†誕生日†~零日目~

2/4
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
街灯が今日の昼から降り続けている雨を照らし続けている。 殆どの店はシャッターを下ろし、静まっていて、開いているのはコンビニや24時間営業の店舗だけだ。 ここは住宅街でまわりにコンビニも少なく、辺りの家も日付がかわろうとしているこの時間帯では殆どの明かりが消え、寝静まり、窓から見える景色は暗い。明かりがついているのは所々にある街灯と少しの家だけだ。 そんな住宅街の外れの方にあるアパートからはその様子がよく見える。 そのアパートの一室、そこの住人の時籐 一樹[トキトウ イツキ]はまだ起きていた。 つけているテレビはコマーシャルが終わり今日のニュースが流れている。芸能のことが殆どだ。 一樹は30分程前にコンビニのバイトから帰って来たばっかりで、今は風呂から上がり、少し氷の溶けつつある麦茶を飲みながらくつろいでいた。 《─それでは、今日の天気をお伝えいたします。─》 明るいニュースキャスターの声とともにパッと映像が簡単な日本地図にかわった。東京という文字の下に傘マークが表示されている。 「明日も雨か…」 もう六月だしそろそろ梅雨入りしてもよい頃だ。 《明日は全国的に雨になるでしょう。気温は今日より少し下がりますが、まだ蒸し暑い一日になりそうです。》 今度は日本地図が一週間を表す表にかわった。 今日は水曜だから、木曜から来週の水曜まで表されている。曇りもあるが殆どが雨の傘マークだ。 《いよいよ梅雨入りですね。それでは─…》 また映像がかわる。 「梅雨入りかあ…」 部屋の中から雨を見るのは好きだが、雨の日に外出するのは好きではなかった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!