124人が本棚に入れています
本棚に追加
ここは…どこ?
---こ…。---
おかあさんは…どこ?
---せい…ゃん…。---
アイツがくるのおかあさん。
---せい…ちゃ…---
助けて。アイツがくるの。
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ
「星湖ちゃん。」
「!!!!」
起き上がるとそこは、一面が白い部屋。
荒い息を整えていると、微かに薬の匂いがした。
「ここは…。」
「病院よ。もうっ!ピーターったら、出てくるのは良いけどやりすぎよ。」
聞き覚えのない声が鼓膜を震わせる。
星湖は辺りを見回すが、人影ひとつない。
「ここよ!こーこっ!」
それは、星湖の右肩にいた。
黄金の小さな光。
その中心に、羽の生えた小さな人間の形をした生き物がいた。
「私、ティンカーベル、妖精よ。本とかで知ってるでしょう?ティンクと呼んで。ピーターの頼みで、あなたを迎えに来たの。」
小さな鈴の鳴るような声でせかせかと喋る彼女は、腕を組んで仁王立ちしていた。
「ぇと、あの…。」
「あなたが突然ピーターと入れ替わったのよ。
それでピーターったら、人前で名乗るわ、空飛ぶわで、もう大変だったんだから!」
自分に何があったのかわからなくて混乱していた星湖に、ティンクはご丁寧に一から教えてくれた。
始め、目を丸くさせてティンクを眺めた星湖だったが、昨日見た夢を思い出し、ぼんやりと夢じゃなかったんだと思っていた。
「…てなわけで…って、セイコ、あなた人の話聞いてんの?」
ぼーっとしていた星湖に気が付いて、ティンクが睨む。
星湖は、慌てて取り繕い、聞いてる聞いてると、頭を縦に振った。
それでもなお疑っているのか星湖を睨んでくるティンクに、にかっとわざとらしく笑うと、ティンクは諦めたかのように溜め息をついた。
「もういいわ。さっ、人が来ない内にちゃっちゃと行っちゃいましょう!」
「…?どこに?」
キョトンとティンクを見つめる星湖に、ティンクの光は赤く、怒りを見せた。
「冒険よ!ピーターから聞いてるでしょう!?
ネバーランドに行くのよ!」
「へ?」
最初のコメントを投稿しよう!