124人が本棚に入れています
本棚に追加
女子生徒がそう言った直後、星湖は突然黙りこんでしまった。
いぶかしんで「神之木さん?」と三人は、顔を覗き込んでぎょっとした。
星湖は顔面蒼白で、息が荒く、とても正常とは言えない状態だったのだ。
「か、神之木さん!?」
何が起こったのかわからず、何か悪い事でも言ったのかと焦る三人。
とりあえず一人を保健室に走らせて、残った二人は様子のおかしい星湖に声をかけつづけた。
どうしてみんな大人大人大人大人大人大人!
大人なんかになりたくない。私は大人なんかじゃない!
大人にはなりたくないの!
アイツとは違う!
---わたしは、わたしはっ…………!
おとなにはならない。
目が虚ろなまま、星湖は動かなくなった。
二人は揺すって名前を呼ぶが、反応がない。
騒ぎは大きくなり、野次馬が周りを囲む。
翔一と藍も、騒ぎを聞き付けて、野次馬をかきわけて来た。
「おい、どういう事だ。星湖に何かしたのか?」
険しい顔で二人に問いつめる翔一に、二人は事の成り行きを説明しようとするが、翔一に恐縮してうまく話せないでいた。
「翔一!星湖が…!」
と、星湖の側に走り寄っていった藍が、声を上げた。
翔一が振り向くと、星湖の瞳に正気が宿って、辺りを見回していた。
「星湖!」
「星湖どうしたの?大丈夫!?」
心配して声をかける二人に、星湖は夢から覚めた様な顔で見つめた。
その表情に、翔一は違和感を感じた。
星湖…?
当の本人は、何故か困った様に頭を掻いて、自分の手をじっと見ていた。
藍も、この違和感に気付いたのか、もう一度声をかけると、星湖はゆっくり、藍と目を合わせて、呟いた。
「……あれ?星湖は…?」
最初のコメントを投稿しよう!