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しかし、魔の者の一番の攻撃手段、両の手はそこにはなかった。
一つ悲鳴が上がる。
歩兵が一人捕まって、首を絞められていた。
その方は他の兵が手を取ろうと腕を握っているが、締め付けはきつくなりみるみるうちに顔色が。。。
これは大味が持ち味の魔術の出る幕はないかと思われたが、今度は2列目が前に出て廊下一体を魔力の結界で包み込んだ。
それは兵達の身に着けている鎧に反応し、彼らに攻守強化の呪文がかかった。
一人、首をしめられており、手をどかそうと頑張っていた男の腕に力がこもり、彼にしがみ付いた指をなんと一本外してのけたではないか。
それを見て隣にいた一人もその指を外しにかかり、最後の人差し指を逆向きに折ると、その白い小さな手は床に落ちた。
「てこずらせやがって!!」
がきっ!
魔の者の体を割った軽装の歩兵が、それが落ちた瞬間を見計らって床ごと手を剣でさす。
そこは魔の者の足元。
体液は床に滴り続け、シミとなっておのれの足元を汚しっぱなしだ。
その足元に剣で刺さった自分の腕が立つ光景は、まるで墓場の十字架であった。
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