現実に冒険

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ここは…どこ? ---こ…。--- おかあさんは…どこ? ---せい…ゃん…。--- アイツがくるのおかあさん。 ---せい…ちゃ…--- 助けて。アイツがくるの。 いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ 「星湖ちゃん。」 「!!!!」 起き上がるとそこは、一面が白い部屋。 荒い息を整えていると、微かに薬の匂いがした。 「ここは…。」 「病院よ。もうっ!ピーターったら、出てくるのは良いけどやりすぎよ。」 聞き覚えのない声が鼓膜を震わせる。 星湖は辺りを見回すが、人影ひとつない。 「ここよ!こーこっ!」 それは、星湖の右肩にいた。 黄金の小さな光。 その中心に、羽の生えた小さな人間の形をした生き物がいた。 「私、ティンカーベル、妖精よ。本とかで知ってるでしょう?ティンクと呼んで。ピーターの頼みで、あなたを迎えに来たの。」 小さな鈴の鳴るような声でせかせかと喋る彼女は、腕を組んで仁王立ちしていた。 「ぇと、あの…。」 「あなたが突然ピーターと入れ替わったのよ。 それでピーターったら、人前で名乗るわ、空飛ぶわで、もう大変だったんだから!」 自分に何があったのかわからなくて混乱していた星湖に、ティンクはご丁寧に一から教えてくれた。 始め、目を丸くさせてティンクを眺めた星湖だったが、昨日見た夢を思い出し、ぼんやりと夢じゃなかったんだと思っていた。 「…てなわけで…って、セイコ、あなた人の話聞いてんの?」 ぼーっとしていた星湖に気が付いて、ティンクが睨む。 星湖は、慌てて取り繕い、聞いてる聞いてると、頭を縦に振った。 それでもなお疑っているのか星湖を睨んでくるティンクに、にかっとわざとらしく笑うと、ティンクは諦めたかのように溜め息をついた。 「もういいわ。さっ、人が来ない内にちゃっちゃと行っちゃいましょう!」 「…?どこに?」 キョトンとティンクを見つめる星湖に、ティンクの光は赤く、怒りを見せた。 「冒険よ!ピーターから聞いてるでしょう!? ネバーランドに行くのよ!」 「へ?」
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