狙撃

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狙撃

『虫』出現の通報を受けて、警察が現場に到着したのは、 無謀な高校生集団がケガをした後だった。 … 通報を受けた110番の交換手が、イタズラと判断した為に、初動が遅れてしまった。 それは仕方ないことだと思う。 実際に目にするまでは、誰も信じられないだろう。 … 怪物は、その形態から 『虫』 と呼ばれた。 まだ報道はされてないが、現場に急行した警察官もケガをしている。 『虫』の動きを止めようとして、道をパトカーで封鎖したのだ。 何事もなかったように、虫はパトカーを乗り越えて行った。 「ま、待て‼」 車から降りた警察官は警棒を抜き出し、『虫』の肩を掴んだ。 振り向きざまに蹴られたと気がついたのは、パトカーに激突し、後部座席の窓を突き破って止まった時だ。 腕が、有り得ない方向にねじ曲がっていた… 薄れゆく意識の中で最後に目にしたものは… 何事もなく立ち去る『虫』の後ろ姿だった。 … うかつに手だしを出来ない状況で、 警官は遠巻きにして『虫』と一緒に移動するしかなかった。 地域の住民を誘導し非難させ、国の対応を待っている。 (発砲許可が出たら…) 不気味に歩みを進める『虫』に対して、 慎重な対応をする上層部への不満が高まる。…
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