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現場近くの道路は、すべて閉鎖されていた。
彰二はしかたなく、コンビニの駐車場に車を突っ込み、現場と思われる方向へと走った。
(でも…行ったからって…俺に何ができる…)
すでに報道されていて、スクープになり得ない。
無力感に包まれ、いつしかトボトボと歩いていた…
(でも…もう一度ヤツを見たい…)
彰二は、警官の立ち並ぶいっかくへと向かった。
…
このまま『虫』が直進すれば、およそ1㌔先でTの字の道にぶつかる。
その正面には、三階建ての古ぼけたビルが建ち、一階は学習塾が細々と営業をしていた。
…
彰二はごった返す野次馬と警官と報道陣をかき分け、正面に回った。
学習塾は窓ガラスが割られ、地域の猟友会のメンバーが、警官と打ち合わせをしていた。
(発砲許可がおりたのか?…)
確かに『虫』と対決するには、かっこうの場所だろう。
彰二は辺りを見回し、ビルの正面が見える二階建ての民家を見つけた。
人混みを抜け壁づたいに歩き、裏口から中へ入り込んだ。
中へ入ると、
すでに何人かのカメラマンが庭に潜み、通りに向かってカメラをセットしていた。
(ここじゃダメだ…)
家の裏手に回って調べると、風呂場の窓の鍵が開いていた。
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