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透明人間の名前
なぁなぁ、と話しかけられるのにも慣れてしまった。
あなたはわたしを透明人間にしている。
わたしを呼ばない男のそばにいるわたしという女の薄すぎる存在感に酸欠になって頭痛すらおこる始末よ。
痛みすらかんじなくなったなら、わたしは立派な透明人間になれる。
だからわたしはまだがんばれる。
まだがんばれるわたしは愛情というよりもはや執着を抱く男に必死にわたしの名を刻もうとしている。
ふと気がつくと刻みたい名前がなんだったのか分からない。
名前を思い出せないのに困ったなぁとのんきに笑うわたしは立派な透明人間になった。
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