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見上げてよだれを垂らす野良猫。
届かない高い空には、イワシが並ぶ食欲の秋。
月曜日。
差し込む午後の陽光。
少し開いた窓からすり抜ける、初秋(しょしゅう)の風。
青葉(あおば)中学三年、橘(たちばな)彩子(あやこ)は窓際の席でまどろみと死闘を繰り広げていた。
母親の弁当により彩子の腹は八分に膨れ、つまらない歴史の授業と単調な教師の声が、眠気に拍車を加える。
もうだめだ。
太陽の光がまぶしくて、目を開けていられなくなる。
教室の窓際、最後部に位置する彩子の席だが、彩子以外の、窓際の席の生徒はみんなカーテンを閉めている。
時に睡魔を召喚する太陽光だが、それでも彩子はそれが好きだ。生命の源のような、力強さと安らぎを感じる。たとえ授業中眠くなろうとも、カーテンは閉めない。
先生にあくびを見られないように、顔を少し外に向ける。
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