流れのなかで

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魔王暦5年 悪魔月82日 パは40才の誕生日を迎えた。 「パの誕生日を祝福しよう」 魔王二代目ピは八重歯の光る口を大きくあけ、緑の炎を吐いた。 シャアァァァ 人々の臓物で出来上がった紫の部屋に明かりが灯る。 緑と紫が入り乱れるなかで、青い顔をした魔王ピの顔は茶色に見えた。 悪魔総統ポカリとその一族とその眷属。 それから、大魔法使いグリコと手下の魔法使い数匹。 幻獣界のドン、アーリマン。 霊界から遣わされた、太一郎と名乗る毛玉の霊。 人間界からは、タコスと名乗る者が出席した。 「みな、我が息子パのため御集まりいただき感謝する。あいにく霊界のクライストどのは、ご多忙のようだが…。とにかく今日は我が息子パに妖力を集結させていただきたい。」 みなから歓声が上がる。 ピは続けた。 「パは数ある魔子の中から選ばれた、魔神の素質を持つ者として、ここに儀式を行い、冥界に命を落とすことなく、終えられると、信じたい」 「おおー」 会場がわきたつ。 パは扉の裏で震えていた。
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