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クアァー!!
突如オレに襲い掛かってきたのは、真っ赤な銅の鱗をもった子供のワイバーンだった。
ワイバーンって、どんなのか判る?
大きさは翼を広げて2メートルほどしかなく、伝説の火を吐くドラゴンに似てなくもないけれど、それより体はかなり小さく、体はトカゲなのに、背中に気の利いた翼が生えている、そんな魔物だ。
天高く上空を飛行するワイバーン。
そいつは小さな翼を滑空させ、その牛の首をも刈るほどの力を持つ鋭い後ろ足が、オレの首のあった所を空振りしていった。
ふん。
オレは軽く鼻で息を吐くと、
自慢のブラウンシュガーを縛った髪の毛の所までを考慮に入れて、腹筋使っておもいっきり屈んで避けてやった。
空しくその足が空振りすると、それは大きく翼を広げて上空に舞い戻ろうとした。
しかしここで、腕を伸ばしてそいつの尻尾を掴んだ。
うん、ちょっとした遊び心っ♪
長い蛇みたいな尻尾は、ざらついた硬い皮膚をしてオレの手に血を滲ませる。
オレを引っ張って体をくねらせ、激しく抵抗してみせるので、地面に刺した自分の長剣に左手でつかまり体を支えると、この黒い瞳でそいつのことをひと睨みした。
刹那。
空から黒い何かが降ってきて、そのワイバーンを唐突に押しつぶした。
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