第三章 出会いの歌

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彼女はしばらくぽかんと天の顔を見ていた。 天はそれを照れくさく思ったように、背を向けて海に向かって歩き出した。 彼女の目にかすかに希望の光が映った。 しかし、すぐにうつむいて目を伏せてしまう。 「……笑わ……ないの?」 「笑わない」 「気味悪くないの?」 「そんなんで気味悪がってても仕方ない」 「……馬鹿だって、……こんな馬鹿世界中探したっていないって……思わないの?」 天は振り返り、そして軽く笑った。 「……それは言えてるかもね」 天は再び海に歩いていった。 「ほら、弾いてくれよ。例の……テルミン」 青い空と、青い海の間の世界で、たったひとつの、歌が生まれる。
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