夢に現実

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夜。 部屋のベッドの上に寝転がり、天井に貼ってある星座のポスターを見上げながら、星湖は一人、今朝の翔一の事を考えていた。 私の事で怒ってくれたのは、正直嬉しかった。 でも、今までとどこか雰囲気が違う。昔の翔一は、あんな怒り方しなかった。 「何だか大人?って感じになったのかなぁ、アイツも…。」 星湖は、イマイチ大人というものがよくわからなくなった。 ただ、なんとなく子どもの頃の翔一とはどこか違う今の翔一に、いささか不安を感じていた。 私の知らない、どこか遠くに行ってしまう気がして。 星湖にとって翔一はただの幼馴染み。昔と変わらない、喧嘩っぱやくて、意地っ張りのくせに、泣き虫で、弱っちい男の子。 それだけだ。 「昔の、子どものまま、大人にならずにいられないのかな…私達。」 ゆっくりと目を瞑り、睡魔に勝てなかったのか、星湖はそのまま深い眠りにおちてしまった。 嗚呼、これは夢だ。 私は今、夢を見ているんだ…。 満天の星空の中に、私は立っていた。 後ろを振り返ると、金色に光る大きな時計塔。どこかで見たような気がするんだけど、社会科に弱い私は、この塔が何という塔だったか忘れてしまった。 下を見下ろせば、星空より明るい見知らぬ街。 建物の造りから、外国だとわかった。 それにしても、どうして私、こんな所にいるのかしら…? 「それは、僕が呼んだからさ。」 不意にかけられた声に驚いて、反射的にそちらを見た。 目の前には、私そっくりの男の子がいた。 緑色したおかしな服を着ているんだけど、何あれ。コスプレ…? 「コスプレ?何それ。」 うわ!話しかけてきた! 「ぅーん、君が僕の来世かぁ。まさか、女の子とはなぁ。」 頭を掻きながら、悪戯な顔で笑うその変な男は、私を来世と言った。 私はもちろん、信じられるはずがなかった。 「…アンタ、頭大丈夫?何よ来世って。」 「来世は来世さ。僕は星湖の前世。わかる?」 わからない。 翔一の事で頭がいっぱいだったはずなのに、どうしてこんな見ず知らずの男が私の夢に出てくるの!? 「翔一?ああ、あの男の子ね。アイツのこと、好きなの?」 「違っ…!アイツとはただの幼馴染み!友達よ、と・も・だ・ち!」 「ふーん、友達、ねぇ。」 男は、意味ありげににやにや笑う。私と同じ顔をしているので更にイライラする。 まじで何なのよコイツ。 「ま、いいや。星湖、冒険をしよう。」 「は!?」
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