵抗してみせるので、地面に刺した自分の長剣に左手でつかまり体を支えると、この黒い瞳でそいつのことをひと睨みした。 刹那。 空から黒い何かが降ってきて、そのワイバーンを唐突に押しつぶした。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加