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鉄槌
民家に忍び込んだ彰二は、二階の子供部屋にいた。
Tの字の通りに面したこの部屋は、視界を邪魔する事もなく、通りを見渡せる。
望遠レンズを付けたカメラを取り出した時、下から声がした。
『誰かいるのか‼』
彰二は体を低くした。
『ここら一帯は、避難命令が出ている。出てこないと、住居不法侵入で逮捕するぞ‼』
…
『わかった…わかりましたょ…』
下の庭の方で、数人が立ち上がり、ゴソゴソと動く気配がある…
『泥棒と同じだぞ。他人の家に入りやがって…
それに、流れ玉にでも当たったら、どおするつもりだ…』
話し声は、徐々に遠くなっていく…
…
窓のカーテンの隙間から、外を覗いてみた。
望遠カメラのファインダーの中に、うごめく人影が見える。
学習塾は、ガランとした感じになって、外側に即興のバリケードが出来ていた。
民間人っぽい人が5人ほど…ゴッツいジャンバーを着ている。
回りの警官も、拳銃をチェックしてるのは、万が一、撃ち漏らしたら…
発砲許可が出ているに違いない。
(随分と大掛かりだな…それだけヤツが、脅威だということか…)
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