オヤジの最期

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「母さん、オレやっとインターン終わって内科医で独立するから」 「健一、嘘じゃないの。今度は嘘じゃないの。お父さん倒れてもう三日はもたないって……」 母さんの呼び出しも毎度、凝ってくるな。 一応休暇届を出しにいく。 「うちの父がまた危篤なんです。いいでしょうか?」 「いいけど神楽くん。将来に響くよ。休みばかりとってると」 わかってるよ。不本意だけど荷物をまとめて新幹線で首都圏に向かう。 医者になれ、人の顔をたまに見る度言うオヤジから離れたくて田舎の大学病院を選んだ。 金や遊びなんか問題じゃなかった。
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