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脳裏に彼との昔の出来事や事故等が全てフラッシュバックする。
「あああああああ―――――!!」
私は激しい頭痛に力一杯目を瞑り、頭をベッドに蹲らせながら叫んだ。そして、その間にもフラッシュバックは延々と続いた。
どのくらいたっただろうか、ものすごく長い時間のような気がするし一瞬のような気もする。
頭はまだ痛いが我慢出来ないほどじゃない。頭痛で気にする余裕がなかっただけだが、いつの間にかフラッシュバックは止んでいるみたいだった。
ベッドの布団に顔を埋めながら私は深く深呼吸をし、息を整え始めた。
「あれ……」
その時、ふとある違和感に気がついた。
音が無いのだ。
いくら病院の中でベッドに蹲っているとはいえ、人の話す声も、虫の鳴く音も、自動車の走る音すら聞こえない。
私は世界で一人だけになってしまったような気がして怖くなり、ついには頭を起こした。
顔を上げるとそこは、夢で見た何も無い世界だった。
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