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正式に恋人と言う関係になった二人だった
が、一緒に居た時間が長かった事もあって付き合い方が変わったとかは無く、メールにハートの絵文字が入ってる様になったのと体の関係が追加されたぐらいだった
だけど、お互いに何かスッキリした気持ちになれた事もあって付き合いは楽しかった
デートして電話して、ケンカして…今まででどこか遠慮がちだった彼女も恋人としての俺の存在を喜んでくれていた
そんな楽しい日々の中、1つだけ忘れていた事があった
彼女は専門学校2年になっていて来年の春には社会人になると言う事…
そうだった…初めて会った頃は入学したての頃だったのに、中途半端な状態で彼女を1年以上も引っ張りまわしていたのだった
「そう言えばさぁ、来年には卒業だよな?就職どうすんの?」
「うん…まだ決まって無いんだ…でもね!市内に働きたいケーキ屋さんがあるの!」
「そっか、採用してもらえると良いな!でも、市内希望で良かったよ。県外とか車で1時間以上とかだったら俺は無理だな」
「無理って?」
「付き合っていられないって事。遠距離なんて無理!」
「……そうなんだ」
本当に市内希望で良かった…当時の俺は遠距離なんて本当に無理だと思っていた
車のローンも一段落して、ちょっと遅めの青春に楽しみを見い出していた俺にとって、遠距離なんて考えられなかった
しかし、彼女は遠くに行く気は無くて安心していた。
安心しきっていた俺は、彼女の就職活動を適当に見守りながら付き合いを続けていた
やはり付き合いにケンカは付き物で、景色が秋一色に染まる頃、今までで一番デカいケンカをした
きっかけは些細な事すぎて覚えてないけど、人から見ればどうでも良い事…ほんの小さなスレ違いだったと思う
そんなケンカで1ヶ月ほど連絡を取らなくなり、そしてどちらからともなく仲直りをした
仲直りをしたその日の夜、彼女と電話で話していたとき彼女の口から
「……そう言えば、就職決まったんだ」
彼女はケンカしていた期間に面接を受けていたらしい
「へぇ~、何処よ?」
「…………」
「例のケーキ屋さんか?」
「………」
「何処よ?」
「…………長野のホテルなの」
……………予想外の展開だった
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