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見つけた.
兄さんからの遺書を…
いや,それは遺書というべきではない.
手紙だ.
兄さんからの手紙を渡すはずの人が此処しばらく家に帰ってなかったらしく,僕は彼女をのんびり探すことにしていた.
けれど彼女は案外すぐに見つかった.
渋沢 冬希音.
これが彼女の本名.
僕は冬希チャンと呼ぶ.
年上なんだけど,まぁ,そういうことは気にしない人だし,一応…来月からは姉になるはずだったから僕は冬希音さんに言われた通り,そう呼ぶことにした.
とりあえず声をかけなければ.
「冬希チャン!」
「え?春クン!?」
これから大学にも上がろうとする仮にも弟を彼女はそう呼ぶ.
和泉 春人.
そう,これが僕の本名.
え?何で冬希音さんと名字が違うかって?
本当は既に彼女も
"和泉 冬希音"なのだが兄さんとの挙式が中止になったから,こう記してみただけなんだけど.
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