4/4
前へ
/23ページ
次へ
 脳裏に彼との昔の出来事や事故等が全てフラッシュバックする。 「あああああああ―――――!!」  私は激しい頭痛に力一杯目を瞑り、頭をベッドに蹲らせながら叫んだ。そして、その間にもフラッシュバックは延々と続いた。    どのくらいたっただろうか、ものすごく長い時間のような気がするし一瞬のような気もする。  頭はまだ痛いが我慢出来ないほどじゃない。頭痛で気にする余裕がなかっただけだが、いつの間にかフラッシュバックは止んでいるみたいだった。  ベッドの布団に顔を埋めながら私は深く深呼吸をし、息を整え始めた。 「あれ……」  その時、ふとある違和感に気がついた。  音が無いのだ。  いくら病院の中でベッドに蹲っているとはいえ、人の話す声も、虫の鳴く音も、自動車の走る音すら聞こえない。  私は世界で一人だけになってしまったような気がして怖くなり、ついには頭を起こした。  顔を上げるとそこは、夢で見た何も無い世界だった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加