首藤さん

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頭の上と顎の下に手をあてがい軽く引っ張る。 これで気が済むならと最後に少し力を込めた。 予想通りじゃない。 手応えを感じないまま、正月の餅つきの餅よりすんなり一メートルは伸びた。 彼女の首は俺が、抱えたまま俺の頭上にある。 「伸びました!先生、私伸びました!」 俺は気を失って伸びたい。感激の声の中疑問が浮かんだので一応尋ねる。 「ひ、ひとえちゃん?元の長さになるかな。えと、学校とか行けなくなったら困るだろう?」 「そうですよね。やってみますね。先生!」 振り向こうとする彼女の頭をがっちりホールドして、首が下がってくるのを待つ。 目をつぶって手と腕の感触だけで、下がったのを確認して目を開ける。
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