そして私はしあわせをおとす

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

そして私はしあわせをおとす

美しいメロディとかが流れてて 泣きたくなるような夕焼けで街が染まってる すべてが完璧に整ってるよ 今朝苦戦した寝癖さえ始めからなかったみたいに消えてるんだ こんなにも気持ちが満たされているともう消えてしまいたくなるよ だから私はそっとため息をつく 小さな兄弟たちが手をつないで帰っていく もうすぐ空も焼けおわる さよならをいって眠らなきゃ 眠いと呟いたかわいい娘に 楽しい時間はこれからだよなんていって困らせてはダメ 私がついたため息をひとつあげる 美しいメロディはとうに止んだし 見上げれば夜空 小さな兄弟は温かな家でスープをこぼして叱られてるよ かわいいあの娘と踊りたいなら約束をしなさい 私はため息をつく できるかぎりそっと うんとかすかに 唾を吐きかける度胸なんてないから ため息をつけばここを見失わなくてすむの
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!