首藤さん

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「失礼します先生」 暗い顔でうつむいて入ってくる。ミニスカートの女子高生といった感じに見える。 出雲がカルテを机の上に置きながら泣き出しそうな彼女を励ます。 「ひとえちゃんこの先生だともしかすると、いけるかもですわ」 小さく頷く彼女の名前は、首藤 ひとえ。 ふさぎ込んではいるけど、顔色もいいし、かわいいに分類していいと思う。 「首藤さん、どうされましたか」 「……なんです」 婦人科なのかな? 言いづらそうだ。 「ここでの事は絶対に秘密だから安心して話して大丈夫ですよ」 潤んだ瞳を真っすぐ俺の顔に向けて悩みを話してくれた。 「首が伸びないんです」 科を間違えたかな。 「先生には普通に見えるよ。何も心配いらないよ」 「普通じゃありません。父も母も首が伸びて抜けるんです」 話がみえない。 悩んでいる顔が真剣なだけに重症らしい。 そうだカルテを。 首を引っ張る。ロープでつるす。切断は危険を伴うので最終的な手段と説明。 犯罪者の日記帳か。オヤジ。 「先生、無理なんでしょうか」 涙がこぼれそうになっている。 取り敢えず、害のないものからやろう。 「頭を持って首を引っ張るからね。痛かったら言ってね」 「はい、先生」 ここで笑顔がこぼれた。 マジか?
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