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第一章 一人目の悪魔?
隅田川組長はソファーから立ち上がった。
タバコに火を付けると、窓際に近く。
7階の窓から見ると、もう新宿のネオンが殆ど消えている時間になっていた。
「3時か。そろそろ帰るとするか。」
タバコの煙を吐き出しながら独り言を言う。
煙でガラス窓が歪んだ気がした。
急に隅田川の心臓がドキンと痛んだ。
「ウッ」
体が前のめりになる。
隅田川は自分の胸を見た。そこには窓ガラスから突き出た腕が刺さっていた。
「何じゃコレは?」
隅田川はその太い腕を両手で掴み、引き離そうとする。
ギシギシと骨が軋む。
それでも腕を引き出そうとすると、ゆっくりと胸から腕が出てくる。
そして腕時計が見え始める。
それはダイヤを散りばめたROLEX。
隅田川はその時計に見覚えがあった。
そう先代の時計だ!
「よう!幸蔵!」
闇夜の窓ガラスの向こうに、先代の隅田川 一二三がニヤリと笑いながら現れた。
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