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「私の……過去?」
どういうことだろう……私の経歴でも知りたいのだろうか。
そんなことなら喜んで差し出すのだけど……。
「そうだよ……」
「そんなことでいいの?」
「…………」
何故黙っているのだろう……何か嫌な予感がする。
少年が口を開いた。
「君が過去を失えば君は記憶も失う……そういうことだよ」
嫌な予感というものはよく当たる……今になって本気でそんなことを思った。
「記憶を……失う……」
正直命を失うと言われた方が気が楽だった……。
それでも……。
私は意を決して少年を睨みつけ、話しかけた。
「いいよ……私の記憶をあげる。そのかわり……私の望むように過去を、変えてくれるんでしょうね?」
「無問題<モーマンタイ>、だよ」
私は何故ここで中国語を使うのか不思議に思ったが、この少年のことだ。今更気にするほどのことじゃないと自分に言い聞かせた。
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