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「……秘薬は天へと……」
ファス島南部にあるとある村の一角に小さな家がある。
声はそこから聞こえてきた。
「……ちっ、やっぱろくなのがないな」
青年は舌打ちをし、読んでいた本を棚にしまう。
その青年は茶色の髪に額には赤い鉢巻きをしており、眼の色は澄んだ黒色、真っすぐと前だけを見つめているような、そんな眼をしていた。
彼の名はラムネ。
ファスの村にとって大切な勇者である。
ラムネは腕を組み、何かを考えながら、そこらをうろうろしている。
しばらく経ち、ハッと何かを閃き、呟く。
「そういえば確か最近北にある城に新しく図書館が出来たよな……行ってみるか!」
ラムネは北にある城に行こうと決心をし、直ぐに旅の支度をする。
しかし、簡単には言うものの、決して近いわけではない。結構な距離を歩く事になるのだ。
途中には魔物は出るだろうし、下手をしたら命を落とすかもしれない。
勇者と称えられても怖いものは怖いが、ラムネは自らの為の目的なら躊躇う事はしなかった。
ラムネは粗方準備を終える。
傷薬の数に問題はあったが、途中で薬草を摘めば良いし、近くの雑魚相手に余裕で倒せる程の装備はしたつもりだ。
目指すは北の城!!
と、そうラムネは意気込み、村を後にする。
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