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土手の上から一匹のオオカミが襲って来ました。
土手から川縁まで距離があったのでタヌキ達には、気構えする余裕はあったのですが、逃げる事は出来ませんでした。
傷タヌキは目一杯威嚇しましたが、オオカミは何とも思って無いようでした。
一方、痩せタヌキは傷タヌキの後ろで怯えてるだけでした。
オオカミは二匹共逃げ出すと思い、狙いを足の遅そうな痩せタヌキにしました。
それを感じ取った傷タヌキは、とっさにオオカミに向かって行きました。
不意を付かれたオオカミは慌てています。
その隙に痩せタヌキは、逃げ出す事に成功しました。
傷タヌキも、この時に逃げれば良かったのですが、確実に痩せタヌキを逃がす為、最後まで戦うつもりでした。
よほど痩せタヌキの事が気に入ったみたいです。
オオカミは思いも寄らない抵抗に焦りましたが、所詮はタヌキと未だにナメていました。
二匹が戦いだして暫く経った時、突然オオカミは大きな悲鳴を上げました。
傷タヌキの爪がオオカミの右目に入ったようで、顔が真っ赤になっていました。
前が半分見えないのではたまりません。
オオカミは逃げて行きました。
傷タヌキはオオカミに勝ったのです。
しかし、その代わりに左耳と尻尾を食いちぎられ、右後ろ足の肉もかなり無くなっていました。
傷タヌキは肩で息をしながらオオカミが消えて行くのを見送った後、痩せタヌキを捜し始めました。
傷付いた足を引きずりながら、犬程ではありませんが、匂いを頼りに捜していました。
何度も何度も転びながら捜していました。
しかし、なかなか見つかりません。
しばらくすると気が遠くなり、その場に倒れてしまいました。
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