2/2
前へ
/23ページ
次へ
「私の……過去?」  どういうことだろう……私の経歴でも知りたいのだろうか。  そんなことなら喜んで差し出すのだけど……。 「そうだよ……」 「そんなことでいいの?」 「…………」  何故黙っているのだろう……何か嫌な予感がする。  少年が口を開いた。 「君が過去を失えば君は記憶も失う……そういうことだよ」  嫌な予感というものはよく当たる……今になって本気でそんなことを思った。 「記憶を……失う……」  正直命を失うと言われた方が気が楽だった……。  それでも……。  私は意を決して少年を睨みつけ、話しかけた。 「いいよ……私の記憶をあげる。そのかわり……私の望むように過去を、変えてくれるんでしょうね?」 「無問題<モーマンタイ>、だよ」  私は何故ここで中国語を使うのか不思議に思ったが、この少年のことだ。今更気にするほどのことじゃないと自分に言い聞かせた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加