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夜更け過ぎ。
ディナー後に軽く眠りに落ちていたのに、その麻薬のような心地よいまどろみから不覚にも目が覚めた。
そこにある小ぶりの豪華なシャンデリアを見上げる。
キャロルさんと離され別部屋にされてしまったことが少し気に食わない。
与えられた個室は恐ろしいほど冷たい豪華さで。
夜になるとグーロッドもどこかへと行ってしまうし…。
「…探しにいきますか」
ここは大人しくしているべきだろうけれど、なんとなく構いにいきたくなってしまったのだから、これは実行しなければ気がすまない。
滑らかな取っ手を握り、潤滑の良い蝶番の扉を開くと、そこには暗い世界に白熱灯に照らされた廊下が続いていた。
人々の寝静まった夜の世界。
きっと居るのは見回り兵のみ。
だというのに、どうも宮殿内の様子がおかしい…。
ざわついているというか…人々の不安な気が立ち込めているのが分かる。
僕は様子を伺おうと廊下の曲がり角に立ち、そっと辺りを警戒しながら進んでいった。
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