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「またキャロルさんを襲いにきたんですか貴方は。いけない子ですねぇ…。」
そこにやってきたのはアリウス君だった。
オレのために近くのオアシスからマメに食物を運びにくる命名保護者。
水の精霊アリウス。
イケメん君。
旅の仲間。
「貴方がわがままを言うので果物を探しに言っても、一人になるたびに襲ってくるんですから困ったものです。」
こらそこ、余計なこと言わない。
「キャロルさん」
「なんだよっ」
「貴女も女の子なんですから、あまりやんちゃをしてると目に余りますよ。」
アリウスが聞き捨てならんことを呟きつつ側の砂地に緑色の果物を置くと、オレに近寄ってきてそこで止まった。
その白い腕ですぅ、と黒い巨大な腕を撫でると、オレの召喚した彼はぱっとその
場から姿が消えてしまった。あっけなく。
ぁぁあー!!またっ!苦手な精霊に対しては言うこときくんだからこの子はっ!
魔物は精霊と非対称というか、お互い天秤にかけてどっちが上かと言うと精霊の方になる。
それは神の作った世界の大地を支えている元素たる精霊と、その神の影の存在になる魔王の生み出した生物としての違いによる。
大地があれば精霊はそれだけで力になる。
魔の者は、魔王がいてこその力だから…。
いない魔王に頼れる力はナイのである。
だから、魔王の息子たる彼に消えるようにと願われると、それにしたがってしまう。この黒い腕の子。
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