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第三章 二人目のシ者
幸蔵は廊下の床にうずくまっていた。
夕日が部屋に差し込んでいる。
ガチっと鍵が開き、由美子が美容院から帰って来た。
「あら?アナタいたの?」
放心状態の幸蔵に声をかける。
幸蔵は由美子を一瞥し、又視線を下に向ける。
「ユミちゃん忘れ物!」
突如ドアを開けて、若い茶髪のホスト風男が入って来た。
由美子は慌てて
「リーダー。わざわざ美容院から届けてくれてありがとう!」
と言う。
男の子は飛び上がって驚いた。
「では、ママさん失礼いたします。又来週もお待ち申し上げます。」
ガチガチに震えながら、それだけを言うと脱兎のごとくドアから出て行く。
幸蔵はその様子を、夢の中の出来事の様に見ていた。
「アナタ大丈夫?救急車を呼びます?」
由美子の問いに、無造作に片手を振り、よろけながらも立ち上がる。
「事務所に行くから、若い衆を呼んでくれ。」
そう言うと、風呂場にシャワーを浴びに入った。
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