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くちびるに溺れる
『あんたなんかキライ』
『大キライ』
わたしのくちびるはするすると動く。
ひとのこころのゆらめきを感じることはできる。
もちろんあなたのゆらめきだって。
わたしが傷つくように、ひとが傷つくことだって分かってる。
だから傷つけることだってできる。
『あんたなんかと付き合うんじゃなかった』
くちびるはまるでわたしを無視するようにすいすいと気持ち良さそうに泳いで。
そんな傷ついた顔しないで。
すきなひとを傷つけるわたしのこころは、溺れたように息もたえだえ。
すきなひとを傷つけるわたしは、傷つけるとわかってて止められないわたしは、傷ついた顔をみて気持ち良くなるわたしは、傷つけることであなたを愛していると強く感じるわたしは。
傷だらけなんです。
(あいしてる)
溺れたくちびるはわたしたちに必要な言葉をいえやしないのだ。
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