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桜が舞っている。
桜がたくさん咲くから桜華っていう名前なんだって
母さんが言ってた。
でも今は桜の花弁より、
ずっと、たくさん
人の血や悲しみが空に舞い散って…。
隣には、もう二度と動くことの無い母さんと、
俺と母さんをかばいながら
戦い続ける、父さん。
回りには、たくさんの動かなくなった人とそれに嘆く人。
その真ん中に
自信を鮮血に染めた
"敵"がいる。
大きな、おとぎ話に出てくるような、龍。
その鋭い牙で、爪で、口から放射される閃光で
たくさんの人を奪っていく。
もう、この国も無くなっちゃうのかな。
ほかの国みたいに。
そうやってみんなが絶望し始めたころ、
一人の女の子が戦場に連れられてきた。
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